震災の年に作られた永遠の名曲

結婚をテーマに女性目線で歌う


家族になろうよ/fighting pose」は、2011年の8月31日に、福山雅治の27枚目のシングルとして発売されました。

リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」のCMに起用され、オリコン初登場で1位を獲得、なんと翌年のシングルチャートにも登場、ロングランヒットとなりました。今も愛される名曲ですよね。

この2011年はあの東日本大震災が起こった年。

震災のために全国ツアーが中止となり、その間に書かれたのがこの曲です。

「家族になろう」という呼びかけは、まさしく「結婚」を意味するものですが、この曲は女性目線で書かれた結婚に向けての歌です。

でも、この曲がインスパイアされた背景には、未曽有の大災害があったと思うと、ただのラブソングよりもずっとずっと深いものを感じてしまいます。

今回は、この「家族になろうよ」を紹介してみたいと思います。

巧みな言葉の使い手

マルチな活躍を魅せる福山雅治

福山雅治と言うと、まずは「イケメン」という言葉が浮かんでくる人が多いのではないでしょうか。確かに紛れもない「イケメン」であるのは誰も否定しないでしょう。

しかし、彼の場合、ただ「イケメン」だけでないのは、みなさんご存じの通りだと思います。

「天は二物を与えず」という諺がありますが、彼にはそれが全く当てはまりません。ミュージシャンとして、俳優として、また写真家としても活躍。

その才能は疑いのないものであり、デビューしてから20年以上も第一線で活躍していることがそれを示していますね。

ソングライターとしての稀有な才能

福山雅治のソングライターとしての稀有な才能は、わかりやすい言葉を使い、心情を歌うことの巧みさにあります。

この「家族になろうよ」の歌詞を見てみても、奇抜な言葉、難解な言葉は一つもありません。一方、新しい言葉、使い古されていない新鮮な言葉と言うものは、とても強いインパクトを持つので、それを好んで使うソングライターも多いですよね。

福山雅治の歌にもそういうタイプのものはありますが、傾向として、彼は言葉の新鮮さよりも心情を表現し伝えることを重視するソングライターです。

名曲「桜坂」にも特に目新しい言葉はありません。だからこそ「桜坂」という固有名詞が浮き上がってくるわけなんですが、この「家族になろうよ」も同じタイプ。

本当に素直に心情を述べることに焦点を当てているために言葉は非常にわかりやすくなっています。

まさに福山ワールドの真骨頂。この歌が長く愛されているのは、そこに大きな理由があると思います。

福山雅治のCDシングル「家族になろうよ」を紹介!好きな人に向けた歌詞が最高なラブソング!の画像

女性目線の包容力を溢れるラブソング

福山雅治のCDシングル「家族になろうよ」を紹介!好きな人に向けた歌詞が最高なラブソング!の画像

「100年経っても好きでいてね」
みんなの前で困らせたり
それでも隣で笑ってくれて
選んでくれてありがとう

出典: https://www.uta-net.com/song/112355/

最初のセリフで圧倒するその才能

サビの部分がすぐに思い出される「家族になろうよ」ですが、最初の言葉がこの歌を名曲にしたポイントだと思います。

100年経っても好きでいてね」ってセリフ、言うにはとても恥ずかしい言葉。でも歌にすると素直に口に出せる。これを出だしに持ってくるなんて、さすがとしか言いようがありません。

その若干の照れくささを次の「みんなの前で困らせて」が救ってくれます。ほほえましい場面がすぐに浮かんできますよね。

そして「選んでくれてありがとう」。この歌が結婚を意味するということがしっかりと伝わってきます。

結婚とは?二人でいることの意味

福山雅治のCDシングル「家族になろうよ」を紹介!好きな人に向けた歌詞が最高なラブソング!の画像

二人が寄り添う意味

どれほど深く信じあっても
わからないこともあるでしょう
その孤独と寄り添い生きることが
「愛する」ということかもしれないから...

出典: https://www.uta-net.com/song/112355/

ただのラブソングで終わらないのが、この部分。

深く信じあってもお互いわからないことはある」というフレーズ。これは人間関係の神髄ともいえるところですね。ただ「好き=一緒にいたい」という感情の羅列にならないところが、やはり結婚ソングとして支持される理由でもあるでしょう。

他人同士が一緒に暮らすことになる結婚ですから、お互いいろいろなところでわからないこともあるはずだ。時にそれは孤独を感じることなのかもしれない。でもそれが「」というものなんだろう。

こうやって彼は女性の目から語り掛けて来ます。「寄り添い生きる」という言葉は、男性目線なら「支えていく」あるいは「共に歩く」といった言葉になるのでしょうか。

寄り添う」という女性目線の美しい言葉を選んだ福山雅治のセンスの良さに脱帽してしまいます。