お互い相手を傷つけた?

松原みき【真夜中のドア】歌詞の意味を徹底解釈!季節が巡ると思い出すのは…?意味深な歌詞を紐解いてみたの画像

恋と愛とは 違うものだよと
昨夜言われた そんな気もするわ
二度目の冬が来て 離れていった貴方の心
ふり返ればいつも そこに貴方を感じていたの

出典: 真夜中のドア/作詞:三浦徳子 作曲:林哲司

今度は彼の冷たい言葉です。

彼女を突き放そうとしたのは、彼の方なのでしょうか。

どこかですれ違ってきた二人の心が、冷たい言葉を相手にぶつけてしまったのかもしれません。

熱い瞬間もあったはずなのに、会えばお互い相手を傷つけてしまうのです。

ここでも“~するわ”という強気な言葉が出てきますが、それは強がりなのだということが分かります。

最初のサビの部分で、彼女の切ない気持ちが描かれているからです。

自分の元から相手が離れていくのは、どんなに辛いでしょう。

別れた季節が巡ってくるたびに、彼女の心は悲しい思いで満たされます。

忘れたいのに忘れられないのは、それだけ彼のことを愛していたからでしょう。

去っていった彼は、彼女の心の中に冷たい言葉と辛い思い出を残してしまいました。

彼女の言葉も、彼の心の中に辛い思い出を残してしまったかもしれません。

彼女は、あんなことを言わなければよかったと後悔しているのではないでしょうか。

またあの季節が…

切ない歌詞がサビを盛り上げる

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stay with me… 真夜中のドアをたたき
心に穴があいたあの季節が 今 目の前
stay with me… 淋しさまぎらわして
置いたレコードの針 同じメロディ繰り返していた……

出典: 真夜中のドア/作詞:三浦徳子 作曲:林哲司

2度めのサビが始まると、既に英語の歌詞が頭の中に刷り込まれた状態になっています。

お洒落なメロディーに浸って、気分が良くなってしまうのです。

切ない歌詞が、サビのメロディーを盛り上げていると言ってもいいでしょう。

すぐそこまで来ている寒い季節に、彼女の心はだんだんと沈んでしまいます。

辛い思い出がまた蘇るのが、分かっているからです。

最後の行の歌詞は、この時代だからこその表現でしょう。

当時はまだCDもなく、レコードの時代でした。

ターンテーブルの上にレコードを置いて、針を落とすと再生が始まります。

深みのある音がその特徴ですが、欠点もありました。

ホコリや傷によるノイズを拾うことや、針が飛んで同じ部分を繰り返し再生してしまうことです。

そのメロディーは、彼女に何を思い出させたのでしょうか。

同じ思い出ばかりが蘇って、先へ進むことのできない辛さをあらためて感じたのかもしれません。

都会的な雰囲気の中に秘めた切なさ

思い出を抱きしめて

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stay with me… 真夜中のドアをたたき
帰らないでと泣いたあの季節が 今 目の前
stay with me… 口ぐせを言いながら
二人の瞬間を抱いて まだ忘れず暖めてた

出典: 真夜中のドア/作詞:三浦徳子 作曲:林哲司

サックスの間奏に続いて、最後のサビが繰り返されます。

ここまで来ると、もうサビのメロディーが待ち遠しくなっている状態です。

彼女の口ぐせになっているのは、やはり切ない願いでした。

口ぐせというよりは、誰にも聞かせたくない悲しい独り言かもしれません。

泣いている彼女を置いて去っていった彼の姿が、いつまでも心から離れないのです。

すぐそこに迫っている悲しい季節が、淋しい心をさらに傷つけようとしています。

切ない願いを言葉にすることで、少しでも気を紛らわしたいのでしょうか。

それとも、忘れたくないから言葉にしていたのでしょうか。

最後の歌詞は、切なくも大切な思い出を胸の中で抱きしめている様子を描いています。

これからも、彼女は彼のことが忘れられないでしょう。

彼女の心の中には、季節が巡るたびに同じメロディーが繰り返されるのだと思います。

お洒落で都会的な雰囲気の中に切なさを秘めている、そこがこの曲の魅力なのです。

作詞家と作曲家の感性

三浦徳子~コピーライターの感性

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作詞家の三浦徳子(みうらよしこ)は、70年代から80年代にかけて数多くのヒット曲を手掛けました。

1970年代後半から1980年代にかけて、岩崎宏美、石川ひとみ、松田聖子、早見優、堀ちえみ、工藤静香などの女性アイドル歌手全盛時にヒットチャートを席捲した。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/三浦徳子

彼女は杏里の「CAT'S EYE」や吉川晃司の「モニカ」、松田聖子の「青い珊瑚礁」などの歌詞を書いています。

これらの曲は、いずれも80年代のキラキラしたイメージを持っているのが特徴です。

元々はコピーライターだったそうで、時代の波を捉える鋭敏な感覚を持った人なのだろうと思います。

「真夜中のドア」のようなシティーポップと呼ばれるジャンルの曲にも、その感性がフィットしたのでしょう。