そのまま読み解いていきます。
歌詞は
「悪鬼・悪霊のような世界の覇者(アメリカ)に戦いを挑む。
ところが、敗戦は戦う前から決まっていた」
となります。
MVで印象的なのは「A級戦犯」のくだりです。
キツネ面に文字が被さるシーン。
何かの暗示なのでしょうか?
キツネ憑きの唄「急の1」
狐が具現するモノ
コンコン今夜、手ノ鳴ル方ヘ化カサレチャッテ頂戴 本当ニ信ジラレルノハ誰ナンデショウ
出典: キツネ憑きの唄/作詞:ドイヒロト 作曲:ドイヒロト
古来よりキツネは人を化かす生き物である。
そう日本では伝えられてきました。
そのキツネが「誰を何のためにどのように化かす」のでしょうか?
手のなる方へと誘う(いざなう)。
果たして、その先には何が待っているのでしょうか?
ヒントは一つ。
「本当に信じられるのは誰なんでしょう」
この歌詞です。
MVにはやはり賭博素人衆が盆に見入るシーンが重なります。
この中に「裏切り者」がいる、とみていいでしょう。
キツネ憑きの唄「急の2」
ユニークな歌詞
イロハニホヘトチルヌルヲ 貴方ノ後ロハ誰? イナイ イナイ イナイバァ
出典: キツネ憑きの唄/作詞:ドイヒロト 作曲:ドイヒロト
イロハニホヘトチリヌルヲ。
これをただの語感だけの歌詞だととらえてはいけない気がします。
元歌を見てみましょう。
色は匂へど 散りぬるを
(香り高い美しい花もいつかは散ってしまう)
我が世誰ぞ 常ならむ
(永遠なんてものは無い)
有為の奥山 けふ越えて
(現実を乗り越えながら)
浅き夢見じ 酔ひもせすん
(はかなき夢すら見ないようにしよう)
実はこの歌は歌い手が判明しておりません。
いわゆる”詠み人知らず”です。
一説には空海の作だといわれていますが、はっきりしません。
ただ内容はこの世をはかなむ、この世の無常を謳ったものです。
さて、MVに戻りましょう。
MVでは当然のように素人衆が賭けに負けたリアクションをとります。
そして、勝ち誇ったように能舞台を歩く女賭博師。
しかし、その「ウシロノショウメン」にはキツネ面の男が……。
キツネ憑きの唄「全文解釈」
テーマは?
これはきっと「日本」を比喩した歌でしょう。
時は第二次世界大戦。
日本は傲慢な軍部の元、無謀な戦いに挑みます。
相手はアメリカを筆頭とする連合軍。
戦う前から勝敗は見えていました。
しかし日本は勝つと信じて戦い続けます。
そして絶望的な新型爆弾の投下によって敗戦に追い込まれます。
ただし「日本は勝つ」と信じていたのはフェイクではありません。
(拡大解釈をすれば)敗戦。
それこそが(超回復的戦後復興のための)フェイクだったのかもしれません。
敗戦後、日本は敵国の庇護の元、大国へと成長していきます。
そして現在世界のリーダーの一角を担う国になりました。
栄枯盛衰・諸行無常を長い歴史の中で見続けてきた日本。
日本を敗戦に追い込み、その後にてなづけようとしてきた列強。
彼らに対してしたたかに
「いつかオマエラも同じ目にあわせてやるよ」
と、鋭い牙を研ぎ続けました。
今はすでに術中に世界をはめています。
それから破滅への道に「オイデオイデ」をしているところなのです。
最後に笑うのは……日本。
キツネ憑きの唄「カオスなMV」は本当にカオスなのか?
ロケ地は神奈川
MV監督の太田タイキ氏は撮影場所に能舞台を選びました。
歌詞に負けないカオス感を出したかったのではないかと推察されます。
場所は「久良岐能舞台(神奈川県)」です。
人間国宝を何人も生んだ由緒正しき能舞台。
バンドシーンではセプテンバーミーのメンバーを舞台上で躍動させます。
ドラマシーンでは女優の「久垣美奈」扮する女賭博師。
彼女に手玉に取られるメンバーを演出しました。
キツネ面はもともと「能」や「お祭り」で使われるものです。
怪しげな雰囲気を出すにはもってこいのアイテム。
しかし、歌詞の解釈が「全文解釈」通りだと仮定しましょう。
そうするとMVはカオスでも何でもありません。
歌詞に忠実に沿った分かりやすいMVであるといえます。
カオスに見せかけた「説明MV」。
すべてにトラップを感じます。