SHAZNA「すみれ September Love」の意味は諸説あり！原曲誕生の背景から歌詞を解説

「すみれ September Love」を作曲したのは、「一風堂」のリーダー・土屋昌巳。

バンドではエレキギターとボーカル、後にベースも担当しました。

70年代からスタジオ・ミュージシャンとして活動していた土屋昌巳が「一風堂」を結成したのは78年。

「すみれ September Love」は、彼らにとって初の大ヒット曲です。

グラムロックのデヴィッド・ボウイを思わせる中性的なファッションとメイク。

ヴィジュアルにマッチした妖艶なボーカルも衝撃的でした。

日本におけるニュー・ロマンティクスのフロンティアとなった土屋昌巳。

「一風堂」の活動の傍ら、世界の舞台にも打って出ます。

イギリスのニュー・ウェイヴ系バンド「JAPAN」のワールド・ツアーをサポート。

デュラン･デュランのメンバーらが結成したシンセポップ・バンドのアルバム・レコーディングにも参加します。

土屋昌巳、「一風堂」が切り開いたシーンは、後に「ヴィジュアル系」と呼ばれて花開くことになるのです。

シンセサイザーの音色が美しい「すみれ September Love」。

イントロから、知的でスタイリッシュなニュー・ウェイヴ色にあふれています。

歪みを効かせつつ、スマートなカッティングを刻むギター。

深いリヴァーブの効果で、音の広がりと奥行きを感じられる打楽器。

間奏を彩る艶やかな音色のバイオリン。

それまでの邦楽にはなかった実験的なサウンド・メイクのセンスが、随所に光っています。

何よりも素晴らしいのは、歌謡曲的な歌詞と見事に融合したキャッチーなメロディー。

緩やかなテンポの曲は、エレガントでポップなダンスナンバーに仕上がっています。

原曲誕生から8年。「すみれ September Love」は突如「復活」を遂げます。

「イカ天」バンドとしてブレイクした「カブキロックス」がカバーしたのです。

原曲のポップな歌詞とメロディーは、エッジの効いたギター・サウンドにもハマりました。

「すみれ September Love」はその後も、さまざまなバンドやアーティストにカバーされます。

97年には、メジャー・デビューしたばかりのヴィジュアル系バンド「SHAZNA」がカバー。

「Melty Love」に続くセカンド・シングルとしてリリースされ、ヒットしました。

「すみれ September Love」のカバーで最も知られているのは、彼らの作品でしょう。

打ち込みのリズムが響く大胆なアレンジは、原曲よりパワフルでダンサブルな印象。

PVで目を引くのは、赤いチャイナ・ドレス姿で歌い踊るIZAMです。

ドレスの色に合った口紅も妖艶。女性と見まがう美しさが話題になりました。

彼らのカバー・バージョンは、シングル以外にも存在します。

それは、ミリオン・セラーを記録した翌年の1stアルバム「GOLD SUN AND SILVER MOON」に収録。

ギター・ソロに参加しているのは、土屋昌巳です。

1つの時代を彩ったオリジナル曲と、新たな時代の空気に合わせてアレンジされたカバー曲。

両者の違い、そして時を超えて受け継がれた共通点を、ぜひ聴き比べてみてください。

「September」を迎えても、まだまだ厳しい残暑。

真夏の気分をつい引きずってしまいがちですが、そろそろ秋の準備を。

そばに置く音楽も、クールに模様替えしてみては?

OTOKAKEライターがセレクトした、秋に聴きたいオシャレな曲をぜひ！

原曲に新たな表情が加わったカバー曲は、輝きをさらに増すことになります。

OTOKAKEライターがおすすめのカバー曲を紹介するとともに、その楽しみ方も教えてくれます。