「Why」彼はなぜやってくる?
Come doused in mud, soaked in bleach
As I want you to be
As a trend, as a friend
As a known enemy
泥にまみれて、漂白剤に身体を浸して来ればいい。
俺の望むお前のままで
もてはやされている、友人として
敵と知られているお前として
出典: Come As You Are/作詞:Kurt Cobain 作曲:Kurt Cobain
ここでの「Why」はまずどうしてそのようなことを言うのか…。
ということから考えてみます。
そしてやはりといっていいと思いますがここにも差別発言が出てきます。
不可解ですがこれはわざと言っていますね。
汚れを落として来いと言っているようにも受け取れますがそれだけではないはずです。
黒いやつは白くなって出直して来いのような意味でしょうか。
これがカート・コバーンの両極性です。
彼は追い込まれると攻撃的になる性質をもっているように感じます。
この攻撃性が彼の特徴であり、ありのままの自分でしょう。
そのありのままの自分で来いよというのはそのあとの歌詞にも繋がって来ます。
では次の疑問「Why」はどうして来て欲しいかということです。
今流行っているのは世間から注目され、ちやほやされている自分ですね。
そして不快な差別発言ばかりしているような世間から嫌われている自分です。
この二極化した自分のどちらにも来て欲しいということですね。
このような性質に一番苦しんでいたのは自分でしょう。
そしてこのようになってしまったのも過去のトラウマに原因があることもわかります。
そしてここが一番大切なことですが、彼はこの両方の自分が嫌いだということです。
では嫌いな自分になぜ来て欲しいのでしょうか?
その答えは次の場面で説明させてください。
次の場面を挟んでこのフレーズの後にも「死を忘れるな」のフレーズは繰り返されています。
「What」彼は何を持ってきた?
And I swear that I don't have a gun
No I don't have a gun
No I don't have a gun
誓っていう、おれは銃なんか持ってない。
違う、銃なんか持っていない。
出典: Come As You Are/作詞:Kurt Cobain 作曲:Kurt Cobain
ついに彼(自分)は自分のところにやって来たのでしょうか。
そして彼が手に持ってきたものは完全に「銃」ですね。
俺を撃たないでくれとまるで命乞いをしているような場面です。
ですがこれは「メメント・モリ」の強迫観念に過ぎません。
追い詰められている感じは明らかです。
「No」というのは自分への否定でもありますね。
銃を向けないでくれと言っています。
昔の「記憶」が彼を殺しに来ているという妄想でしょうか。
俺はまだ死にたくないから来ないでくれということですね。
ここには彼の矛盾がありますし、気になることは何故来て欲しいと言ったのかということです。
それは自分自身への否定感を認めたくない時と認めてもいい時があるからではないでしょうか。
アメリカのような銃社会では相手が銃を持っているかどうかが発砲の判断の基準になりますね。
要するに自分への否定を認めたくない時が「No」であって死にたくない時です。
そして自分への否定を認めた時が「Yes」であって死んでもいい時になります。
その時はきっと俺は銃を持っていると言ってしまう時なのでしょうね。
次はまとめとして彼の攻撃性を探るためにNirvanaのほかの曲と見比べてみたいと思います。
まとめ~カート・コバーンの両極性を検証する
A mulatto, an Albino
A mosquito, my libido, yeah
ムラート、アルビノ
モスキート、俺のリビドー
出典: Smells Like Teen Spirit/作詞:Kurt Cobain 作曲:Kurt Cobain
ではNirvanaの他の楽曲の気になる歌詞を検証してみます。
この歌詞はアルバム「NEVERMIND」のタイトル曲の中のものです。
ここにもあります、不可解な差別用語。
混血、突然変異、害虫や性欲など彼にとって鬱陶しいものを並べているのでしょうか。
他の歌詞の中にも俺も醜いけれどおまえらも醜いだろうといった歌詞が平然と出てきますね。
ですが反対に自分を賛美するような自信過剰発言もあります。
この両極性をどういう気持ちで聴いたらいいのかわからなくなりますね。
鬱陶しいというより自分の力ではどうにもならないことに苛ついているのでしょう。
きっとこのどうにもならないことが生きるということだと言いたかったに違いありません。