戻りたいあの日々
いつも手を差し伸べてくれた君

転ばないようにと気をつけた
はずなのに不意に嵌った水溜り
汚れたスニーカーぶら下げて
泣きついた僕と暖かい手の温もり
出典: ノスタルジア/作詞:TKT 作曲:EREN
MVに映し出されているのは、青春真っ盛りであろう2人の少女の姿。
歌詞の始まりでは、そんなかけがえのない友達との日々が描かれています。
辛い思いをしないようにと生きていても、避けようのないトラブルに見舞われてしまうもの。
しかしいつだってそんな自分の隣には、笑って支えてくれる君の姿があったはずです。
ふとした瞬間の絶望は、まるでこれまで積み上げてきたものを一瞬で失くしてしまうかのように残酷です。
一歩一歩共に歩んできたはずの靴も、主人公の心を表すかのように黒くよどんだ色に……。
そんな靴の汚れを、そして主人公の涙すらも拭ってくれた君。
2人にとってお互いの存在は、まさに「親友」と呼べるほどのものでした。
心が帰っていくのはいつだってあの場所
忘れてただろ? 僕らのふるさと
変わらない そうだろ?
出典: ノスタルジア/作詞:TKT 作曲:EREN
学生時代を終えた今、新たな土地での生活でいっぱいいっぱいになっていた主人公。
あれだけの日々を重ねた君とも離れ離れになり、昔のことなどすっかり頭から抜け落ちてしまっていました。
しかしふと気がつくと、転んだ時に助け起こしてくれる存在はもういません。
誰もが自分のことで精一杯で、他人など見ている余裕がないのです。
そしてようやく、大切な君の存在を思い出すことができた主人公。
ふと頭から抜け落ちてしまいそうになるけれど、主人公にとって帰る場所は1つだけです。
それはきっと、君にとっても同じことなのでしょう。
どれだけ離れてしまっても、どれだけ時が経とうとも、一緒に過ごしたあの日々が消えることはありません。
こうして君のことを思い出している時、どこかで君も同じように考えてくれていたのなら……。
2人が再び繋がることも、そう難しくないことのように思えます。
痛い痛い青春の記憶
忘れさられていく 青い春が
僕にとってはいらない 痛い痛い痛い記憶で
思い出そうなんて 言えないけど
たしかにあった幸せな記憶が
出典: ノスタルジア/作詞:TKT 作曲:EREN
青春を思い出そうとする時、若すぎた自分の失敗や過ちに頭を抱えたくなる人も多いものです。
自然と頭の隅に追いやっていたはずが、ふとした瞬間に蘇ってくる……。
そのたびに、あの頃出来なかった後悔が胸を突き差してくるようです。
しかしそんな青春の日々も、消し去ってしまうことはできません。
辛さや痛みの中に、失いたくない喜びや幸せがたくさんあったはずなのです。
今になって考えてみれば、強く心を刺激するのはマイナスな感情ばかり。
それでも少し残った幸せに色を付け、消えてなくならないように保存し続ける……。
そうして初めて、痛みばかりに思えたあの日々が、色鮮やかなものへと舞い戻っていくのです。
離れてみて初めて分かる大切さ
かけがえのない2人の思い出
喋り足りなくて寄り道した
ブランコに2人バイバイが言えなかった
叱られたことも次の日には
何事もないよ変わらない手の温もり
出典: ノスタルジア/作詞:TKT 作曲:EREN
幼かった自分たちは、まるで明日が来ないかのように毎日が刺激で溢れていました。
たわいないおしゃべりのはずなのに、話が尽きることは決してありません。
しかし今となっては、隣にいる人との会話は数分続けば長い方。
当たり前の変化にも関わらず、どこか寂しいと感じてしまう自分がいるのです。
まるでお互いのことで知らないことなどないかのように、ずっとそばにいた主人公と君。
どちらか片方がブルーな気持ちになっていたならば、もう片方が支えてあげればいいのです。
そうして次第に、悲しかったことなど忘れてしまっていたあの日々。
どんなに望んでも、あの純粋な気持ちや心高まる日々が帰ってくることはありません。