手に取りにくい販売形式の理由

【LAMP IN TERREN/Water Lily】睡蓮の様に漂うものとは…詩的な歌詞の意味に迫るの画像

今の時代、CD盤とデジタル音源を同時リリースすることも珍しくありません。

多くの人に聴いて欲しい場合は無料配信という形も採用されています。

そんな中、「Water Lily」はどうでしょうか。

CDが欲しければライブ会場で購入、もしくはLAMP IN TERRENの通販サイトを利用。

配信で聴けるのは「Wate Lily」1曲だけ。

手に取りにくい、と感じる人がいても不思議ではありません。

あえてこうした形でリリースしたのは「待っていたLAMP IN TERRENファンのため」ということなのでしょう。

長くはない活動休止でしたが、松本大が手術を受けることに不安を感じていたファンもいます。

復活が決まったら盛大に祝いたい!ファンの心はひとつだったはずです。

LAMP IN TERRENはそうしたファンに対し、いの一番に復活を知らせる選択をしたのではないでしょうか。

待っていてくれた人たちに、まずは届けたい。

今回の販売形式にLAMP IN TERRENの真摯さが垣間見えました。

静かに揺れる水面を思わせるMV

古いビデオのように色褪せていて、時折ノイズが走る映像。

白い壁にはゆらゆらと光が揺れ、まるで松本大が水の中で歌っているように見えます。

そして実際に、体を水に沈めて顔だけを外に向けている場面も。

根を水の中に伸ばして花だけを外に開かせる「睡蓮」を連想させます。

静かに淡々と演奏するメンバーたちは、海や川ではなく動きの少ない池の水面。

穏やかな旋律から抜ける松本大のハイトーンやファルセットに感じる水の透明感。

そこに「水」がなくても水を感じ、揺れる睡蓮を感じるMVです。

「Water Lily」の歌詞に揺れる睡蓮の正体は

まるで詩のような美しい言葉が並ぶ「Water Lily」。

だからこそ比喩的で、松本大が込めた物語を完全に解読するのは難しいかもしれません。

今回は睡蓮と、それを常に支えているとの関係になぞらえて、読み解いていきましょう。

孤独を知ることが嬉しい

【LAMP IN TERREN/Water Lily】睡蓮の様に漂うものとは…詩的な歌詞の意味に迫るの画像

孤独は君がくれたものだよ
冷めた手からそう聴こえた気がした
その熱に触れているのに
なぜか嬉しくて笑ってしまう

その目は僕を見つめていた
差し込む光のようだった

出典: Water Lily/作詞:松本大 作曲:松本大

冒頭の「君」は、恋人のことを表すのでしょう。

「孤独」という言葉から連想するのは2人の別れ。しかし、孤独に「した」ではなく「くれた」

今までぼんやりとしていた「孤独」の本当の意味を教えてくれたのが君、ということです。

君といる時間が幸せすぎたから、離れて初めて「孤独」を知ることができたわけです。

実家にいると親のありがたみが分からない、というように離れて初めて分かることがあります。

実際に2人が距離をとっているのかどうかは、この時点では不明です。

水に浮かぶ睡蓮の花は、同じ茎から咲く花もなく、孤独を感じているかもしれません。

水で冷やされた睡蓮の花びらである「君」が、水である「僕」に話しかけます。

「君」は孤独について真面目に語っているのに、僕は嬉しいと感じてしまった。

それは裏を返せば「今までが幸せすぎたの」と言われているようなものだからです。

幾重にも重なる花びらの隙間から、太陽光が水の中に伸びている光景が浮かびます。

君の視線は、水の中で決して曲がらない光のように、真っ直ぐです。

幸せな孤独感を君にも

それは魔法みたいに消えた
胸につかえた言葉の形
君が僕に触れたときから
まるで違う色を放っていた

息を呑むほど眩しくって
怯えるほどに愛しかった だからね
孤独は君がくれたものだよ
僕もまた 君にあげる

出典: Water Lily/作詞:松本大 作曲:松本大

何か伝えたい想いがあったのでしょうか。

胸につかえているのであれば、言い出しにくい内容だったのかもしれません。

しかし君を知って、胸のつかえがスッとなくなりました。

そして君は鮮やかな色を持って美しく花を広げていきます。

もし僕が「水」なら、光を受ける花は恐ろしいほどに魅力的に見えるはずです。

君が僕に触れていてもいいのか、僕なんかでいいのか。

僕は君の美しさに追いつけず、孤独に苛まれます。

これもまた、君のそばにいるからこそ感じてしまう孤独です。幸せな孤独感

養分である自分を吸い上げて美しく花開いていくことが誇らしくもあり、寂しくもあるのでしょう。

僕は幸せな孤独を、君にもあげたいと思ったのです。

君が求めているのは僕

【LAMP IN TERREN/Water Lily】睡蓮の様に漂うものとは…詩的な歌詞の意味に迫るの画像

心が息を止める度に
見つめた両目を聴く度に
夏の継ぎ目にキスするように
君を想う度 近づいていける
寂しさはきっと愛しいもの
繰り返しながら埋めていくよ
滲むその目に映った僕を
君の中に見つけたんだ

出典: Water Lily/作詞:松本大 作曲:松本大

僕は、君が美しくなっていく度に恐怖にも似た愛おしさを感じます。

口がきけない花である君の心を読むには、君の目から感じ取るしかありません。

花が綺麗に開き水を欲していることを感じた僕は、根を伝って君に近づきます。

細胞のひとつひとつに口づけるようにゆっくりとした速度なのでしょう。

誰かが孤独を感じたら、誰かが孤独を埋めていく。

寂しい、と思うのは誰かを求めている証拠で、大切にしたい感情です。

寂しさや孤独で涙が浮かぶ君の瞳に、僕の姿が映っています。

君は、他の誰でもなく僕を求めているということです。君の孤独を埋めるのは僕なのです。

今の僕と君の想い