印象的なタイトル

“ヨーコ”は夜の名前?

ダウン・タウン・ブギウギ・バンド【港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ】歌詞の意味を解説!あの娘はどこへ?の画像

片仮名が3つ並んだ、印象的なタイトルです。

港町には盛り場があって、ネオンのあるところにはどこか危ない香りのする可愛い女の子がいる。

横浜生まれの阿木燿子の頭の中には、そんな風景が浮かんできたのではないでしょうか。

大都市でもあり港町でもある横浜と、どぶ板通りや米軍基地がある横須賀。

消えてしまった女の子を探すストーリーに、よく似合う場所のような気がします。

“ヨーコ”という名前は、たぶん本名ではないのでしょう。

夜の世界での通り名は、女の子にとって仮面のようなものかもしれません。

地名がどちらも同じ音で始まるのは偶然ですが、“ヨ”で始まる名前は地名に合わせたのでしょう。

地名も名前も片仮名にすることで、心地よいリズムと少し危ない雰囲気が生まれています

シンプルなリフとドスの効いた語り

キメの台詞を導くメロディー

ダウン・タウン・ブギウギ・バンド【港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ】歌詞の意味を解説!あの娘はどこへ?の画像

一寸前なら憶えちゃいるが
一年前だとチトわからねエなあ
髪の長い女だって
ここにゃ沢山いるからねエ
ワルイなあ他をあたってくれよ
アンタ あの娘の何んなのさ!
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ

出典: 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童

片仮名混じりの歌詞を見ると、育ちが良さそうな阿木燿子が書いたとは思えません。

映画ドラマの台詞のような歌詞の世界に一気に引き込むのが、彼女の才能なのだと思います。

この曲はシンプルで格好いいリフに続いて、いきなりドスの効いた語りで始まります。

メインストリートから少し外れた場所にある店のマスターかバーテンダーなのでしょう。

一筋縄ではいかない、やさぐれた雰囲気が漂っています。

女の子を探しに来た主人公に対して、ちょっと突き放したような態度です。

まるで刑事の聞き込み捜査を警戒しているかのようで、夜の世界に生きる男の習性みたいなものでしょうか。

悪ぶった言葉遣いには、これまでの人生が垣間見えるような気がします。

店で働く女の子が突然姿を消すのは、この世界では珍しくもなんともないことです。

お金にならない人探しの相手をするのは、彼にとって迷惑なことなのでしょう。

照明を落とした店で、棘のある言葉が主人公に投げつけられます。

キメの台詞に入る前の、ギターベースのユニゾンのメロディーが耳に残ります。

退廃的な夜の世界

女の子には嫌われていた?

ダウン・タウン・ブギウギ・バンド【港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ】歌詞の意味を解説!あの娘はどこへ?の画像

半年前にやめたハズさ
アタイたちにゃアイサツなしさ
マリのお客をとったってサ
そりゃもう大さわぎ
仁義を欠いちゃいられやしないよ
アンタ あの娘の何んなのさ!
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ

出典: 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童

続いて登場するのは、元同僚の女の子です。

薄暗い店内に大音量で響く音楽と、大袈裟な笑い声や女の子の嬌声。

酒とタバコと、高いくせにたいして美味しくもないおつまみ。

男たちは下心を持ちつつストレスを発散するために、退廃的な夜の世界に飛び込んできます。

金払いの良い客の取り合いは、店の女の子たちにとって日常茶飯事です。

“ヨーコ”は生きていくために必死なのか、それともカオスな日常を楽しんでいるのでしょうか。

男たちに言い寄られながらお金を稼ぐのは、彼女にとって唯一の生きる証なのかもしれません

まるで任侠の世界のように、ここでは義理や人情という言葉が生きています。

それなのに彼女は、同僚と良い関係を築こうなどとはまったく考えていないのでしょう。

好きなようにやって嫌になったらまた他の店に移ればいい。

お店の女の子の話しぶりからは、彼女のそんな性格や生き方が見えるようです

横浜から横須賀へ

寂しがり屋の“ヨーコ”

ダウン・タウン・ブギウギ・バンド【港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ】歌詞の意味を解説!あの娘はどこへ?の画像

ハマから流れて来た娘だね
ジルバがとってもうまくってよお
三月前までいたはずさ
小さな仔猫を拾った晩に
仔猫といっしょにトンズラよ
どこへ行ったか知らねエなあ
アンタ あの娘の何んなのさ!
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ

出典: 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ/作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童

今度はまた別の店の男が登場します。

彼女は横浜の店を辞めて横須賀の店で働いていたようです。

動物を可愛がる女の子らしいところもあるのですが、また勝手に店を辞めて消えてしまいます。

毎晩男たちの相手をする彼女も、やはりひとりでは寂しいのでしょう

道連れにした小さな相棒を途中で見捨てなければよいのですが。

そんな心配をしたくなるところが彼女にはあるのです。

あちこちの店で彼女のことを聞くたびに、主人公はどんな気持になるのでしょうか

けっして評判が良いとはいえない娘なのに、それでも彼は彼女を探し歩きます。

2番の歌詞では彼女がいたのは半年前でしたが、3番では3ヶ月前となっています。

主人公は少しずつ彼女に近づいてきました。

友だちは仔猫だけ?