まるで真夏の夜に繰り広げられる怪談話のような一説。
こんな出来事も彼にとっては日常の一コマに過ぎません。
逆に絵に描いたようなドラマティックな展開はわかりやすくて珍しいほうです。
他人には決して見えないもの、感じられないことであっても彼には普通の生活の一部になっています。
ただのツイてない一日
まぁ 見ちゃった…って言うか 丑三つ時は既に恒例
金縛りは最早日常 俺にしたら もうただのBad Day
出典: 魑魅魍魎マーチ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
何かを見てしまったとしても彼はもう驚くことは少ないようです。
彼にしてみればちょっとツイていない一日なだけ。
買い物に行ったら1円足らなかった、大事な予定がある日に限って目覚まし時計が故障して微妙な寝坊、スマホを充電し忘れて朝から電池残量20%...といったところ。
今日は運が悪かったんだろう、と軽い気持ちで捉える程度のことです。
もしかすると彼にはもう、何か憑いてしまっているかもしれませんが。
なんで俺なの?
無数の霊以外にも 柿の木に化け猫
化け銀杏の霊以外にも マジ出るぞ
おい…またかよ…また?……
なんで俺ん所来んの? 頭の三角 似合うよ
柳の木の下でよく逢うね? そう 慣れてからは ただのBad Day
出典: 魑魅魍魎マーチ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
至るところに現れる幽霊や妖怪たち。
気の休まる場所はなさそうですが、そんな光景も慣れてしまえばどうってことないのでしょう。
人と見間違えてしまうことも多々あり、怖さより迷惑に感じることも多くなってきます。
なんで俺なの?いつも俺ばっかり。
怒りにも似た疑問を抱えつつ、通り過ぎていく日々。
ときにはその理由を尋ねてみたり、もはや遭遇した彼らに声をかけてしまうほど身近な存在になりつつあります。
慣れとは恐ろしいものです。
たまには気味悪く感じることも?
切った髪のように 離れた途端不気味になるんだ
ホラープランが甘いな 君をその程度にしか思わんな
出典: 魑魅魍魎マーチ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
人間はわからないこと、知らないことだからこそ恐怖を感じる生き物です。
傍に何を感じ見えることが普通になってしまえば、怖さという感覚は薄れていきます。
むしろ改めて恐怖を覚えるのは、ソレから離れた瞬間。
いままで自分は何を見ていたのか、何を感じていたのか、一気にゾッとします。
でも常に何かの存在を感じ見ることができる彼にとっては、あまりそうも思わないのでしょう。
おそらく彼は魑魅魍魎たちに好かれて、懐かれてしまった可能性もあります。
ここまでくると隙すら与えてくれない彼らにダメ出しをする余裕まで持ってしまうようです。
憎まれ口を叩けるのも愛着がある証拠、自分勝手な友人に振り回されている感覚にも似ているのかもしれません。
しかし彼らはなぜ、彼の前に姿を現すのでしょう?
人間を怖がらせたいだけ?
何かをしてくるワケでもなく、ただ存在をアピールしているようにも見えます。
本当は見える誰かに伝えたいことがあるのか?
普段強気な彼でもそこは気になってしまうようです。
第六感でメッセージを受け取れ
魑魅魍魎 亡霊 呪縛 第六感で受け取るメッセージ
百鬼夜行に混ぜろよ 俺にも見せろよ 向こうのネクストステージ
ハードラック ザ・ブラックアウト 誰に向けられたあの世のメッセージ
出典: 魑魅魍魎マーチ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
軽快なテンポで綴られる歌詞も落ち着いてよく見るとなかなか気味の悪いものです。
世の中、目に見えるものがすべてとは言い切れないでしょう。
現代の科学でも解明できない奇妙な出来事や、説明のつかない現象も後を絶ちません。
もし目に見えない何かが超常現象を引き起こしていたとしたら?
不思議なことは案外、日常の中に潜んでいるのかもしれません。
科学で証明されつつある第六感は人間誰しもが持つ能力ですが、いつの間にか閉ざされてしまうことも多いといいます。
信じる、信じないに関わらず、重要なのはそのメッセージに気づくかどうか。
おそらく魑魅魍魎の類である彼らからのメッセージはいい内容だけではないでしょう。
この世に対する恨み、果たせぬ想いが呪いという形になって身に降りかかることもありそうです。
しかし見えてしまったからには仕方ない。
不思議な体験が日常茶飯事になってしまった彼は、そのメッセージを受け取ろうとします。
言葉が伝わらなかったとしても、彼らと関わっていくうちに伝えたい何かを感じ取れるのかもしれません。
見える者の役目として彼らからのメッセージを聴こうとする責任感を持ち合わせてしまったのか。
それとも自分の知らない世界に飛び込んでいきたい好奇心に魅せられたのでしょうか。
自分から未知の世界に飛び込んでみたい気持ちは誰しもが持っているものです。
例えそれがパラレルワールドだったとしても、死後の世界に迷い込んでしまったとしても。
きっと彼は墓場で運動会が行われると聴いたら喜んで参加するのでしょう。
一度関わったからには最後まで付き合う覚悟もできていそうです。
得体の知れないもの、それは私たち人間の心ともいえるかもしれません。
魑魅魍魎という言葉は悪意を持った化け物のような人間を表現する際にも使われています。
仮に霊や妖怪がこの世に存在しなかったとしても、それらを作り出したのは私たち人間です。
人の心に巣くう悪意が魑魅魍魎に姿を変えたのだとしたら...
むしろ人とは違う世界に生きている魑魅魍魎と呼ばれる彼らには、私たち人間はどうみえているのか。
もし彼らが見えて話せる機会があるとしたら聞いてみたい気がします。
魑魅魍魎たちと街中を練り歩いても賑やかで、案外楽しいのかもしれません。
最後に
多くの人が目にすることができない存在すら恐れずに、もっと新しい世界が見たいと望む視点が臨場感溢れる【魑魅魍魎マーチ】。
きっと幽霊、妖怪、妖精さまざまな魑魅魍魎と呼ばれる類の彼らも踊らずにはいられないはず。
今作については実体験ではないとTAKUYA∞は公言しています。何か見えてしまうこともないようです。
今回ご紹介した楽曲以外にも、UVERworldの色とりどりのナンバーはどんなときも私たちを楽しませてくれます。
いつ聴いても飽きがこない楽曲のバラエティの豊かさとサウンド、そしてブレない意志を感じる歌詞とそれを感情的に表現するボーカル。
いくつもの要素が重なってUVERworldというバンドは圧倒的な支持を得て進化を続けているのでしょう。
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