丸い滑走路を
皆 飛べると信じ直走る
選り好みしないで掴んだ未来では
何か窮屈な夜
絶対がないから
この世界じゃ機械達も迷う
一人分も次第に巨大な地図
その前で些細な僕だ
出典: LEO/作詞:猪狩翔一 作曲:猪狩翔一
滑走路というのは、空=夢へ飛び立つための助走を表しているのでしょう。
その道を誰もが自分の夢を信じながら走っていると歌っています。
最初の印象では、夢を叶えるためにひた走る人を指しているのだと感じました。
しかし、滑走路というのは普通はまっすぐです。
直線じゃないと、十分なスピードが出せず飛び立てません。
でもここでは"丸い"と表現されています。
丸い道という言葉で、筆者はロータリーのようなものをイメージしました。
ぐるぐると同じところを回っている感じです。
そこを走っている人は、自分なりの全力を出しているのかもしれません。
でも外からみたら惰性で回っているようにも見えてしまいます。
3行目を見てみると、いま"僕"が走っている場所は、自分で心の底から望んだ場所ではないようです。
自分に甘かったり、周りに流されたり。気が付いたらなんとなく乗っていたレール。
その上を走っている僕は、どことなこく窮屈そうです。
後半は、自分の夢を見つける困難さを表現しているのではないでしょうか。
自分なりに「この道は夢へとつながっている」と思って走っていたはずなのに、どこか物足りない。
でも、どこが本当の目的地か分からずに迷子になっている。
影山はインターハイ予選で、自分の"足りない部分"を痛烈に感じます。
中学生時代から天才と称され、実際に高い技術を持っている影山。
青春をバレーに捧げ膨大な時間を練習に充てています。
その姿はまさに、夢に向かってひた走る姿そのものです。
それなのに、壁にぶつかってしまいます。
その時、彼は今までの自分のしてきた努力に対してどう感じたのでしょうか。
全力で頑張ってきたはずなのに、結果的には無力だと感じてしまう。
自分の夢を前にして、呆然と立ち尽くす姿が思い浮かびます。
胸の奥にいる"名前"とは……
平等を願うなら
皆 殆ど同じ姿形
立ち止まる事と引き換えの未来では
もっと窮屈な夜
そして
朝迄 燃える感情
眼を閉ざして視る
無闇矢鱈に燃える感情でも
名前は云う
出典: LEO/作詞:猪狩翔一 作曲:猪狩翔一
さきほど、夢を前に戸惑い立ち止まりそうになった"僕"。
でも、本当に足を止めてしまったら、もっと自分らしくない未来になってしまうことは分かっているようです。
だから、眼を閉じて自分の心に問いかけているのでしょう。
「本当のお前はどうしたいのか?」と。
最後の"名前"とはなんでしょうか。
唐突に出てくるので少し解釈が難しい部分です。
筆者は、僕の心の中にいる"本当の僕"のことだと思いました。
惰性で努力したり、周りに合わせようとしたり、そういう末にいる僕ではありません。
周りのことにとらわれず、本当の僕が決意した情熱の塊のようなもの。
それが、この"名前"の意味するところではないでしょうか。
影山は中学時代に"コート上の王様"と言われていました。
彼の突出した才能に、周りのチームメイトがついてこれなくなったのです。
その経験は、彼のプレーに影を落としていました。
そこから1歩踏み出したのが、このインターハイ予選だったのです。
彼のその姿と重なるような歌詞に感じられますね。
ヘッドライトが照らす先
ヘッドライトの明かり
それだけ頼りに走り出した
他に何んな今日があっても
生まれた体で笑っている
キミのテールランプの明かり
頼りに誰かが走りますか?
何処に もう迷わない事
誓えれば 又 笑えるだろうか
出典: LEO/作詞:猪狩翔一 作曲:猪狩翔一
ヘッドライトで照らす道というのは、まだ誰も歩んでいない真っ暗な道です。
ぐるぐる回っていたところから飛び出して、自分の才能で歩むべき道を照らしている様子が浮かびます。
"生まれた体"とは、それぞれが持って生まれた才能のことでしょう。
作中でも、登場人物たちは自分にない才能や資質を周りのチームメイトやライバルたちに見出します。
天才と呼ばれる影山も、日向のなかに自分にはないポテンシャルを認めているようでした。
自分で道を照らし前に進み、その姿を頼りに別の誰かがついてくる。
つまり、未開の地で先導者となるということです。
このあたりは、影山に重ねることもできますが、冒頭でお伝えした曲名の由来が色濃く感じられますね。
1人きりで走るなら、どんな道でも構わないのです。
しかし、僕がつくった道を誰かがついてくる。
影山の上げたトスが、チームメイトの手によって得点につながっていく。
そう考えると、僕が迷っていてはチームも迷ってしまうのです。
だからこそ、高みを信じて自分を信じて、僕は足を止めずに顔を上げていなくてはならないのでしょう。
どこまでも続く道
丸い滑走路を
まだ 飛べると信じ直走る
望み通り自分で描いた地図では
何て退屈な夜
そして
今迄 燃える感情
眼を凝らして視る
勝手気侭に燃える感情でも
名前は云う
出典: LEO/作詞:猪狩翔一 作曲:猪狩翔一
1番と似たような歌詞ですが、"望み通り~"からが少し違いますね。
1番の"選り好み"に比べると、より自発的に道を選んで走っている感じがします。
でも、なぜか今度は"退屈"を感じているのです。
僕は、1番での葛藤の末、自分の進む道を見つけて進んでいったのでしょう。
そこで1つなにか目標が叶ったのかもしれません。
たとえ1つなにかが叶ったとしても、まだ人生という旅路は続いていきます。
だから、また次を見据えろ。
そう歌っているように感じられました。
1番では眼を閉じて心の中に問うていました。
ここでは"眼を凝らせ"と言っています。
1つ叶えたその先に、まだまだ目指すべきものがあるだろう。
そういう意味ではないでしょうか。
影山たちも、1つの課題を見つけ克服し、そして新しい壁にぶつかります。
その繰り返しのなかで、高みへと1歩ずつ進んでいっているのです。
どんな背中を見せるのか
遠ざかる日の中に
新たな旅路を仕舞い込んで
キミのもう迷わないとは
只 群れを成して生きる事
溢れ出すイメージの上を
続きは誰かが走りますか?
隠れたって ずっと背後に
点した明かりは振り切れないまま
出典: LEO/作詞:猪狩翔一 作曲:猪狩翔一
"キミ"とは過去の影山だと筆者は考えました。
いまに比べると甘い考えをしていた昔の自分。
"迷わない"と口にしているけど、それは本当に自分の意思か?
そう自問自答しているようにも感じられました。
背後に光るものは、先ほどの歌詞でも登場した"テールランプ"でしょう。
周りに埋もれるように無難な道を選んだって、誰かが僕の背中を追ってくる。
じゃあ、どうするのか。
筆者ならそのプレッシャーに逃げ出してしまいそうです。
でも、影山や彼らと共に戦う者、競い合う者たちは、きっと誰かに誇れる道を残そうとするでしょう。