軽やかなリズムの『致死量の自由』

日食なつこ【致死量の自由】歌詞&MV解説!初めての自由…欲しかったものとは?繰り返し聴くと中毒に…?の画像

ピアノ一台で奏でるバンドサウンド。たった一人のオーケストラ。

日食なつこが望み、叶えたプレイスタイルです。

日食なつこが歌うメロディーに合わせてピアノが歌い、リズム隊は最小限。

最近はバンドサウンドも取り入れつつ活動を行っています。

限定リリースから配信へ

日食なつこ【致死量の自由】歌詞&MV解説!初めての自由…欲しかったものとは?繰り返し聴くと中毒に…?の画像

今回ご紹介する曲は、2018年10月5日にライブ会場のみで販売されたシングル『致死量の自由』です。

もちろん大反響を呼び、2018年10月24日からは楽曲配信サイトでの配信が解禁となりました。

シングルCDという形では3枚リリースしていますが、どれも限定販売でした。

1枚めの『ヒーロー失踪』はタワーレコード限定。こちらは完売し、再販や配信には至っていません。

2枚めが『空中裁判』。こちらはライブ会場限定販売でしたが、リリースから2週間ほど後に配信が開始となりました。

CDという形でリリースできないのなら配信だけでも!というリスナーの要望が多いからなのでしょう。

『致死量の自由』をピックアップ!

日食なつこ【致死量の自由】歌詞&MV解説!初めての自由…欲しかったものとは?繰り返し聴くと中毒に…?の画像

『致死量の自由』のCDジャケットは煙草の注意書きを模したものになっています。

依存性や中毒性について書かれており、目を惹くデザインです。

またMVが制作されており、ピアノの軽やかなリズムと澄んだ歌声に抗うかのようにダークな空間が広がっています。

そしてタイトルには「致死量」という言葉が。

非常に物々しいイメージがまとわりついて離れないこの曲の世界を、歌詞MVの双方から紐解きます。

自由に憧れた子どもたち

子どもの頃、勉強する必要のない大人が羨ましいと思ったことはありませんか?

子どもは誕生日やクリスマスのような特別な日にしか好きなものを買ってもらえません。

しかし大人は自分でお金を稼いで、稼いだ分で自分の好きなものを買えます。

自分の思うがままに子どもをしつける大人。行きたいときに自由に旅行に行ける大人。

「勉強が仕事」と言われてしまう子どもたちにとって、大人は自由の象徴です。

だから自分が大人になったら、どうやって自由を謳歌しようかと子どもは想像を膨らませています。

この曲に描かれているのは、自由を手に入れた「僕たち」が自由の恐ろしさを知る姿です。

風向きを見計らって飛んだ夜中の3時

出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ

夜中の三時は、夜でしょうか、朝でしょうか。

実は午前三時から「明け方」が始まるそうです。ということは、一日の幕開けといえる時間ですね。

新しい今日が始まる知らせが空を白く染め始めます。

「僕たち」はあえてこの時間を選んだのでしょうか。それとも気象条件が偶然にも良かったのでしょうか。

もしくは三時は「惨事」の前触れだったとか……。

とにもかくにも、彼らは自分たちがより遠くまで飛んでいけるように追い風を待って出発したのでしょう。

怖いもの知らずの僕たちが最初に知った恐怖

出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ

彼らは、自由な世界に向かって飛び立てる年齢になったのでしょう。

飛び立った先に待ち受けるものが何なのか、漠然とは知っているのかもしれません。

しかし初めてのこと。「自由」がどれだけ楽しいことなのか、どれだけ怖いことなのかは知る由がないのです。

飛んだことのある人々が注意喚起をしてくれたかもしれません。

だからといって彼らはそれに耳を傾けず、自分が無敵であるかのように自信満々に飛び立ったのです。

そして、自由の恐ろしさを知りました。

ブレーキがきかない美味

果てなき自由は致死量の猛毒だった

出典: 致死量の自由/作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ

子どもの頃にも自由はあります。友だちと遊んだり、買い物に行ったりできたはずです。

しかし、門限が定められていたり、使えるお金はお小遣いの範囲だったりと、制限範囲の自由でした。

気が済むまで遊んでいられたらいいのに。湯水のようにお金が湧いて出ればいいのに。

制限のない自由を夢見たことがある方もいるかもしれません。

では、生活の中の何もかもが自由だったら、どうなってしまうでしょうか。

世の中は規律を失い、大混乱に陥るはずです。

仕事をせずに遊ぶ自由を選び、お金がなくなれば他人に頼る、あるいは罪を犯す。

その結果どうなるかといったら、社会的地位を失い、健康を害し、身を滅ぼします。

ある程度の自由は必要ですが、人に迷惑をかけるようになればいつしかそれは「毒」に変わります。

そして一定量を超えて摂取すると「致死量」となるのです。

お酒に例えると分かりやすいですね。お酒は少量であれば体に良い場合もあるとされています。

しかしあまり飲みすぎると酩酊し、人に迷惑をかけますし、依存症になれば更生プログラムを受けることになります。

そして一気に摂取しすぎれば、急性アルコール中毒で死に至ります。