独りぼっちになった木は人々の心をつなげました。
たった1本になった木のお話を確認しておきましょう。
しかし、松原の西端近くに立っていた一本の木が津波に耐えて、立ったままの状態で残ったことから、この地震と津波(東日本大震災、以下「震災」と略記)が陸前高田市のみならず広く東日本の太平洋沿岸地域一帯に甚大な被害をもたらした中にあって、この木は震災からの復興への希望を象徴するものとして捉えられるようになり、「奇跡の一本松」や「希望の松」などと呼ばれるようになった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/奇跡の一本松
甚大な被害をもたらした津波に耐えた1本の木。
様々な条件が重なったことで生き残った木は人々の注目を集めます。
仲間の木を失い、独り海に向かって立つ姿は孤独ではありません。
天に伸びるようにも感じるフォルムは「希望」そのものです。
ここでは「怖い」という言葉も使われています。
少しづつ前に進み始めたけれど、言いようのない恐怖と見えない不安があったことを表しているのでしょうか。
周りに人がいて助けてくれる人もいたけれど、苦しみで押しつぶされそうだった。
辛い気持ちを我慢しなくていいよと、言ってくれているようにも聴こえます。
その思いは「絆」となって日本中をつないでいったのです。
一人ひとりの心が結ばれてまた歩き出すことができました。
光の方へ
ゆれる心で空を見た 令和の元年 初夏のこと
昭和 平成 令和へと
三つの時代を 抱きしめて
出典: 時のしおり/作詞:田久保真見 作曲:南乃星太
ワクワクとして待っていていいのか戸惑うような初めての出来事。
大勢の人が釘付けになった瞬間でした。
令和(れいわ)は、日本の元号の一つ。
平成の後。大化以降248番目の元号。徳仁(第126代天皇)が即位した2019年(令和元年)5月1日から現在に至る。日本に現存している和歌集の中で最古の万葉集から引用された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/令和
新しい元号の発表は平成31年の4月1日でした。
その1ヶ月後に新しい元号がスタートをしたのです。
今回のような形で改元が行われたのは日本史史上でもとてもレアな出来事でした。
心が「ゆれる」のは新しい時代を迎えた喜びを表しています。
季節も桜咲く春を経て太陽のパワーが上がる「初夏」だったことも印象に残っているのでしょう。
3つ目の元号は光の中でスタートを切ったのです。
そして過去と未来の間に立っている自分に、愛おしさを感じます。
良いことも辛いこともあった時代を未来とともに「抱きしめ」たくなるのです。
ここまで頑張ってきた自分に労りの言葉をかけるのでしょう。
時をつないでできるもの
昭和 平成 令和へと
心を繋いで 生きましょう…
出典: 時のしおり/作詞:田久保真見 作曲:南乃星太
3つの元号を知っている人がいます。
もちろんそれよりも多く知っている人も、少ない人もいるでしょう。
1つ1つに呼び名はあるけれど、点ではなく線となって続いています。
過ごした時代は違っているけれど、俯瞰すれば同じ時間の流れの中にいるのです。
「心」を「繋ぐ」ことで、年代の違いや考え方の違いがあったとしても、共に歩いて行ける。
生きることは、その先を目指すことでしょう。
最後に
上沼恵美子さんが歩んだ3つの元号、それぞれの時代にあった象徴的な思い出に「時のしおり」を挟みました。
希望だけを見ていた時代から、見る方向がわかりづらくなった時代。
それでも目標を失っていません。
未来のために新しい絆を求めて、再び時代の中を前に進んでいます。
歌詞の最後にあったフレーズは「行きましょう」という意味も含んでいるのでしょう。
「時のしおり」は終わった時代を振り返るだけではありません。
これからの時代を生きる人全員の心に、力強いメッセージとなって響くのです。
変わる時には
次も元号に関する楽曲をご紹介します。
馴染んでいるものが変わってしまう時、誰もが戸惑いを覚えるでしょう。
その気持ちを折坂悠太さんがストレートに歌にしました。
タイトルは「平成」。平成の中で自分に起きたことを静かにたどります。
「苦」というワードから語り始めますが、終わりには何が待ち受けているのでしょうか。
終わりの先にある未来のための歌。
「平成」の歌詞をゆっくりと読んで感じてみてください。
折坂悠太【平成】歌詞の意味を考察!なぜ平成を苦と表現した?新時代に向けてどんな未来を願っている? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
【平成】を表す漢字1文字に折坂悠太さんは「苦」を選びました。でも辛い文字を選んでそのままネガティブになった訳ではありません。終わった後に続く時代と自分たちを歌います。歌詞を考察していきましょう。