時代を切り開くパイオニア

常にカッコ良く

佐野元春「SOMEDAY」の収録アルバムは!?名曲の隠された意味に迫る!?ギターコードも掲載!の画像

佐野元春は、1980年にシングルアンジェリーナ」でデビューしました。

1980年代の邦楽トップ10ランキングには、長渕剛オフコース安全地帯などのニューミュージック系のアーティストの名前が見え、彼らが歌謡曲の牙城を崩しつつあった頃。そういう時代に彼はデビューしています。

その中で、佐野元春洗練された音楽スタイルは、異彩を放った存在でした。

ロック、フォーク、ジャズ、様々なジャンルを融合させた彼の楽曲は、それまでのどのアーティストとも類似点を見ない、いわばパイオニア的存在だったと言えます。

もっとも、デビューアルバムBACK TO THE STREET」、そしてセカンドアルバムHeart Beat」は、セールス的にはあまりいい結果を残せてはいませんでした。

しかし、海外の音楽シーンの影響を色濃く反映したその圧倒的なライブパフォーマンスが評判になり、その後、大瀧詠一おすすめアーティストとして紹介されると人気に火がついていきます。

その大瀧詠一の目に留まるきっかけとなったのがこの楽曲「SOMEDAY」でした。

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完成度の高いアルバム

改めてのヒット!

SOMEDAY」は、佐野元春の4枚目のシングルとして1981年6月25日にリリースされました。

しかし発売当時、意外なことに、この曲はチャートTOP100入りはしていません。

実は、この曲が脚光を浴びるのは、翌年1982年5月21日にリリースされた、この曲をタイトルとする彼の3枚目のアルバムSOMEDAY」の大ヒットまで待たなくてはなりませんでした。

アルバム「SOMEDAY」の成功には、その2か月前の3月21日にリリースされた「NIAGARA TRAIANGLE Vol.2」の大ヒットが大きく影響しています。

この「NIAGARA TRAIANGLE Vol.2」は、大瀧詠一と当時新人だった佐野元春、そして杉真理の3人の共作になるアルバム。

当時、「A LONG VACATION」がヒット中だった大瀧詠一が、期待の新人としての2人に声をかけて出来たもので、オリコン最高位2位を獲得しています。

このアルバムで、佐野元春は沢田研二に贈った「彼女はデリケート」など計4曲を発表。その存在を大きく世間に知られることになります。

そして満を持してリリースされたのがアルバム「SOMEDAY」。

レコード・エンジニアとして当時辣腕を振るった吉野金次を迎え、新たな方向性を示し、高い評価を受けました。

吉野金次は、プロデューサー的志向の強いエンジニア。

主に後期ビートルズのサウンド作りに貢献したフィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド(音の壁)」と呼ばれる手法を用い、重厚なサウンドを作り上げています。

それが佐野元春の楽曲にぴったりとハマり、アルバム「SOMEDAY」は、佐野元春の出世作となります。

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時代を切り取る眼

若者たちの普遍のテーマ

アルバム「SOMEDAY」は、非常に完成度の高いアルバムとして高い評価を受けています。

好きな曲だけをダウンロードする現在とは違い、1980年代は、コンセプトアルバムが主流となり始めた時代でした。

一枚のアルバムとしての完成度が問われ、アーティストの底力が試された時代でもあります。

「SOMEDAY」は、全11曲。

その中で特に評価が高かったのは、スタートの3曲。

シングルカットされた「Sugar Time」「Happy Man」「DOWN TOWN BOY」の斬新なサウンドと、英語が散りばめられた散文スタイルの独特の歌詞は、若者の高い支持を受けます。

そして改めて注目されたのが、シングルとしての「SOMEDAY」でした。

言葉選びの巧みさ

1つ1つのフレーズが心に沁みる

SOMEDAY」をはじめとして、佐野元春のナンバーは斬新なサウンドだけでなく、英語と日本語を散りばめた散文調の歌詞が人気の秘密でもあります。

あくまでも全体として一つのイメージを作り上げることを主眼としていて、ストーリー的な映像はリスナーに提供しないのが特徴。

散文体の歌詞は、それぞれのリスナーの心にあるイメージを照らし出して、それが感動を呼ぶというスタイルなんですね。

たとえば「SOMEDAY」にはこんな一節があります。

手遅れと言われても
口笛で応えていたあの頃
誰にも従わず
傷の手当てもせず、ただ
時の流れに身を委ねて

出典: https://twitter.com/sabotttt/status/933700187855380480

このセリフで、青春の一場面が想起されます。

「誰にも従わず」そして、受けた傷の手当もせず。

エネルギーに任せて突っ走った青春の時、そして純粋であるがゆえに傷ついたあの頃。

ある程度の年齢を経た人でなくても、共感出来るフレーズではないでしょうか。

次の一節も、そうですね。

窓辺にもたれ 
夢のひとつひとつを
消してゆくのは つらいけど
若すぎてなんだか解らなかったことが
リアルに感じてしまうこの頃さ

出典: https://www.uta-net.com/song/2113/

誰にでも「いつか」はきっとある!

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