今思い出すと甘える君が愛しい

サイドシートの君は まるで子供のように
微笑みを浮かべたまま 眠れる森の少女
ゆすって起こした俺を 恨めしそうににらんで
俺の手を握り返し 「愛が欲しい・・・」と言った

出典: ロード/作詞:高橋ジョージ 作曲:高橋ジョージ

助手席で眠っている”彼女”を見ている主人公が想像できます。

長い渋滞に疲れて眠ってしまったのでしょうか。

渋滞にはまる前に、きっとどこかへ二人で出かけてきたのでしょう。

恋人同士で出かけた帰りによくある光景ですね。

”眠れる森の少女”というフレーズが、ぐっすりと寝ている彼女を連想させます。

しかしゆすって起こしてしまうくらい、不安になってしまったのかもしれません。

起こされた彼女の一言。

「愛が欲しい・・・」というのは、どういう意味でしょうか。

もしかしたら、その後身ごもることに関係しているのかなと読み取れます。

二度とは戻れない

何でもないような事が幸せだったと思う
なんでもない夜の事 二度とはもどれない夜

出典: ロード/作詞:高橋ジョージ 作曲:高橋ジョージ

ここでは、主人公の”今はもうどうにもならない後悔”が感じ取れます。

”平凡な日常が一番幸せ”そんなこともよく言われますが、まさにその通り。

なんでもない、いつもと変わらない夜だったはずなのに...

”二度とは戻れない夜”という一文に後悔が詰まっていますよね。

幸せって本当になんでもないような毎日の中にあるんだということ。

そんな”なんでもないような事”が一瞬で”永遠に戻れなくなる”というメッセージです。

手放しで喜べなかったけれど

子供が出来たと君は 戸惑いながら話し
うつむき口を閉じて 深いため息を吐く
春が来るのを待って 二人で暮らそうかと
微笑む俺に泣きつき いつまでも抱き合ってた

出典: ロード/作詞:高橋ジョージ 作曲:高橋ジョージ

Bメロも回想から始まります。

あの夜の後しばらくしてから打ち明けられたのでしょうか。

”子供が出来た”と。

戸惑いながら打ち明け、深いため息を吐く彼女。

深いため息にはどんな意味があったのでしょうか。

主人公が手放しで喜べなかった気持ちを察していたのでしょうか。

高橋ジョージに届いた女の子の手紙では「彼にどう打ち明けるべきか」という苦悩が書かれていました。

そしてその彼は「もう子供はいらない」とも言っていたのですよね。

それを受けて、この主人公と重ねてみると、やはり彼女にはわかっていたのかもしれません。

”子供が出来た”と知った時の主人公の複雑な心中が。

しかし、主人公は覚悟を決めたと思われる言葉を彼女に伝えました。

”春になったら二人で暮らそうか”

その一言でどれだけ彼女が救われたことか。

彼女が主人公に泣きついていつまでも抱き合っていたということに胸が熱くなりました。

主人公にしてみても、覚悟が決まったからの言葉だったのでしょう。

子供ができて二人で一緒に暮らし、そのうち子供が生まれ、幸せな家庭を築いていく…

そんなことを二人ともが思い描けていたのではないでしょうか。

幸せを失った日

冬終わりに近づき 借りたての部屋の中
突然闇に落とした 悪夢のような電話
病室のベッドの上 まるで子供のように
微笑みを浮かべたまま 眠れる森の少女

出典: ロード/作詞:高橋ジョージ 作曲:高橋ジョージ

春になったら一緒に暮らそうと話していた二人。

主人公はその第一歩として二人で暮らす部屋を借りました。

まだ借りたばかりです。

ここから引越しの準備をして、楽しい毎日が待っていたはず。

それなのに...

幸せな毎日から一気にどん底に突き落とされる衝撃。

それは、彼女の”死”を知らせる電話でした。

雪がちらつく冬の始まりに助手席で眠っていた彼女の顔。

今見ているのはその時みたいに、子供のように眠る彼女です。

”眠れる森の少女”。今度は永遠に…

微笑みを浮かべたままというのが苦しまずにとも取れますね。

真実の話では、交通事故で胎児とともに亡くなったとのことでした。

高橋ジョージの願いでもあったのではないでしょうか。

せめて、苦しまずに逝けたと...

雪を見ると思い出す君とのこと

ちょうど一年前に この道を通った夜
あの時と同じように 雪がちらついている

出典: ロード/作詞:高橋ジョージ 作曲:高橋ジョージ

こうして歌詞を読み解いてみると湧き上がる感情はやるせない気持ちばかりです。

どうして死ななければならなかったのか。

赤ちゃんを授かったのになんでこんなことに。

そんな悔しさも感じられます。

そして、筆者が何よりも感じているのは「高橋ジョージ」の後悔です。

彼はファンレターに悩んでいることが書いてあり、その事実を知っていました。

でも音信不通になってからどうなったのか、気にかけていたものの知るすべがなかった。

気にかけていたその子の亡くなったという知らせ…

事実、どうにかできるものではありませんでした。

何か彼女の助けになるような助言をしたとしても事故は防げなかったと思います。

それでも、”不安なまま”死んでしまっていたとしたら…と思うとつらかったのでしょう。

「高橋ジョージ」の気持ちが痛いほど伝わってきませんか?

だからこそ、第13章までの長編曲になったのではないでしょうか。