ブルーのスタジオで演奏を始めるバンドメンバー

ロックバンドらしいよくある装いの彼らに、ちょいちょいカンペやメイク、カメラマンが邪魔をします。

風や紙吹雪がもはや演出の域を超えてきたころ、バンドメンバーはだんだん熱を上げてきます。

そしてやがて、演奏そっちのけの乱闘騒ぎに。

スプリンクラーも開放され、スタッフも巻き込んで大騒ぎのラストシーン。

楽器もぶっ壊して、ロックバンドというよりはもはやパンクバンドのようなミュージックビデオです。

かっけえ。

歌詞

それでは歌詞を見ていきましょう。

日本語ロック、めちゃくちゃかっこいいぞ。

ほっといてくれ!

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

この曲のテーマはまさにこの一言「ほっといてくれ」。

何かとうるさい世間への、不平不満ぶちまけソングです。

まるで何かの条件反射 目立つもの皆くだらん却下
人の個性は許さない 出る杭打つ奴 (ほっといてくれ!)
言葉尻から捕まえる そしてプロフィールから粗探し出す
正義の名のもと pick it up pick it down (ほっといてくれ!)

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

すこしでも目立つひとへの攻撃は、SNSやテレビのワイドショーなんかでも連日目にします。

とくに昨年目についたのは、不倫報道へのバッシング。

自分が直接被害を被ったわけでなくても、ただ「気に食わないから」という理由で、時にはアドバイス風の批判を投げかけてくる外野は後を絶ちません。

特に若くて、目立つ商売のロックバンドなんて、そんな意見は嫌と言うほど貰うのでしょう。

そりゃ「ほっといてくれ」って言いたくもなるよね。

「これが正しいライフコースです」 そんなあなたにおすすめ商品
何が良いとか嫌いなもんとか押し付け合戦 (ほっといてくれ!)
右だの左だの売名だのそんなこと言う奴はガイジンだの 一生やってろ名付け親  
さらば外野 皆巻き込みな!

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

さらに次には、批判や意見に見せかけた「商売」。

消費者の不安を煽り、(たとえば「痩せてなくちゃかわいくない」と煽るダイエット商品とかね)おすすめ商品を押し付けてきます。

そして、ちょっと目立った意見を発信しようものなら、売名行為だ右翼だ左翼だと、「レッテル貼り」に大忙し。

そんな彼らやわたしたちを揶揄する新しいネーミングは、連日どこかで生まれています。

髪が長えとか服がだせえとか それが地味とか逆に派手 知らねえよ!
塾に行けとか恋をしろとか 真面目が良いとかよく遊べ 知らねえよ!

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

露出する立場のひとには見た目の“アドバイス”を、若者には“アドバイス”に見せかけた自分語りを。

そんな面白くもない話に流される必要はないと、パノパナは歌い上げます。

勝手に言いたいことだけ口にする人々は、だれもあなたの人生に責任なんて持ってくれません。

どんなセリフを吐いたって 1人じゃ怖いから
誰かの気に入る方へ進むような弱い自分 だけどさ
不安な道ほど良いじゃんか 歩き慣れなくても 心が叫ぶ方へ 向かう方へ 行け

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

しかし一方で、賛同者のいない道を選ぶことは勇気がいります。

誰かが褒めてくれた道の方が、安全安心に見えるものです。

でも、新たな道を開拓する楽しさもあると彼らは歌います。

もしそちらが「心」の求める方なら、迷うことなく生きて行けと。

シェルターでの暮らしはどう? こっちはこっちとて大変でさあ
恋愛映画の結末なんか どうでもいいような日常を送ってる
もがいて苦しむ俺の画が 血なまぐさいこの心の声が 届いた時に笑ってくれ
これに消費税つけて売ってくれ

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

「シェルター」、つまり世間的に認められた人生のこと。

教育熱心な親の言う、良い会社に入って結婚して家を建てる、のような、見本のようなライフスタイルです。

バンドマンとして、就職せずに大学を卒業したパノパマ。

そんな彼らに、「早く大人になりなよ」とでもアドバイスした同級生はそれなりにいたのでしょう。

しかしそんな彼らの歌声は、いまや「商品」になります。

それは、鮮やかな逆転劇に他なりません。

何から何まで深読み連合 タネも仕掛けも暴きたい奴ら
「この音楽は四つ打ちダンスロックといって」 (ほっといてくれ!)
それ自分が全部経験済み かと思えばそれが全然違ちげえ
不感、不完全、不干渉 真に受けない俺たち不感症

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

音楽を発表すれば、ジャンルは何だ、○○に似ていると、分類したがる大人たちはたくさんいるでしょう。

しかしその実、彼らが全てを経験として知っている知識かと言うと、また聞きの知識でしかないこともよくある話。

そんな大人たちの意見はまるで刺さりません。

「不感症」、これはポジティブな言葉なのです。

誰々っぽいとか何々っぽいとか どの界隈とかどのジャンル 知らねえよ!
恥ずかしいとかバカバカしいとか 夢だらけとか回り道 知らねえよ!
ほっといてくれ!

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

枯れた花を枯れたままで 貶すことなら誰でもできるだろう
その芝が青いわけは 自分の芝の中にあるはずだろう
誰もが回る 羨ましがる 傷つき傷つけ合うけど不感症
無責任なその声たちに 踊らされ黙ったままで生きてくことはないぜ

出典: フカンショウ/作詞:岩渕想太 作曲:岩渕想太・浪越康平

無責任な言葉に惑わされず、踊らされることなく自分の道を歩く。

そのためには「不感症」であることも大切です。

周りの意見なんて、聞きたいときだけ聞けばいいのよ。