PSYQUI（サイキ）【Raise Your Hands feat. Such】歌詞を和訳して解説！

2018年10月28日発表、MEGAREXレーベルのオムニバス・アルバム「epoqc 2021」。

このアルバムに収録されたPSYQUIの「Raise Your Hands feat. Such」をご紹介しましょう。

謎が多すぎるトラックメイカー・PSYQUIと女性ボーカリスト・Suchによる楽曲です。

ダンス・エレクトロニカでありながら非常にトリッキーな音作りをしています。

どこまでも自然に転がってゆく印象のトラックで疾走感が抜群なのです。

PSYQUIはSOUNDCLOUDでの楽曲発表などを積極的に行います。

若手アーティストらしい発信の仕方で多くの支持を獲るようになりました。

楽曲「Raise Your Hands」については詳しいクレジットさえ分かりません。

ジャンルとしては「Future Bass」と「UK Hardcore」の影響が交錯した「Future Core」。

「Future Bass」というジャンル自体が新しいものです。

さらにハイブリッドで新しいものが「Future Core」。

細かいジャンル区分で音楽を語るのはナンセンスかもしれませんがそれほど新しい作風ということです。

キラキラした「Future Bass」とは確かに一味違う翳りがあります。

歌詞の方は反復が多い内容です。

こうした傾向はエレクトロ・ダンス・ミュージックに固有のものでしょう。

今回の記事はあまり語られたことのないPSYQUIの歌詞の世界に切り込んでみます。

そこにはドキッとするような反骨精神が息衝いていました。

それでは実際の歌詞をご覧いただきましょう。

歌い出しの歌詞になります。

「Raise Your Hands」は英文も多いので適時、意訳を添えましょう。

ここでは「僕の好きなようにハイにさせてよ」という意味になります。

基本はダンス・ミュージックですので踊るのに邪魔になるような難しい歌詞はありません。

高速道路をクルマで飛ばしているような情景を描いています。

ダンス・ミュージックでビートの速さを強調するような楽曲はクルマ文化との相性がいいです。

エレクトロニクス・サウンドもクルマをモチーフにしたものが多くあります。

テクノの元祖であるクラフトワークが名盤「アウトバーン」を発表してからの伝統かもしれません。

ここでPSYQUIは今夜こそ好きにやらせてもらうよという意志を表明しています。

この気分こそが「Raise Your Hands」の歌詞の全編を貫いているのです。

語り手の「I」に対して「You」も登場します。

記事中では「I」を僕とし、「You」を君としましょう。

僕と君の関係は明示されていません。

この後にラブソング的な僕と君の関係が見え隠れするのです。

「Raise Your Hands」のタイトルのとおりに僕は君を煽ります。

君も今夜はもっと色々なことをやろうぜというニュアンスが滲む歌詞です。

君が止まらないという意味の英文は君を乗せている僕のクルマが進み続けるという意味でしょう。

座席の描写などがないのでこの辺りは明言できないですしブラックボックスの中です。

とにかく今夜はどこまでも走ってゆこうぜという僕の思いが透けるでしょう。

クルマの振動やBGMでグルーヴを感じる夜にしたいとSuchは歌います。

英文は君を決して放しはしないという意味になります。

今日は欲望に忠実になっていようと歌う背景には大人の恋愛模様が透けているでしょう。

君はまだ僕と恋人関係になることを決意していません。

僕はかなり強気で君をドライブに誘って今日こそ関係を進展させようと願います。

「Raise Your Hands」の歌詞には固有の男性性が滲んでいるでしょう。

半ば強引にでも相手をものにしたいという思いが潜んでいます。

君に対して命令調で話すのですから僕には相当な自信があるのかもしれません。

君の意志はブラックボックスの中にあります。

ひたすら僕に煽られ続けるのですが、いまのところ君も高速道路の上です。