「無限」と「有限」という対義語を使い詞が書かれています。

上のパラグラフにあるように、どのような未来を望むかは私たちに許された権利でしょう。

しかし下のパラグラフにあるように、残酷な現実も存在します。

より良い未来を得ようとする思いに限界はありませんが、実際にはどこかで限界を感じてしまうもの。

それが現実にある不条理さということです。

時間をハックする

いとうかなこ【Hacking to the Gate】歌詞の意味を解釈!孤独の観測者について紐解くの画像

Hacking to the Gateーーー

出典: Hacking to the Gate/作詞:志倉千代丸 作曲:志倉千代丸

Hack(ハック)”という英単語は少し難しい単語ですね。

いろいろな意味がある、非常に歴史のある言葉です。

古くは「木を切る」という意味でも使われていたそう。

今では「ライフハック」という言葉がよく使われていますね。

こういった場合は「プロほどではないが、それなりに効果的な解決方法」という意味だそうです。

偽物だが、ときにはずる賢く、本物のように振る舞うことを指すよう。

または、コンピューターのセキュリティを不正に突破する人をハッカーと呼びます。

ここでは、電子機器によってタイムリープマシンを作ることから、この意味が一番近いのでしょう。

“Gate(ゲート)”が指しているのは過去への扉、といった意味だろうと思われます。

サビ部分の歌詞解説

世界線とは

いとうかなこ【Hacking to the Gate】歌詞の意味を解釈!孤独の観測者について紐解くの画像

だからいま 1秒ごとに
世界線を超えて
君のその笑顔 守りたいのさ

出典: Hacking to the Gate/作詞:志倉千代丸 作曲:志倉千代丸

“世界線”という概念について説明しておくことにします。

参考にするのは「平行世界」という考え方。

いま私たちがいるこの世界は、いくつものあり得た世界のうちの1つに過ぎないというのです。

その1つ1つのあり得た世界の先に、またいくつもの可能性が枝分かれして存在しているのが平行世界。

その枝はまるで線となってつながっているように見えますね。

これを世界線と呼んでいるのです。

そして3行目。

“君”が指しているのはヒロインである「牧瀬紅莉栖」でしょう。

または「椎名まゆり」と捉えることもできます。

それぞれの好みで、感情移入したいヒロインを選んで大丈夫だと思います。

たった1人の観測者

いとうかなこ【Hacking to the Gate】歌詞の意味を解釈!孤独の観測者について紐解くの画像

そしてまた 悲しみのない
時間のループへと
飲み込まれてゆく 孤独の観測者

出典: Hacking to the Gate/作詞:志倉千代丸 作曲:志倉千代丸

ここまでが1番の歌詞です。

悲惨な未来を回避するべくタイムリープをつづける凶真。

それは第三次世界大戦を避けるためでもあり、ヒロインたちを救うためでもあります。

しかし、ラボのタイムマシンから過去へ戻った彼は、毎回孤独を感じます。

それは他の誰も知らないことを、自分だけが知っているから。

タイムリープし、その直後に周囲に事情を話す凶真の姿は定番ですね。

急いでいる時には、何の説明もなく顔面蒼白で飛び出していくこともありますが…。

いずれにしても凶真はたった1人の世界の観測者です。

タイムリープ後も、タイムリープ前の記憶を保ったままでいられるのが凶真の特殊能力なのでした。

2番の歌詞解説

運命を司る神

いとうかなこ【Hacking to the Gate】歌詞の意味を解釈!孤独の観測者について紐解くの画像

命の主張と 無意味な証明
あなたには
退屈しのぎに 足らぬ滑稽

支配者きどりの 愚かな種族は
うぬぼれた 稚拙な定理を並べた

出典: Hacking to the Gate/作詞:志倉千代丸 作曲:志倉千代丸

この歌詞で“あなた”が指しているのはおそらく「」でしょう。

運命を司る神。

人間の、あるいは凶真の思いなど知る由もなく、ただただ無慈悲に不条理を徹底する存在。

アニメの原作は、同名のゲームでした。

ゲームは、プレイヤーが選択肢を選びながら読み進めるという、いわゆるアドベンチャー形式

バッドエンドと呼ばれる、プレイヤーやヒロインが死んでしまうような選択肢もありました。

どちらかの命を選び取るような選択や、さまざまなものを失って1つだけを得るような選択さえ。

そのダークな世界観が、多くのファンを生むことになったわけですね。

アニメではそのような要素を多少軽減しつつも、かなり重厚感のある演出となっていました。

記憶を消してもう一度楽しみたい」と多くの視聴者に言わしめた作品です。

また、下のパラグラフについて。

この“種族”とは人類のことでしょう。

しかし凶真からすると、さらに高位の存在者を感じざるを得ませんでした。

それが冒頭から触れている「神」です。

人類が到底およばないような存在がある。

それは世の中の不条理そのもの

何度、世界線を移動しても未来を変えられないと悟ったとき、凶真はその存在にひれ伏しました。

「神」に比べれば、人間の理屈など、なんと稚拙なのでしょうか。

選択を迫られるのは