毛皮のマリーズ【ビューティフル】
夢への挑戦
今回紹介していくのは毛皮のマリーズの「ビューティフル」。
歌われているのは夢を追いかける辛さです。
主人公の彼は、歌の冒頭で自分に対して強烈な皮肉を言っています。
それは夢を追いかける自分に対して、自信が持てないからです。
自分が歩んでいる道を自分で疑ってしまう苦悩。
夢を追いかけた事がある人なら、この歌を聴いて共感する部分が多いでしょう。
曲を聴き終えたとき、あなたは「正義が勝つ」と言える彼にかっこよさを感じるはずです。
毛皮のマリーズの真骨頂
「ビューティフル」は毛皮のマリーズの1stシングルとして、2008年にリリースされました。
曲を聴いてもらえば分かるとおり、彼らの曲はいっさい一般受けを狙っていません。
他にはない異質な雰囲気が曲全体に漂っています。
唯一無二の音楽こそ、このバンドの持ち味なのです。
もし他のバンドが彼らの曲をカバーしようとしても、それは不可能でしょう。
彼らの奏でる独特なリズムと、志磨遼平さんのユニークな歌声。
それらが揃わなければ、この歌は途端に陳腐なものになってしまいます。
こんなにも個性的で素晴らしいバンドですが、残念ながら彼らは2011年に解散します。
彼らはもういませんが、その強いインパクトはこの曲とともに私たちの記憶に残り続けるでしょう。
歌詞解説スタート
歌詞の冒頭では、皮肉を交えながら自分のことを紹介しています。
難しい単語も出てくるので、それらを含めて解説していきます。
自分への皮肉
私は 人生複雑骨折 ドラマ型統合失調症
ヒステリックだが ストイック ヒロイック
パセティックでロマンチック
出典: ビューティフル/作詞:志磨 遼平 作曲:志磨 遼平
「統合失調症」とはよく聞く言葉ですが、その意味を理解している人は少ないかもしれません。
この「統合」とは脳をまとめ上げる機能のことを意味しています。
つまり「統合失調症」とは、脳を上手くまとめられない症状のことを表しているのです。
一般的には幻覚をみたり、やる気が低下したり、認知機能の障害などが挙げられます。
彼はドラマチックな幻覚（妄想）を見てしまうのです。
理想と現実
もう一つここでは、彼の二面性が歌われているように思えます。
しかし歌詞を読み解いていても、彼にヒロイックさなどは感じられません。
実はここで歌われているのは、彼の現実と理想なのです。
ヒステリーを起こしやすい反面、ストイックで英雄的。
悲愴感を漂わせる一方で、ロマンチシスト。
言うまでもなく、現実を語っているのは前者のネガティブな部分。
後者は今後そうなっていきたいという願望です。
目指しているものと、自分とのギャップに彼は悩んでいます。
憧れのヒーロー
突きつけられる現実
｢誰かが私を待っている｣･･･と､言いながら
誰かを待ってました 昔のロックを聴きながら
今週のジャンプに泣きながら 彼らは私にこう言った
｢ボウズ､最後は必ず正義が勝つ｣
そして 開演のベルは鳴り ビリー･シアーズの登場です
出典: ビューティフル/作詞:志磨 遼平 作曲:志磨 遼平
歌詞の1行目は、さながらヒーローの決め台詞のようです。
しかし、彼を待っている人は残念ながらいません。
むしろ彼のほうが、彼を必要としてくれる人物を待っているのです。
理想と現実があまりに違うため、彼の心は少し折れかけています。
その様子はジャンプを読んで泣いているシーンからも、うかがい知ることができるでしょう。
「友情・努力・勝利」を貫くヒーローの姿は、彼が憧れるヒーロー像そのものなのかもしれないですね。
