そんなベタなフレーズを連発しまくっている曲を聴くと、普通はうんざりするものです。

しかし寿君の曲ではそのようなことは微塵も感じません。

むしろベタだからこそ、その温かみが伝わるのではないでしょうか?

ベタなのに心に響くその理由は、やはり寿君の優しい歌声と心地良いメロディーだと思います。

レゲエミュージックも他のジャンルと同様にお茶の間やCMソング、テレビ番組に使用されたらいい、と話していました。

そんな「レゲエミュージックをより身近に」という寿君の想いが、日本人が好むベタなフレーズを使う点に反映されているような気がします。

そして、レゲエミュージックをこんなにも身近で優しい存在にするためには、間違いなく寿君の優しい歌声が必要です。

寿君の歌声とベタなフレーズが融合し、心に直接響く親しみやすいナンバーに仕上がっているのではないでしょうか?

歌でなら役に立てるかもしれない

話すように歌う

何か少し役に立つ様な気がしました
まるで日常会話みたいな歌いたがりの
僕なりの挨拶

出典: Sing a Song for you/作詞:寿君 作曲:Stephen"Di Genius"McGregor, BURN DOWN

大切なあなたに想いを伝えれば、何かあなたのためになるかもしれないと感じています。

僕は「歌うこと」でしか力になれないとも感じているのでしょう。

だから何気ないトークにも似た歌だとしても、気持ちを込めているのです。

このフレーズから歌い手としての強い想いが伝わってきます。

歌は人の心を癒す力があります。

僕は歌うことしかできないけれど、歌なら必ずや届くのだ、という強い想いを感じますね。

この曲もレゲエのジャンルに入りますが、寿君がいう「レゲエの悪いイメージの払拭」は完全に達成されていると思います。

そばにいられない僕は、あなたの手を握ることや抱きしめることはできません。

歌うことしかできないよ、という控えめな優しさを歌に乗せたレゲエなんて、怖いはずがありません。

むしろ、人の心を癒すレゲエミュージックに仕上がっているのではないでしょうか。

あなただけに聞かせたい歌がある

日本で唯一?!癒し系レゲエ

僕の歌の部屋の合鍵をあなたに渡したい
また何かにつまずいて元気になれない時は
その扉を開けて気持ちを委ねて
この音に揺られてくれ

出典: Sing a Song for you/作詞:寿君 作曲:Stephen"Di Genius"McGregor, BURN DOWN

「僕の歌の部屋の合鍵」なんて、とても素敵な言い回しですね。

この合鍵を持っていれば、いつでも彼の歌を聞くことができます。

そして、落ち込んだり心が深く傷ついたりした時は、誰に断るわけでもなくその鍵を使うのでしょう。

そしてドアの向こうから聞こえる優しい歌声に引き寄せられ、身を任せれば良いのです。

そうして彼の歌声やメロディーはあなたを包み込み、傷ついた心は徐々に回復していくでしょう。

彼の音から元気をもらうことができるのです。

「ドレッドヘアーやサングラス、赤や緑のどぎつい色の服を着たガタイの良いおじさんが、世間への不満をぶち上げている」

そんな恐ろしいイメージのレゲエは最早ありません。

身を任せられる優しいメロディーと暖かなメッセージ性を兼ね備えた、癒しのレゲエなのです。

遠くに離れていても歌が二人を繋ぐ

音が繋ぐ人と人

いつまでも同じ音で繋がっていたいから
あなたの好きなこの歌を歌っているんです

出典: Sing a Song for you/作詞:寿君 作曲:Stephen"Di Genius"McGregor, BURN DOWN

 二人が遠く離れていても同じ歌があれば繋がっていられる。

現実的な見方をすればただの願望であり、どちらかの思い込みではないかとすら感じるかもしれません。

しかしこの歌を聞いていると、それがきっとできるのだろうと確信に近いものを感じませんか?

あなたが好きだと言ってくれた歌を歌うこと。いつも隣で聞いていた曲を聞く。

それだけで大切な人をありのままの姿で思い出し、身近に感じることができます。

だから、同じ音があれば大切な人と繋がることができるのでしょう。

寿君が一体誰に向けて、誰を想ってこの曲を作ったのかは分かりません。

それなのに、この曲の歌詞に触れると、心に温かな何かがじわっと広がってくる気がしますね。

もしかして私のために歌っているの?!なんて勘違いまでしてしまいます!

最後にちょっとだけのぞかせる寿君の野心?

この世に生まれてきたんだし
みんなをびっくりさすよな
デッカい事をやりたい
だからこそ
ひとりひとりに愛を一つ一つ込めて行く心
そのすべての繋がりが僕の宝物

出典: Sing a Song for you/作詞:寿君 作曲:Stephen"Di Genius"McGregor, BURN DOWN

最後の最後に、少しだけ寿君の野心が顔を出したのかな?という歌詞が登場します。

何か自分らしいことをやり遂げて周囲を驚かせてやりたいという、若者らしい上昇志向です。

しかし、そこにも温かみを持たせるのが、寿君です。

とても前のめりな野望を歌った後に間髪入れずに続く歌詞にご注目ください。

全ての人をくまなく愛していくことや、愛したいと感じる人との出会いや時間。

こんなに優しい歌詞で締めくくるレゲエが、いまだかつてあったでしょうか?

人との繋がりが寿君にとって何より大切なもので、彼を元気づけるエネルギーになっているのでしょう。