PSYQUI（サイキ）【Raise Your Hands feat. Such】歌詞を和訳して解説！

言葉は反復が基礎とはいえ語順や序列に変化が見られます。

まったくのリフレインではありませんのでご注意ください。

君も僕と一緒にいる限り止まることができません。

君は考える間もなく僕のビートによって急かされる運命にあるのです。

一蓮托生。

僕と君はまだ誓いあった仲ではありません。

それでも同じ運命をたどるクルマに乗せられているのです。

高速道路ですから行こうと思えばどこまでも進めるでしょう。

しかしクルマに乗っているとはいえ、ふたりに明確な目的地などないのです。

とにかく逃走することによって闘争することが自己目的化してしまいました。

しかし立ち止まっているような時間はないと僕は煽ります。

この曲で行けるところまで向かうのだというPSYQUIの心象が滲むのです。

こうした逃走劇に未来があるかどうかは分かりません。

しかし他にアイディアもないのならばとにかく走ることが大事だという思いが伝わってきます。

間にまたリフレインが挟まれます。

紙幅の関係で割愛いたしました。

いよいよクライマックスです。

ご覧のようにすでに見た言葉が並んでいます。

しかしここでも細部の語順や序列に手を加えているのです。

PSYQUIが最後に伝えようとしたのは何なのかを浮き上がらせましょう。

既存のルールの代わりに何か対案があるのかと尋ねる人にはこの歌詞を楽しめないかもしれません。

PSYQUIは対案など提出する暇もないしとにかく逃走することを表明します。

それでは無責任ではないかという人もいるでしょう。

しかしダンス・ミュージックの歌詞に多くを求める姿勢自体を疑った方がいいです。

まず踊ることに特化したのがダンス・ミュージックの歌詞の性格でしょう。

ダンスの邪魔になるような精緻な政策論争などまったく不要なものでしかないです。

どこまでも享楽的であり、そうした姿勢でも日々過ごしてゆける事実を大事にしています。

ギスギスした議論自体に嫌気が差しているからこそ逃走劇に賭けているのです。

いまここから逃げ出すこと。

行き着いたその先でも逃亡を企てるようになるかもしれません。

人生そのものが逃亡兵のようであることもまた闘争の一形態なのです。

PSYQUIは「Raise Your Hands」で逃走にこそすべてを注いで楽曲を閉じます。

決まったベクトルを示さないその電子音の行方が様々であることを思い返してください。

「Raise Your Hands」の歌詞の中では直接に出てこない大切な言葉があります。

それは「自由」という言葉です。

フリーウェイという言葉は通例こそ高速道路という意味でしょう。

PSYQUIはひょっとしたらこの言葉をダブル・ミーニングで使用したのかもしれません。

自由でもいい道くらいの意味をかけた可能性があります。

逃走の目的は自身の自由を手放さないで生きるためでしょう。

そのために果てしなく続く道があるから、その道をひたすら走ろうとPSYQUIは表明します。

「Raise Your Hands」

最先端のダンス・エレクトロニカでもシリアスな歌を乗せました。

この曲の歌詞はどこかメッセージ・ソング的な趣さえあります。

伝えるメッセージは常識に掴まる前にとにかく逃げろというものです。

PSYQUIは社会の周縁部からこのメッセージを届けてくれました。

窮屈な生活の中で実際の逃げ道というものはダンス・ミュージックにしかないかもしれません。

Suchは終始、抑制の効いた歌い方をしますがエモーショナルな歌詞を届けてくれました。

PSYQUIがこの先の将来、私たちリスナーに届けてくれる新たなビジョンを楽しみにしたいです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEにはPSYQUIの関連記事がいくつかあります。

中でも一番のアクセスを誇る記事をご紹介しましょう。

「Don't you want me (feat. Such)」

この曲の歌詞を徹底解釈いたしました。

ダンス・エレクトロニカの超新星・PSYQUIについてもっと知ることができます。

ぜひご覧ください。