抱きしめて キスをして
あの日みたく 離さないと笑ってよ
その手さえ繋げなくて
そうか私 こないだから
あなたの彼女じゃないんだね
出典: あなたの彼女じゃないんだね/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
先日別れを選んだ時から、お互いに落ち着かない日々を過ごしてきた2人。
このまま後ろ向きの日々を過ごしていても、2人はこの場所から動くことができません。
迷いや葛藤を越えて、「別れ」を受け入れる覚悟を決めるための土曜日。
今日が終われば、2人が会うことはもうなくなるでしょう。
目の前にいる彼を見ると、つい昔のように笑ってほしくなるのが乙女心。
すぐそばにあって、すぐにでも触れられる位置にあるあなたの手も、取ることができません。
触れたいと思う度に頭をよぎる「あの日の別れ」……。
そう、自分はもう彼の彼女ではありません。
もっと近くに行きたいのに、もうこの場から逃げ出してしまいたい……。
そんな不安定な気持ちは、簡単に消えることはないのです。
彼の優しさが仇となって
しなきゃいけない会話を
後回しで二軒目のカフェ
あなたは優しい人です
私にも そう 私以外にも
出典: あなたの彼女じゃないんだね/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
別れの原因は、きっと気持ちのすれ違いだったのでしょう。
彼は誰にでも優しくできる人間で、主人公はそれが寂しかったのです。
優しくすることは間違っていないけれど、いつだって自分だけを見てほしかった……。
言い出しにくいその不満が、募りに募って別れに繋がってしまいました。
これで最後、と決めた1日なのに、2軒目に連れて行ってくれる彼。
それはまるで付き合っていたころに戻ったかのようで、心が痛くなります。
「私にだけ優しくする彼が良い」だなんて、そんなわがままをいえるはずもありません。
それに、こんなに優しい彼でなければきっと、主人公が好きになることもなかったはずなのです。
ついに訪れた別れの時
他人よりも遠い存在に
あんなに傷ついたのに 傷つけたのに
寂しさが痛みなんてごまかしてく
誰よりずっとそばにいた あなたがこれからは
誰より遠くなる
出典: あなたの彼女じゃないんだね/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
長年一緒に居た2人だからこそ、笑い合う日もあれば涙を流した日もあったはずです。
別れを決意したあの日、あんなに憎らしく感じた彼のこと。
しかし思い返してみれば、あの日の怒りなんて微々たるものに感じてくるのです。
それはきっと怒り以上に、彼を失いたくない気持ちが強いから。
ここで引き止めても、いつかきっと同じことになる……。
それは分かっているけれど、どうしても簡単に背を向けることはできないのです。
あんなにそばにいて、もう一生離れないとさえ思っていた彼のこと。
彼にとってもまた、主人公はかけがえのない存在であったでしょう。
しかし今日が終われば、2人は他人よりも遠い存在になってしまいます。
どんな理由があろうと気軽に会えない関係は、地球の反対側へ行ってしまったような遠さにも感じます。
最後の言葉は「ありがとう」
好きなまま さようなら
あの日みたく もうやり直せはしないね
呟いた ありがとう ねえ
私の彼氏でいてくれて
出典: あなたの彼女じゃないんだね/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
最後にかける言葉くらいは、優しいものを選びたくなります。
これまでかけてきた酷い言葉を塗り替えるように、そしてこれまでの感謝を込めて……。
以前の喧嘩であれば笑って許し合えたのに、今回はそうもいきません。
あがいたって仕方ないなら、最後は明るい思い出で終わらせたいと感じるのは主人公だけではないはずです。
主人公が選んだ最後の言葉は「ありがとう」。
これまでの日々で感じた嬉しさや幸せは、紛れもなく彼のおかげで感じることができたものです。
そのすべてに感謝する意味を込めた「ありがとう」なら、彼に伝わらないはずはありません。
2人別々の未来へ
あの日見てた未来とは
抱きしめて キスをした
あの日見てた 未来じゃなくてごめんね
改札を抜けたらもう
振り返らない あなたもそこにはいないで
出典: あなたの彼女じゃないんだね/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
あの日抱きしめ合いながら描いた未来は、別れなど微塵も感じさせない明るいものでした。
2人で幸せになろうと約束したのにもかかわらず、現在は背を向け合っているこの状況。
約束を守れなかった自分を、お互いに責め続けているのです。
あの頃は疑いもなく、きっと一生一緒にいられるのだと浮かれていた2人。
それでも別れを選んだのは、お互いが心から笑える未来を望んでいるからに他なりません。
2人を分かつのは、使い慣れたはずの改札。
先に歩み始めたのは主人公の方でした。
足を進めた先に、もう愛しい彼がいなくても……。
もう振り返らないという主人公の決意は、彼にも届いているはずです。