大人になってゆくほど
涙がよく出てしまうのは
1人で生きて行けるからだと
信じて止まない
それでも淋しいのも知ってるから
あたたかい場所へ行こうよ
出典: 川べりの家/作詞:松崎ナオ 作曲:松崎ナオ
大人になるということは、自立することだといわれますよね。
しかし「1人で生きて行ける」ことは、強くもあり、少し淋しくも感じます。
突然ですが、アニメ「幽☆遊☆白書」のOP、『微笑みの爆弾』という曲を知っていますか?
街の人混みでひとりぼっちなのと、果てない草原でひとりぼっち、どちらが泣きたくなりますか?
『微笑みの爆弾』では、両方にそう感じるようになったら「ちょっぴり大人」だという歌詞がありました。
年を取ると涙腺が緩む、なんていいますが、1人でも大丈夫だと思えば思うほど、無意識に淋しさを感じているのかもしれません。
そういう淋しさを包んでくれる「あたたかい場所」というのは、人によってそれぞれあるのだと思います。
街角のカフェだったり、深夜のコンビニだったり、騒々しい酒場だったり、いつも使っている駅だったり。
何気ない日常の中でも、行けばほっとするあたたかい場所。あなたにもきっとあるはずです。
川の流れと人生、似ていませんか?
川のせせらぎが聞こえる家を借りて耳をすまし
その静けさや激しさを覚えてゆく
歌は水に溶けてゆき そこだけ水色
幸せを守るのではなく 分けてあげる
出典: 川べりの家/作詞:松崎ナオ 作曲:松崎ナオ
川のせせらぎは、晴天が続いた後は静かだったり、雨の後は激しかったりと様々ですよね。
私たちの日常生活も、良い時があれば、悪い時だってありますよね。
しかし、川は静かな時も、激しい時も、どんな時も下流に向かって流れていくだけです。
きっと、人の一生もそうなのだと思います。
人生最悪だ、と思うことがあっても、長い目で見ればひとときのことなのかもしれません。
また、川の中にある大きな岩は、水の流れを遮ってしまいますよね。
小さく砕くと、尖った石も水の流れに転がりながら、いずれはいくつもの丸い小石になって散らばっていきます。
幸せもそれと同じで、小さな幸せをみんなが少しずつ周りに分け与えると、いずれはもとの幸せと同じだけ、もしかしたらもっと大きな幸せを抱えているのではないでしょうか。
番組にも、人生にも重なる歌詞
なるべく大きくて なるべくりっぱな水槽を
自転車で買いに行き はなしてやろう
なんて奇跡の色を持っているの キラキラ揺らめいてる
水溜まりに映っている ボクの家は青く透け
指でいくらかき混ぜても もどってくる
とても儚ないものだから 大切にして
一瞬しかない
出典: 川べりの家/作詞:松崎ナオ 作曲:松崎ナオ
『ドキュメント72時間』のキャッチコピーの中に「同じ時代にたまたま居合わせた私たち」というものがあります。
3日間カメラを回し続けて出会った人は、たった3日ズレただけで出会えなかった人、なんですよね。
私たちが暮らす日々も、本当はたくさんの偶然に、これまたたくさんの偶然が重なった結果だったりします。
日常だと思っているあんなことやこんなことも、「とても儚ないものだから大切にして 一瞬しかない」のかもしれません。
おわりに
ここまでいろいろ紹介してきましたが、実はこの歌詞「川べりに住みたいけれど、氾濫するかもしれない…よし、歌にしておこう」という軽い気持ちで書かれたそうです。
その曲を偶然NHKのディレクターが聴き、新番組に採用し、世に広まって名曲として紹介できているのも、もしかしたら皆が「一瞬」を大切にした結果なのかもしれませんね。
いや、でも、個人的にはそんなユルい思いつきで書ける歌詞ではないと思います。
何気なく放った言葉が心に刺さる、これも松崎ナオの才能のひとつ、なのでしょう。
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