実はこの構成全く意外ではありません。
例えばスカパラのライブで1番盛り上がる「DOWN BEAT STOMP」。
ほとんど谷中さんが歌っています。
バイク事故の影響で脱退した冷牟田さんのラガマフィンが懐かしい!
メンバーが暴れまくる点では「This Challenger」との共通項が。
谷中さんの作詞家としての顔
スカパラの歌モノは谷中さんなしでは成り立ちません。
それはゲストボーカルを招いても同様です。
実はスカパラのほとんどの楽曲の作詞は谷中さんが手掛けています。
それだけではありません。
谷中さんは過去にEXILE、矢沢永吉、Kinki Kidsへの作詞提供を行っています。
2002年には詩集も発刊。
谷中さんはシンガーに合わせてラブレターを綴るように詩を書くそうです。
相手が甲本ヒロトさんでもCHARAさんでもその歌手の世界観を表現できる凄腕作詞家の谷中さん。
友人には定期的に美しい詩がメールやLINEで送られてくるそうです。
珍しく尾崎世界観さんと谷中さんが共同で作詞した「爆音ラブソング/めくったオレンジ」。
そのやり取りもほとんどLINEで行われたそうです。
加藤さんは別バンドで歌声を披露
ギターの加藤さんのボーカルは珍しいです。
コーラスをする光景はよく見ますがここまで全面に出るイメージのなかった加藤さん。
実は歌声が相当イイです。
茂木さんと加藤さん、Polarisの柏原譲さんで組んだSo many tears。
そこで加藤さんは茂木さんと美しいダブルボーカルを披露します。
ちなみに彼らの2013年作の「LOVE&WANDER」はFISHMANSファン必聴です。
FISHMANSの2人が集まっているだけでも生唾ものですが...。
FISHMANSのボーカリスト佐藤伸治さんは1999年33歳の若さで亡くなっています。
その佐藤さんが茂木さんの夢の中で歌った曲「AMAZING MELODIES」が聴けるのです。
話は逸れましたが「This Challenger」は加藤さんの作曲。
ロックマニアの加藤さんが歌わないはずがないのです。
『This Challenger』の歌詞は若者への熱いエール♪
英語詩に込められたメッセージ
This tiny Challenger
(このちっぽけなチャレンジャーが)
Is trying to be a Champion
(きっとチャンピオンになるから)
So please stay with me
(どうか一緒にいてくれないだろうか?)
I'm gonna be the one that you love
(俺はいつか君が愛する人間になるから)
出典: This Challenger/作詞:谷中敦 作曲:加藤隆志
「This Challenger」は全編英語詩で歌われるスカパンクです。
そこで歌われる内容はスカパラからの若者への熱いエール。
SNSが普及し大きな夢を語ることが格好悪いとされてしまう時代。
70年代~80年代、スカパラのメンバーは少年時代大きな夢を語ることができました。
世界一のミュージシャンになる!
海賊王にオレはなる!
現在の子どもたちはそのような言葉を口に出せません。
大人に「現実を見ろ」と一喝されてしまうから。
でもそんなこと気にするな!君はチャンピオンになれる。
「This Challenger」はニコニコした大人が子どもたちに語りかける歌です。
Thought I kept on walking
Straight on down the road
(真っすぐのつもりで歩いていたのに)
But when I look back now
I took the long way round
(振り向けば遠回りしていた)
The only way I could have made it
(でも俺にはそれしか出来なかったのさ)
出典: This Challenger/作詞:谷中敦 作曲:加藤隆志
Boys, be ambitious=少年よ大志を抱け。
クラーク博士が残した有名な1節です。
今この言葉を子どもたちに贈れる大人は何人いるのでしょう。
スカパラは自分たちの過去を思い起こします。
大きな夢を抱き楽器を手にした少年時代。
そこからの道のりは挫折の連続でした。
やっとの思いで仲間と掴んだ成功。
待っていたのは仲間の死でした。
脱線を繰り返し遠回りしながら真っすぐ歩んできた道のり。
大丈夫。君の歩いた後には道が残るよ。
スカパラは過去を振り切り若者に「大志を抱いていいよ!」と語りかけます。
いつの間にか彼らも少年に戻っていた、そんなMVに仕上がっているようです。
様々なコラボを経て
スカパラの初代ボーカリストのクリーンヘッド・ギムラさんの死去。
2代目ボーカリストでギムラさんの弟の杉村ルイさんの脱退。
スカパラはその後基本的にインストバンド=歌のないバンドとして歩みます。
小林旭さんや岸谷五朗さんとの企画ものが分かる方は年がバレてしまうので黙っておきましょう。
2000年代に入ると新たな可能性を探るように「歌モノシングル」として様々な歌手とのコラボを繰り返します。
当初は同世代とのコラボが多数を占めていましたが徐々に若い歌手を起用するように。
2015年の片平里菜さんとのコラボは親子ほども離れた世代のコラボとなります。