思春期くらいまで生きていると、その間でほんのり誰かのことを好きになるってことは誰にでも経験がありそうです。
しかし“ほんのり誰かを好きになる”ことと“本気で誰かを好きになる”ことは“好き”という気持ちは同じようでも、中身は全く異なると思います。
ほんのりとした恋心は、自分が傷つくような出来事があった場合、その気持ちをごまかしたり見ないふりをすることで、自然に傷が癒える場合も多いです。
一方で本気の恋は、自分がどんなにブレーキをかけようとしてもかからず、ちょっとのことで喜怒哀楽・一喜一憂し、楽しい気持ちを抱ける反面、心はすごく疲れます。
また、自分でも知らなかったような“自分のどす黒い気持ち”に気づかせてくれるのも、本気の恋ではないでしょうか。
この楽曲の主人公も、心に想像上のジェラシーの鳥に心が覆いつくされようとしています。
誰のことを 一番目に
愛してるのか 教えて
眼差しで聞いたのに
瞼(まぶた)閉じて
逃げようとしてる
そう 私は二番目だって
わかっているから知りたいの
あなたは私のすべて
独り占めするためには
誰を殺せばいいのだろう
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
好きな相手にとって自分は2番目以下でしかないと知るのは、本当に残酷なこと。
でも現実では全ての恋が成就することはありませんし、どんなに本気で好きになってもその想いが届く恋ばかりではありませんよね。
嫉妬と敗北感のような感情に苛まれながら、主人公は自分をあなたにとっての1番にするためにどうすれば良いのか逡巡しています。
歌詞ではその方法の1つに“誰を殺せばいいのだろう”なんて、ちょっと過激すぎる気持ちまで書かれていますね。
実際にはそんなことをするはずもないのですが、どうしても叶わない恋に苦しんでいる時は、こんな極端な手段までつい想像してしまうものなのかもしれませんね。
自分を引き上げたいのに恋の闇に落ちていく
窓のガラスに
息を吹きかけ
雲を飛ばしたかった
風を待っても
満月のかたちまで
間に合わない
圧倒的な悲しみとか
孤独 抱え込んで
自分だけのその正義に
何度も絶望してる
この日々は苦痛でしかない
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
恋をしている時って誰しもハッピーな気持ちになったり、前向きな気持ちを抱いて日々を過ごしたいと思うのではないでしょうか。
苦しく悩む瞬間はあっても、好きな人のことを考えれば幸せな気持ちになれる……そういうのが恋の醍醐味の1つな気がします。
しかしこの楽曲の主人公にとってこの恋は“苦痛でしかない”というもののようです。
もしかしたら道ならぬ恋なのかもしれません。
それにしたって悲しみ・孤独ばかり感じて、自分の心の闇(=自分だけの正義)が日々自分を苦しめる恋というのはどんなに辛くしんどいでしょうか。
誰のことを 一番目に
愛してるのか 教えて
手の甲に爪を立て
責めるように
答え待ってる
二番目以下は他人ってこと
誰が誰だって構わない
私はあなたのために
この命と引き換えに
誰を殺せばいいのだろう
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
自分があなたにとっての1番になるため、命さえも惜しくないというような部分は、恋の残酷さをまざまざと見せつけられるような気がしますね。
もし誰かが、自分のことを想ってこんなに辛い日々を送っているのかと考えたら、とても申し訳ないのと同時に、やはりちょっと怖い気がしなくもありません……。
どんな心があれば満たされる時間が来るのか
失うものと
手にするものは
同じ価値とは限らない
愛していても
愛されていても
満たされない
メビウスの輪
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
メビウスの輪というのは、表面と裏面が繋がるように作られている輪のことを指します。
表を追いかけていたはずなのに、いつのまにか裏面をなぞっている……こんな不思議なことが起こるのがメビウスの輪です。
きっとこの楽曲の主人公も、最初は正統派な恋をしていると思っていたのではないでしょうか。
それなのに、まるでメビウスの輪が知らぬうちに裏面になっているように、恋を追っているうち、知らぬ間に自分の闇の部分に足を踏み入れてしまったのかもしれません。
誰のことを 一番目に
愛してるのか 教えて
眼差しで聞いたのに
瞼(まぶた)閉じて
逃げようとしてる
そう 私は二番目だって
わかっているから知りたいの
あなたは私のすべて
独り占めするためには
邪魔するものたち消して
私だけの世界がいい
誰を殺せばいいのだろう
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
片想いの相手が自分のことだけを見つめてくれるように、世界の人間があなたと私だけになればいい……というのは、色々な恋の歌で表現を変えつつ歌われることです。
ただ、他の楽曲が同じ内容のことを歌ってもそれは“とっても深い愛情をもっているんだなぁ”くらいにしか感じません。
しかしこの楽曲で同じことを歌うと“本気でそんなことをしそうでシャレにならない感じ”がするのはなぜでしょうか。
それはきっと楽曲を歌っている女の子たちが、恋に長けた女性というより、まだ恋に不慣れな少女と感じるからかもしれませんね。
純粋な気持ちは純粋なだけに逆の方向に対する“純”への振れ幅も大きくなりますからね。
失うものと
手にするものは
愛していても
愛されていても
未来の闇が
深くなるだけ
出典: 誰のことを一番 愛してる?/作詞:秋元康 作曲:佐久間和宏
この楽曲は全編を通して“純粋さ”が際立っているように筆者には感じられます。
愛し愛されたとしても、この主人公の闇は深くなるだけだと、最後にはそう歌われます。
この部分を聴く(読む)と、やはりこの楽曲で描かれている恋はあまり周囲から祝福されるような恋ではないように思えます。
もし、仮にそうなのだとしたら、こんな恋で傷つくのはいたいけな少女たちですよね。
恋に慣れない彼女たちの心は本当に柔らかく傷つきやすいです。
こんな悲しい気持ちになる女の子が増えないように、どうか大人は少年・少女の心をもてあそんだりしないでほしいな!と強く思ってしまうのです。
おわりに
2017年も大活躍のうちに1年を終えたAKB48グループ・乃木坂46・欅坂46の面々。
これまでのアイドル像を打ち破り、いつも先進的な活動をみせてくれるAKB48グループ。
ビジュアルレベルの高さと品の良さで男女いずれからも人気の高い乃木坂46。
そして驚愕のパフォーマンス力とカッコよさで唯一無二の存在感を放つ欅坂46。
2018年も各グループの良さを生かしながら、お互いに切磋琢磨して、アイドル界のみならず日本の音楽業界やエンターテインメント業界を引っ張っていってほしいですね!