未知の存在に対して、人は興味を抱きます。一度気になってしまえば簡単には忘れられません。
主人公という未知に興味を持ってしまった彼は、彼女の事が頭から離れなくなってしまうのです。
互いにとっての未知が触れあう。そうして起こる出来事はすべて未体験の事象になるでしょう。
自分と全く違う価値観や考え、それらすべてが互いの心をときめかせるのです。
二人の心
彼の変化
点灯と消灯を 繰り返している蛍光灯
超常な混沌が 静かにあなたを蝕んだ
並行な信号は 特異点に因り交わった
創造現実盲信症 感応性本能
出典: エイリアンエイリアン/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
二人が触れあっていく中で、互いの存在が大きくなっていくことが描かれています。
暗闇の中点滅している電灯は嫌でも目を引きます。
一瞬表れる暗闇は未知への恐怖を呼び起こすものです。
それでも好奇心は恐怖に勝ります。
点滅の正体が気になって仕方がなくなってしまう。それが人間というものです。
点滅する光は主人公、それを気にしてしまうのは彼。
得体の知れない主人公に彼もまた惹かれてしまうのです。
そうして触れあう内に、彼は彼女の存在を受け入れていきます。
異常が日常に溶け込んで、当たり前となっていくのです。
本来ならば交わることの無かった二つの世界は交差してしまいました。
最後の行に書かれた言葉の羅列は、主人公との出会いによって起こった彼の変化でしょう。
真偽も不確かな彼女の言葉。それを彼は疑いなく受け入れます。
彼女の言動、その心に自然と共感を覚えるようになっていくのです。
彼の中で彼女の存在が大きくなっていることが表れています。
抱える不安
シンドローム ひとりきり夜な夜な
空想 描くまるでグリモワ
サーチライト 避ける浮遊機
「まだあなたは全てを知りたい?」
出典: エイリアンエイリアン/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
引き続き歌詞は不可思議な事象を書き連ねています。
毎夜一人で病的なまでに、空想に取り付かれている姿。
グリモワールとはフランス語で魔術の書物を意味します。
繰り広げられる空想がオカルティックで、少し危険なものであることを示しているようです。
続けて描かれるのは、宙に浮く物体が、それを探すための照明から逃げるように動く光景。
人に見つからないように逃げるUFOのような飛行物体が頭に浮かびます。
このUFOは、不可思議なものを解き明かそうとする目から逃げているのです。
歌詞で綴られている不思議な光景。
それははすべて主人公の描写です。
そしてUFOを探すライトは彼のことを表しています。
主人公は彼に自分のことを知られたくないのです。
オカルティックな趣味を持ち、少しだけ世間からずれている。
こんな私を見たら、彼は気持ち悪がって離れていってしまうかもしれません。
そんな恐れを主人公は抱いているのです。
それでも私のことを知りたいと思うの?
最後の問いかけにはそんな思いが表れているのです。
不安を超えて
エイリアン わたしエイリアン
あなたの心を惑わせる
瞳に映らない引力に 気づいてよわたしは
出典: エイリアンエイリアン/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
正常だった彼から少しずつ正しい判断を失わせている。
自分と出会ったことによる彼の変化を主人公はそんな風に感じたのでしょう。
自分の存在が彼にとって良くないものであるのではないかという負い目が感じられます。
それでも彼女は彼に恋をして、焦がれているのです。
言葉や態度で示さなくても確かな思いがあります。
そんな気持ちを彼に気づいて欲しいと願っているのですね。
未知に飛び込む
心に向き合う
エイリアン あなたのエイリアン
触れあえば傷は二度と消えない
降りそそぐ無数の隕石も
ときめく心には 届かない!
出典: エイリアンエイリアン/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
私の心はあなたのもの、そんな思いが感じられます。
葛藤を乗り越え、彼との距離が近づき、恋が進んでゆく。
膨らんでいく思いはもう後戻りはできないのでしょう。
一度近づいてしまえば、簡単に離れることはできません。
あなたという存在が心に深く刻まれてしまっているのです。
心の底から彼を思う恋心が示されています。
たとえ世界が滅びる程の災厄が空から降り注いできたとしても、この恋は邪魔させない。
彼女の思いの前にはどんな障害も意味をなさない、大きな恋のパワーを感じます。
自分の心の奥から溢れ出る思いを認め、彼への気持ちに向き合っていくのです。