※好きだったのよあなた 胸の奥でずっと
もうすぐわたしきっと あなたをふりむかせる

出典: まちぶせ/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

1行目はきっと誰もが納得できるでしょう。しかし2行目は……?

ちょ、ちょっと待って!!

「あの娘」がいるのに、まるで意に介していないようなそのセリフは何?

それまで想うばかりで何もアプローチをしていなかったけれど、かえってやる気満々?

こうして文章にして読むと、かなり怖い気がしますね……。

ちょっと前に流行った「肉食系女子」という言葉が脳裏をかすめます。

まなざし攻撃!

気のないそぶりして 仲間に加わった
テーブルをはさんで あなたを熱く見た

出典: まちぶせ/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

まさか、二人がデート中の喫茶店に乱入したのでしょうか?

その場合「仲間に加わる」とは、さすがにいわないですよね?

第一そんなことをしたら、彼に「なんだこの女」と思われるのは明らかです。

なのでこれは後日、アプローチを始めた時の話と解釈するのが妥当ではないでしょうか。

「仲間に加わった」という点から、他にも人がいるように思えますし。

彼が友人たちと学食などでワイワイ話している中に、ちょっとだるそうな雰囲気で加わったのかも。

でも彼にはしっかり、熱いまなざしで攻撃開始です。

恋の駆け引き

あの娘がふられたと 噂にきいたけど
わたしは自分から 云いよったりしない
別の人がくれた ラヴ・レター見せたり
偶然をよそおい 帰り道で待つわ

出典: まちぶせ/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

とはいえ、いつも彼のいるグループに付きまとっていた訳ではないようです。

「あの娘」が彼にふられたのも、噂で聞くレベル

基本的には距離を保ちつつ、緩急をつけて接近するという作戦のようですね。

別れたからといってすぐに露骨なアタックをするのは失敗率が高そうですし、これは正解かと思います。

「こんな手紙もらっちゃったけど、正直悩んでるんだよね~。どうしたらいいと思う?」

待ち伏せしておいて「あれ? 今帰り? 偶然だね~。私もだよ~!」

この2つはあるある! 読者の皆さんも覚えがありませんか?

石川ひとみも三木聖子も「経験がある」と言っていたのは、このあたりだと想像しています。

でもこれって、客観的にみるとやっぱりストーカーっぽいかもしれません……。

実は臆病な彼女?

好きだったのよあなた 胸の奥でずっと
もうすぐわたしきっと あなたをふりむかせる

好きだったのよあなた 胸の奥でずっと
もうすぐわたしきっと あなたをふりむかせる
あなたをふりむかせる

出典: まちぶせ/作詞:荒井由実 作曲:荒井由実

先述の※部分が繰り返されている部分なのですが、敢えてきっちり引用してみました。

「もうすぐ」「きっと」「ふりむかせる」

この3フレーズが繰り返されるのを文字で読むと、怖さがよりいっそう際立つ気がします。

ここが最大級にストーカーっぽいと思われる部分でしょう。

しかし少し突っ込んで考えてみると、これは虚勢とも解釈できそう

彼に振られた「あの娘」がいるように、自分から告白したら同じく振られるかもしれない。

そうならないためには、彼の方から告白してもらうように仕向けないと。

いわゆる「マウンティング彼女」というパターンでしょうか。

自分に自信がなく臆病な人ほど、こういうマウンティングを取りがちともいう説もあります。

動画聴き比べ! 聖子VSひとみ

歌詞の説明が一通り終わったところで、実際に曲を聴いてみましょう。

聴き終えた時「うわ~、モロにストーカーだ!」と感じるでしょうか?

それとも「あれ? あんまりそんな感じがしないよ?」と思うでしょうか?

まずはオリジナルの三木聖子からどうぞ!

三木聖子Ver.

いかがでしたか?

透明感あふれる声質と切なく歌い上げる歌唱から、純粋さを感じた方が多いかと思います。

特に「あなたをふりむかせる」の部分では、想いの一途さが伝わるような表現がありました。

人によっては「その一途さが怖い」という印象を受けるかもしれませんが……。

でも「ストーカーっぽい」というのはちょっと違う気がしませんか?