私の誕生日に
22本のローソクをたて
ひとつひとつがみんな君の
人生だねって言って17本目からは
いっしょに火をつけたのが
昨日のことのように
出典: 22才の別れ/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三
女性が昔を懐かしむかのような描写になっています。
出会った頃を。そして2人だけの生活が夢のように楽しかったあの頃を。
高校在学中に知り合った時から付き合い続けて、あっという間の5年間。
「私は、身も心もあなた一筋に生きてゆけました。
つい、この前も私の誕生日を祝ってくれましたよね。
でも、それが最後のバースデイになることを私はあなたに言えなかった…」。
そう、実は女性には人生を左右するくらいの大きな転機が訪れていたのでした。
それを男性に伝えきれないうちに22才の誕生日が来てしまったのです。
別れを切り出す運命の日が。
なんと結婚の話があったとは!
女性には縁談がまとまっていた
今はただ5年の月日が
永すぎた春といえるだけです
あなとの知らないところへ
嫁いでゆく私にとって
出典: 22才の別れ/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三
女性がどうして幸せだった生活にピリオドを打とうとしたのか。
それは、なんと結婚だったのです。
恐らく両親から縁談の話が舞い込んでいたのでしょう。
女性はその話を男性に打ち明けきれずに、ゴーサインを出してしまったのです。
結婚のために親元に戻らなければならない期日が迫っていました。
その日は女性がちょうど、22才の誕生日を迎える日の数日後だったのです。
時代が時代だったとはいえ、女性は結婚という形の幸せを選ぶことになってしまいました。
打ち明けられなかったのはなぜ?
女性が自分の結婚話を打ち明けきれなかった背景は、何だったのでしょうか?
そこを解明しないことには、この楽曲の素晴らしさが損なわれてしまいます。
ひとついえることは、男性はとても優しそうな雰囲気を感じさせる人だったこと。
恐らく一緒に暮らしていて、女性の全てを受け入れていたのでしょう。
だから、女性にとっても心地よかった5年間だったのです。
しかし、それ故、女性は打ち明けるきっかけを失ってしまいました。
本来ならば、何でも許容してくれる男性ですから、打ち明けることは可能だったはず。
結局、男性の優しさに負けてしまった女性は、男性を傷つける事ができなくなってしまったのでしょう。
22歳の誕生日の日、唐突に別れを切り出して曲はフィナーレに向かっていくのです。
別れに対する男性の描写はなし
男性はどういう気持ちで別れ話を聞いたのか
ひとつだけこんな私の
わがまま聞いてくれるなら
あなたはあなたのままで
変わらずにいてください
そのままで…
出典: 22才の別れ/作詞:伊勢正三 作曲:伊勢正三
しかし、別れに至った理由は、別にもあったかもしれません。
実は、男性と女性とでは家柄が違い過ぎていたのかも分かりません。
よって、男性はいずれ女性の方にいい縁談話が舞い込んでくることを予測していたのでしょう。
そして、その日が来るまで今の生活を続けられたら、それでよかったのかもしれません。
だから、突然の女性からの別れの宣告を受けても何とか取り乱さずに済んだのです。
その男性の思いを、女性はくみ取ることが出来なかったのでしょう。
男性の包容力と愛の力が、女性に何の気苦労もかけなかったのです。
そのおかげで、2人の幸せだった5年間があったのでしょう。
最後のわがままとは?
さていよいよ、歌詞も最後です。
女性は男性に対して、別れの挨拶とともにあるお願いを託します。
今まで通りの、優しい男性のままでいてください、と願ったのです。
これを男性が直接聞いたのかどうかの描写はありません。
もしかしたら、女性の心の中での願望かも分かりません。
でも、そんな事は男性の方も承知だったのです。
いつか、こういう日が訪れるのを悟っていたのですから。
だから、男性はやけを起こしたり、酒に溺れるような事はしないでしょう。
ただ、ポッカリと空いた心の孤独を埋めるにはしばらく時間がかかるでしょう。
男性は心の叫びをぐっとこらえて、女性を暖かく見送ることに決めたのです。