夜の帳に流れるピアノ
思い出せないあの曲のタイトル
忘れることを許してゆく
悲しみの向こうもう一度フォーリンラブ

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ

マーブル模様のような東京で生きる主人公はあるピアノ曲のタイトルを忘れてしまったようです。

その曲を忘れた先で再び恋におちる、とあるのでそのピアノ曲は過去の恋の象徴であると考えられます。

失恋の悲しみの中東京の街で生きている、という主人公の人物像が見えてきました。

悲しみもかき混ぜられていく東京

かき混ぜられていく
伸びる影 色とりどりの HEAVEN

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ

多くの人がひしめき合い、その人の数だけ想いが交錯する東京。

それは様々な色が混ぜ込まれたマーブル模様のようです。

その中で主人公は失恋による悲しみの色を混ぜ合わせて生きていることがこのパートから伝わります。

逃げ場のない憂鬱

loadingするもの

夏の匂い吸い込む
イカれた夜のメランルー
どこに逃げたって行き止まりね
遠く電波飛ばして
高く空に掲げて
now loading loading どうか応答せよ

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ

「メランルー」という言葉はありません。

造語であり恐らく「メランコリー(憂鬱)」に関係する言葉でしょう。

冒頭の「めくりめく」にこの「メランルー」と、この曲では「にしな」オリジナルの言葉がいくつか登場します。

こういった独特な感性は「にしな」の魅力の1つです。

夏の東京、蒸し暑い熱帯夜での憂鬱、所狭しと立ち並ぶビル、ひしめき合う人々。

窮屈な環境で悲しみや憂鬱の逃げ場を失っている様子が歌われます。

そして助けを求めるように、主人公は電波を飛ばし何かを「loading」するのです。

直前のパートから察するに、ロードしようとしているのは「忘れてしまった思い出」だと考えられます。

悲しみと憂鬱の行き場をなくした主人公が過去を求めて電波を飛ばす、そんなイメージでしょうか。

そしてこの「loading」という表現は『お耳に合いましたら。』の世界観ともリンクします。

夢と現実

夢が覚めればさんざめく路地で
目つきの悪いふて寝のどら猫
笑った子供も睨みつけて
お前はここで自由にやるのか

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ

過去のloadingはある種の現実逃避です。

必ず目が覚め、現実に引き戻されてしまいます。

自由と孤独は表裏一体です。何にも縛られないことは、何にも繋がりがないこと。

まるで野良猫のように、誰とも繋がらず全てのものを拒絶して生きていく。

誰もが心を開くだろう「笑った子供」にさえも敵意を向けるのです。

波打ち際で
砂の魔法がかき消されてゆく

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ

まるで砂浜に書いた文字や、砂で作ったお城が波にさらわれるように、ロードした夢は覚めてしまいました。

心の行き場を失った街で、孤独と憂鬱に苦しむ姿が描かれます。

【東京マーブル】は非常にポップで可愛い曲ですが、歌詞はなかなかハードな内容なのです。

欲望が愛のリズム

夏の匂い吸い込む
イカれた夜止まらぬ
欲望がいつも愛のリズム
大気圏を突き抜け
もうすぐ君の元へ
現在地は今取得中

出典: 東京マーブル/作詞:にしな 作曲:にしな・パソコン音楽クラブ