LiSA【赤い罠(who loves it?)】MV解説！艶やかなドレス姿で踊り狂うのはどうして？

赤と黒のコントラストによって表現されているのは、恋の激しさと鮮烈さ。

この曲で歌われているのは、あたたかくて優しい気持ちになれる恋愛ではありません。

身を焦がすほどの想い。

心に増えていく傷や悲しみ。

これ以上はダメだと分かっていながら、どうしようもなく惹かれてしまう気持ち。

それは純粋であるが故に、残酷で儚い恋心です。

恋というものは、その想いが深ければ深いほど、鋭利な刃物のようになっていくものなのかもしれません。

鋭くとがった切っ先は、やがて己の心臓を貫くでしょう。

自滅する運命を覚悟したうえでの恋。

その激しさと鮮烈さが、赤と黒のコントラストによって表現されています。

歌詞のなかでも髪について触れられている部分があります。

それが「長い髪ずっとまだ切らずにいるんだよ」というフレーズ。

なぜ、切らずにいるのか？

その答えは、このフレーズの直前にありました。

「あなたが優しく撫でた」。

「あなた」に髪を撫でられたことをいつまでも忘れられずにいる。

だから髪を切ることができない。

なんだか切なくなりますね。

これが両想いだったら、微笑ましい話だったのに……。

「あなた」はきっと、主人公の髪を撫でたことなんて忘れてしまっているでしょう。

それでも主人公は、「あなた」の優しい手の平を思い出しては、うっとりと自分の髪を眺めているのかも。

MVのなかのLiSAは息をのむほどの美しさですが、どこか狂気のようなものも感じます。

やはりLiSAも恋に狂ってしまったのでしょうか？

赤いドレスを鮮やかにひるがえしながら踊り狂うLiSAの心情に迫ります。

赤いドレスというのは、インパクトがありますし、何より「強そう」な印象を受けます。

叶わない恋の歌で、あえて赤いドレスを着た理由。

それは、運命に逆らう女の精一杯の虚勢を表現したかったからではないでしょうか？

「あなた」とは結ばれない運命。

だけど必死に抗って、「あなた」への愛を貫き通す。

たとえ無駄に終わるかもしれなくても、「あなた」に何かしらの爪痕を残したい。

そんな恋は、当然苦しいに決まっています。

けれども、「あなた」に自分の苦しんでいる姿なんて見られたくない。

だから虚勢を張って、赤いドレスを身にまとっているのではないでしょうか？

MVの赤いドレスは、心の傷を隠し、自分を強く美しい女性に見せるための戦闘服のように思えます。

赤というのは、人目を引きやすい色です。

LiSAが赤いドレスを着るのは、傷ついた心を隠すためであると同時に、「あなた」を誘惑するためかも。

決して叶わない恋。

そうと分かりながらも、最後までチャンスをうかがいつづける”したたかさ”。

これもまた女の強さであり、美しさなのでしょう。

LiSAはちっとも振り向いてくれない「あなた」の目を引くため、あえて狂気を演じている。

そう考えると、時折り見せるLiSAの誘うような視線も納得です。

私はこんなにもあなたを愛している。

LiSAは艶やかなドレス姿で踊り狂いながら、そう叫んでいるのではないでしょうか？

人生を狂わせるほどの恋。

それを経験することはある意味不幸で、またある意味では幸福なことなのかもしれません。

自分のすべてを投げうってでも手に入れたい存在。

愛しい「あなた」に振り向いてもらうためなら、なんでもする。

そんな想いで仕掛けたダンスが『赤い罠』なのだと思います。

もし、この罠にかかることがあったなら、次に人生を狂わせるのはきっと「あなた」のほうなのでしょうね。

LiSAの楽曲には他にも美しく、魅力的なMVが数多くあります。

以下の記事ではそれぞれ『ASH』と『シルシ』という曲について紹介。

どちらもTVアニメの主題歌に起用された曲なので、聴いたことのある人も多いかもしれません。