正しい使い方を知らない奴は飲んじゃダメなんだ
出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ
人は自由に生きられれば溌剌としますし、ストレスを受けにくくなります。
しかし自由過ぎると身を滅ぼす。
だからといって「飲んじゃダメ」というのは少々行き過ぎているように感じます。
実はここに大きなポイントがあります。
「自由」は毒。しかし苦くはなく、逆にとても美味しいのです。
少しでも食べれば、もっと食べたくなる。つまり中毒性が高いということ。
自制心がない人は少しでも自由を手に入れてしまうと、歯止めが効かなくなってしまうのです。
そのためここでは「飲んじゃダメ」と強く言っているのでしょう。
大人になっても難しい自由の操縦
風向きを見誤って見事に大惨事
大人になれたその瞬間に使いこなせると思っていた
出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ
ずっと一方向に吹いて、背中を押し続けてくれると思っていた風が、突然向きを変えたり凪いだりしたのでしょうか。
自由に飛んでいたのに、地面に叩きつけられるような不運に見舞われます。
彼らが子どもの頃に憧れた大人たちは、自由を謳歌しているように見えていました。
ですから、大人になれば誰もが風向きを読んで上手に飛び続けられるようになると思っていたのかもしれません。
しかし自由の世界はそう甘くはありませんでした。
自由への禁断症状
果てなき自由は致命傷も引き連れてきやがった
さばききれない量の希望と不安を見せ続けんだ
出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ
自由だけを追い求めて生きるのだと心に誓って飛び出した彼らは、突然どん底に叩きつけられました。
その時に気づいたのです。高く飛べば飛ぶほど、落下の衝撃は強くなるのだと。
しかし「自由」は空の上の方で彼らを手招きしています。
操られるように再び飛ぼうとしますが、また落ちたらどうしようかと踏ん切りが付きません。
自由がほしいけれど失敗はしたくない。頭の中はその繰り返しです。
これはまるで薬物中毒ですね。快楽を求めて手を出して後悔しても、禁断症状に勝てません。
自分の中で二つの人格が争っているような状態になってしまいます。
不自由に生きるより自由に死にたい
初めての自由で僕ら浮かれていただけなんです
知っていたら望まなかった
本当か?
ごめん 全部 嘘 だ
出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ
自由だけを追求して飛び続け、失敗した彼らは言い訳をします。
自由に生きることにどれほどのリスクを伴うのかは、大人を見て育った彼らならある程度想像がつくはずです。
もしも飛び立つ前に大人が注意喚起をしてくれたのなら、耳を傾けるべきだったのです。
しかし「自分たちなら大丈夫」という根拠のない自信が追い風となって、彼らは飛び立ちました。
午前三時に見計らった「風」は、「彼らの自信」だったのかもしれませんね。
もしも大人の声に耳を傾けて自由の怖さを知っていたら、彼らは飛ぶのをやめたでしょうか。
「知っていたら自由は要らなかった」とは言っていますが、全てウソ。
怖さを知っていても飛ぶことを選んだのでしょう。
「自由」にはそれだけの強い魅力があるのです。
自由の意味を履き違えていませんか?
果てなき自由は致死量の猛毒だった
それでも欲しかったんだ
そう叫んで飲み干したのさ
出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ
自由な人生を歩む中で、自分から「ストップ」をかけることは一つの「自由」です。
職業や将来を自分の意思で選ぶこともまた「自由」です。
好き勝手に生きることだけが「自由」ではありません。
しかしこの曲の「僕ら」はそこを履き違えているのでしょう。
制限だらけの世の中に疲れ、誰にも何にもとらわれない世界で生きていたかったのです。
その結果、これ以上の自由を手に入れたら身を滅ぼしてしまうのだと身を持って知りました。
でも彼らは、制限のある人生を生きるより、制限のない人生で死ぬことを選んだのです。