あなたと叶えたい

“ma chérie…”
“ma chérie…”
“ma chérie…”

出典: ma chérie 〜愛しい君へ〜/作詞:MALICE MIZER 作曲:MANA

主人公は君のことを呼び続けます。

口に出すとちょっぴり照れ臭いような台詞でも、主人公は気にせず伝え続けていました。

ここまでのフレーズも含めて考えると、どれほど彼女のことを想い愛しているかがわかります。

憧れ

久しぶりに見かけた 半世紀 寄り添う二人
ほら そこの窓から こぼれ落ちている幸せを
少し黙って もらってみても
ここの周りの人達も 見逃してくれるよね

出典: ma chérie 〜愛しい君へ〜/作詞:MALICE MIZER 作曲:MANA

ショーウィンドウの前を通りかかった夫婦。その2人の間に、何十年も変わらぬ愛の姿を見たのでしょう。

主人公たちが飾られたショーウィンドウの前を頻繁に通る夫婦なのかもしれません。

50年以上その夫婦を見守り続けているということは、裏を返せば50年以上彼らは動けずにいるということ。

しかし愛は一切変わりなく2人の間に存在していました。

自由に動ける夫婦と同じくらい、いやそれ以上に深い愛を育んでいるのです。

しかし違うことといえば、彼らが夫婦のように自由に動き回れないということただ1点だけでしょう。

だからこそ見つめるのです。

彼らが貰っている幸せは、そんな人々を見ることで募っていく自由への憧れかもしれません。

好きだから

恋人達は理由もなく
きっかけも なにもなく
“ma chérie…”
“ma chérie…”
“ma chérie…”

出典: ma chérie 〜愛しい君へ〜/作詞:MALICE MIZER 作曲:MANA

これまでのストーリーとは少し切り離される部分かもしれません。

主人公が愛の本質に迫っているかのようなフレーズですね。

好きに理由なんてない」といったところでしょうか。

なぜ興味をもったのか、なぜ好きになったのか、主人公が抱く想いの言語化は難しいこと。

それよりも、本能的に何か感じるものがあったということなのでしょう。

まさに運命的な出会い。愛とはそういうものなのだと教えられた気がしますね。

願いごと

何を願い、何を祈るのか

星降る夜を待ち 願いをかけよう

繰り返すその言葉は祈りの言葉

出典: ma chérie 〜愛しい君へ〜/作詞:MALICE MIZER 作曲:MANA

最後に再び星を見つめ、願っている姿が描かれています。

願いをかけるシーンは楽曲前半にも登場していましたが、その時の願いは「彼女を喜ばせたい」でしたね。

ではここでの願いは?2行目にあるとおり、それは「祈り」に近いもののようです。

星に必死に祈ること。それはまさにma chérieと結ばれることではないでしょうか。

彼らの本当の姿とは?

ここまでの歌詞は、「動けないマネキン人形たちの報われない恋の物語」として解説してきました。

しかしこの「人形」が比喩表現だとすると、どうでしょう。これまでの解釈が大きく変わるのではないでしょうか。

設定は変わりません。主人公と、彼の想い人である女性です。

お相手の女性はいわば貴族の娘のような存在。きっと一人娘で、両親から大切にされてきたのでしょう。

しかし大切にされているが故に、彼女の行動はとても厳しく制限されていたに違いありません。

家からも出してもらえないのかもしれませんね。だから動けない人形のようだと表現しているのです。

しかしそんな女性に心を奪われてしまったのが主人公の男性でした。

窓辺で佇む彼女を遠くから見つめていたのかもしれません。

家から出られず淋しそうな彼女を見ながら、どうにか一緒に抜けだせたら…なんて想像を繰り返したのでしょう。

だから願っていたのです。いつか自由になった彼女を、外の世界に連れ出してあげたい、と。

女性が、そんな主人公の想いに気がついていたかはわかりません。

その証拠に、この歌詞中では女性の心を表現するような描写が一切されていないのです。

しかし仮にそうだとしても、主人公の深い愛に変わりはありません。

いつくるかわからない明るい未来を夢見ながら、今日もまた彼女を見つめているのでしょう。

まさにロミオとジュリエットともいえそうなストーリー。

ロマンチックな展開に夢中になった人も多いのではないでしょうか。

恋の行方が明記されていないところもまた、聴く人たちの心をつかんで離さないポイントかもしれませんね。