2018年3月12日に配信限定「ありがとう」リリース

山猿のバイオグラフィを振り返る

「あいことば」で大人気を博しているシンガーソングライター山猿配信限定のシングル「ありがとう」を3月12日にリリースしました。

山猿といえば、2010年、"LGYankeesが送る謎のアーティスト"として別名義LGMonkees(エルジーモンキース)として活動していた時期があり、その存在に混乱する人もいるよう。

ちなみに、「LGMonkees」として活動する以前はLGY(現・LGYankees)のメンバーHIROが監修するコンピレーションアルバム『North East 2』に「山猿」名義でフューチャリング参加をしています。

LGMonkeesでは共作が多いのですが、山猿では全て単独名義となっています。

山猿曰く「90%が実体験から生み出されている」と発言しているように、嘘偽りなく飾らない言葉で表現されている音楽が特徴。

東日本大震災で被災していた山猿

2011年当時はまだLGMonkeesというアーティスト名で主に活動していた山猿。

ミニアルバムをリリースする1週間前に東日本大震災が起こり、仙台に住んでいた山猿は被災します。家が津波の被害を受け、日々避難所生活を送っていました。

震災直後は、ライブなどできるような状態ではなかったのですが、ライブを実現させたことによって、音楽の力を再認識することになった山猿は、より一層音楽活動に精力的に取り組むようになります。

このときのライブ「3090」を歌唱した映像がYouTube約100万回再生され話題となり、ファンや被災者の結束をさらに固める要因となったことでしょう。

被災地での「3090」

こちらが、被災地で行ったライブの映像。感動のステージをご覧ください。

山猿「ありがとう」歌詞

帰れないよあの町には

このままじゃまだ
帰れないよ あの町には
指をくわえたままじゃ
歩けないよ 歩けないと

あの夕日が僕に話しかけて
泣いてもいいよと 笑いかける
生きてゆく力が欲しくて
遠く離れた君を思う…

出典: ありがとう/作詞:山猿 作曲:山猿、川口圭太

ありがとうの日3月9日に解禁となった新曲「ありがとう」

山猿から日頃から応援してくれているファンに向けての感謝の意味で「ありがとう」という新曲をありがとうの日に発表するというサプライズとなりました。

歌詞に込められた意味は、山猿自身も被災者であるだけに故郷に対する深い想い

帰れないよあの町には」は7年以上たった今、復興がすすんでも小さいころから親しんだ記憶の中にある「あの町」はもうそこにはないのです。

さらに、福島原発の安全に対する対策や危険性の懸念はいまだに消えることはありません。

歌詞の前半は、いまだに消えない災害の傷跡を思い起こさせる辛いフレーズです。

ありがとうと君が手を振るから
また泣けない夜が来ちゃうんじゃないか
愛した日々を 愛しき君を
僕はずっとずっと忘れない

校舎の窓辺に映る
君の横顔が寂しそうに見えた
言葉に出してしまったら
負けちゃいそうで 泣いちゃいそうで

出典: ありがとう/作詞:山猿 作曲:山猿、川口圭太

この楽曲の舞台は間違いなく山猿の故郷東北の被災地。通っていた学校が災害で復興できないために、地元を去って東京や他の地方へと移転を余儀なくされた被災者は多かったはず。

MVで登場する主人公は、故郷の校舎を訪ねに帰ってきたという設定でストーリーが描かれています。

きっと彼と地元で再開をし、二人で校舎を訪れることになったのかもしれません。

昔の学校での思い出やいろんな記憶が彼女の脳裏によぎって、寂しさが表情に現れます。

そんな彼女をみると、彼の気持ちも張り詰めてあふれ出しそうになってしまうのです

歌の冒頭に出てくる「このままじゃ帰れないよあの町には」は主人公の彼女にとって、昔の思い出をどこかで吹っ切らないと前に進めない。

過去を清算して出発するために母校へ帰ってきたような気がします。

春は出会いでもあり別れでもある

振り向いた道の先にはいつも
君がいたのに 君といれたのに
春の風が吹くあの公園で
背中合わせの 僕らが居た

ありがとうと君が笑って言うから
もう会えないそんな気がしたんだ
歩んだ日々を 君との日々を
僕はずっとずっと忘れない

出典: ありがとう/作詞:山猿 作曲:山猿、川口圭太

春の風が吹くあの公園で」その懐かしい公園も今は過去の幻想かもしれない。過ごした時間と共に。

このシングルが春のリリースであることと、震災も7年前の3.11だったことで春を背景にするのは必然ですね。

「ありがとう」はこの歌詞から、時折寂しい言葉でもあるんだと気づかされます。

関係の終止符に「さよなら」ではなく「ありがとう」を選んだ彼女。二人がとっても通じ合っていたことを感じさせるフレーズ。

故郷には戻らず、旅立っていく、彼女を見送る彼の切なく複雑な気持ちが表現されています。