中村祐介氏とアジカン
アジカンと歩んだ15年
イラストレーター中村祐介氏とアジカンとの付き合いは、なんと15年にも及ぶもの。
初期のアジカCDからこれまでに至るまで、すべてのシングル・アルバムのジャケットデザインを中村氏が手掛けています。
独特な懐かしさと、どことなく漂うノスタルジック感、そしてVo.後藤氏(通称:ゴッチ)もこだわりの〝アジア感〟はもはやアジカンCDのジャケットでは必須の要素となっています。
イラストレーター中村氏のこだわりとは?
中村氏がCDジャケット、そのほかの商品のパッケージデザインで心がけているというのが『手に取った人が一目で商品内容を想像できるイラストを描く』ということだそう。
たしかにアジカンのCDジャケットや、そのほかの商品に関しても、中村氏が描いたイラストには〝中身を想像させるインスピレーション〟が満ちている印象がありますね。
中村祐介を悩ませた二枚の『ソルファ』
アジカンの2ndアルバムとしてリリースされている『ソルファ』は初版がリリースされた後、12年後の2016年に再録版として全12曲が録りなおされ、再度リリースされています。
この二つのアルバムは曲順が多少前後してはいるものの、楽曲内容としては全く同じ。
〝一目で商品内容を伝える〟ことをモットーとしている中村氏にとって、この『ソルファ』の2枚の魅力を差別化することは難しかったと語っています。
ソルファ再録のいきさつとは?
再録リリースが一般的なジャズなどの世界では、オリジナル曲をボサノバ風にしたり、アレンジャーオリジナルのver.に作り替えたりすることによって〝異なる価値〟をつけて再録版としてリリースしています。
テイストが変わればイラストデザインも考えやすいところですが、アジカンの『ソルファ』の場合、そういった種類の新たな〝価値〟は一切追加されていません。
アジカンが2作目の『ソルファ』で目指したのは〝より精度の高いパフォーマンス〟。
Vo.のゴッチ曰く『今ならもっとうまくやれるんじゃないか』『今の中高生の心にも響くものがつくれるんじゃないか』と思ったことが再録版リリースのきっかけだそう。
2作目『ソルファ』はジャケットデザイナーを悩ませる、マイナーチェンジな内容となったわけですね。
二つの『ソルファ』のジャケットの違いは?
中村氏が2枚目の『ソルファ』のイラストを手掛けた際に注目したのがアジカンが目指したアルバムのコンセプト。
12年の歳月を経て再録された12曲の楽曲には確かな変化があることは確かです。
再録された全曲を聞いた中村氏が至った結論はつぎのようなこと。
・一枚目では技術的に不可能だったが、『今ならできる』ことを追加する。
・手に取った人が、『よく見ると全部描き直しているんだ!』と気づくことのできる楽しみをプラスする。
・レイヤー(層)を増やすことでイラストの世界観に奥行きをもたせる。
・1作目では殺風景に感じられた要素を『快感』が感じられるデザインに変化させる。
よく見ると発見できる?!遊び心も満載
変化しているのはジャケット外面だけではありません。
歌詞カード内のイラスト(メンバーのシルエットが描かれている)も注目のポイント。
2005年当時はVo.ゴッチはストレートヘアーのスタイルでしたが、ご存知のように現在ではクルクルパーマのスタイル。
この点も新『ソルファ』の歌詞カードに忠実に反映されているんです(笑)
デジタル版『ソルファ』では外面ジャケットしか見ることができないので、この違いを見ることができるのはCD本体を購入したファンだけの特権と言えるでしょう。
中村祐介が音楽業界に望むこと