特に赤穂義士伝(忠臣蔵)ものは派生する人気の演題(外伝)が非常に多く、義士伝で一ジャンルを成している。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/浪曲
『忠臣蔵』と言えば、主君の無念を晴らすために部下が悲しい復讐を果たす物語。
主人を辱めた相手を討ち果たすものの、参加した部下たちは処刑されてしまいます。
最後まで上司を信じ、義に殉ずる姿に古くから人気がある物語です。
そのため赤穂義士伝と呼ばれることもあります。
この「信じたけれど報われない」物語こそが、歌に登場する「浪花節」と言えるかもしれません。
そして『忠臣蔵』と同じように、日本人は古くからこのような物語を愛してきました。
それがこの歌のヒットの秘訣なのかもしれませんね。
浪曲では他にも『水戸黄門』『清水の次郎長』などが歌われてきました。
時代劇の題材にもなる有名な話ばかりです。
そういった普遍的な物語を歌うのが浪花節なのです。
忘れてはいけない教え
この歌が産まれた70年代末から大ヒットに至る80年代。
日本はまさに高度経済成長からバブル経済へと向かっていく時期でした。
そんな中で、忠臣蔵から続く「信じるけど報われない」物語が何故愛されたのでしょう?
それは、変わりゆく世の中で忘れてしまいそうになること。
つまり「人を信じること」を大切にすることと、それが必ずしも報われるものではないということ。
これらを忘れたくないという人々の想いがあったのではないでしょうか。
『浪花節だよ』と悟る人生
多くの人々にとって大切な「人を信じる」ということ。
そしてどんなに裏切られてもそれを「浪花節だよ」と笑って悟る。
それがこの歌で歌われている女性の「女の人生」なんです。
そんな姿こそが人々の心を掴んで今でも愛されているのかもしれません。
どこか自嘲的だけれど憎めない、そんな不器用な生き方こそが「浪花節」なんです。
そしてそれは、いつの時代も普遍的で変わらないもの。
だからこそいつの時代も多くの人に歌い継がれてきたのかもしれません。
現代にも通ずる生き方
近年この『浪花節だよ人生は』が再び脚光を浴びる機会がありました。
それは2016年に終了したニュース番組『報道ステーション』でのこと。
12年続いた番組がまさに終わるという時でした。
キャスターの古舘伊知郎さんが自身の想いを語り、最後にこの歌の歌詞を引用したのです。
複雑な政治や経済の問題がある現代社会で、人を信じるというのはとても勇気が要ることです。
そんな現代、この歌の持つメッセージはより大事になっていくのかもしれません。
今も愛される浪花節=浪曲
明治時代に産まれた浪花節=浪曲という演芸。
今でも昔ながらの形のまま受け継がれているのです。
浅草にある「木馬亭」という寄席では今でも毎月浪曲の公演が行われています。
若い浪曲師も奮闘しながら、浪花節を今に伝えようとしています。
まとめ
今回は細川たかしさんの『浪花節だよ人生は』の歌詞解釈を行ってきました。
単なる悲しい恋物語ではなく、その裏には歴史を越えて受け継がれた思いがあります。
古い歌を聞くときにはそういった部分に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。
この他にも、様々な昭和歌謡の歌詞解釈記事があります。
昭和を代表するスター石原裕次郎さんの『北の旅人』もまた、悲しい恋を歌った名曲です。
こちらの記事も是非チェックしてみてください。
【石原裕次郎/北の旅人】歌詞の意味を徹底解釈!寒さの理由は土地柄だけじゃない…秘められた想いとは? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
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