【猿の学生】とは

大人気バンド「ハヌマーン」

ハヌマーン【猿の学生】歌詞の意味を徹底解釈!急に死にたくなる理由とは?猿と吉備団子の表現を深読みの画像

2004年に結成し、2012年に約8年間のバンド活動を終えたハヌマーン

スリーピースバンドにも関わらずそれを感じさせない重厚なサウンド人気を博しました。

またサウンド面にとどまらず、パンチのきいた歌詞世界も彼らの魅力の1つ。

世の中のあらゆることに鋭く切り込み、独自の視点で綴った皮肉っぽい歌詞が多くのリスナーの心を掴みました。

しかしそんな歌詞が嫌な印象を与えないのは、そこにポップさがあるからでしょう。

鋭いツッコミとそれを和らげるポップさ

それらの要素が見事に調和されているからこそ、彼らの楽曲が多くの人々の心を掴んだのです。

楽曲の世界観

ハヌマーン【猿の学生】歌詞の意味を徹底解釈!急に死にたくなる理由とは?猿と吉備団子の表現を深読みの画像

今回ご紹介する【猿の学生】は、彼らの1stアルバムWorld's System Kitchen』に収録されています。

SF小説、そしてそれをもとにシリーズ化された映画猿の惑星」をもじったこのタイトル。

ここからして、すでにハヌマーンらしさ全開ですね。

「猿の惑星」では、宇宙飛行士たちが不時着した惑星で独自の文明を築き上げていた猿たちが描かれていました。

ハヌマーンの【猿の学生】も同じような構造で、独自の文化を持つ学生たちの様子が描かれています。

そしてそんな学生たちの様子を、盛大に皮肉を込めて綴っているのです。

今回はハヌマーンが表現した世界、そして彼らのことを傍観する者たちの心境に迫っていきます。

夜の街で

溢れる若者たち

呆けた顔して若者が行く 夜の学生街は賑わう
彼奴の吐瀉物 軍手の片方 捨て看板の女がぼやく
『処世の悲しみを知ってるかい?』 猿の学生さん

出典: 猿の学生/作詞:山田亮一 作曲:山田亮一

楽曲の舞台は夜の繁華街。登場人物はそんな賑やかな場所に生息する若者たちと、それを傍観する語り手です。

この若者たちこそ、タイトルにある【猿の学生】でしょう。

1行目「呆けた」とは、何かに夢中になっている様を表しています。

が、それ以外にもぼんやりとした、知覚の鈍った状態も意味しているのです。

つまり夜の繁華街に向かう学生たちは「どうせ何も考えていないだろう」ということでしょう。

そうして何も考えずに飲み歩く若者たちは限度を知りません。

2行目にあるとおり、体調を崩すまで飲み続けることもしばしば…。

そんな学生に向けられたのが、3行目にある冷ややかな言葉でした。

処世とは一言でいえば「世渡り」のこと。

人生の甘い部分だけ味わって生きているような若者たちに向けられた鋭い指摘は、彼らに伝わっていないかもしれません。

まるで猿のように

呆けた顔して若者が行く 夜の学生街は賑わう
彼奴の吐瀉物 軍手の片方 鼓膜を裂くかまいたちの夜
冬の淀川を流れる死体 猿の学生さん

出典: 猿の学生/作詞:山田亮一 作曲:山田亮一

引き続き繁華街を埋め尽くす若者たちが描かれていますね。

中盤に登場する「かまいたち」は、心当たりがないのにできる傷跡のこと。

この表現から、ケガをしても気がつかないほどに泥酔している若者たちが想像できます。

羨ましいはずがないのに…

俺の知らない遊びを知ってそうで
嗚呼なんか急に虚しくなる
猿の学生が悪い事をしている
雰囲気の大蛇に呑まれて笑う
猿の学生さん

出典: 猿の学生/作詞:山田亮一 作曲:山田亮一

ここまでそんな若者たちの様子を淡々とした口調で語っていた語り手。

ここではじめて、若者たちに対する自身の想いを口にしました。

どちらかといえば若者を馬鹿にするような、下に見るような態度だった語り手。

しかしここではそんな態度に反して、少しばかり本心を覗かせているのです。

若者たちにとっての遊びといえば飲み会

語り手には一緒に飲み会をできる知人がいないのかもしれませんね。

だからこそ、毎日様々な友人と飲み歩く若者たちに少しばかり羨ましさを感じたのでしょう。