ラップバトルではオーディエンスのジャッジが人生を左右します。

ストリートのラッパー達は、根回しや嘘が通じない世界で勝ち上がることを美学にしています

天国にいくも、地獄にゆくも現場での決断ひとつ。

とにかく実力主義なHIPHOP界で生き残る度量が自分にはあると信じているといえますね。

過去の惨敗、とは一見するとラップバトルのことを指しているようです。

しかし、自身の逮捕などネガティブな時間について表現しているようにも思える部分ですね。

未来に向かい叫ぶ魂の歌

復活への決意

Neva EnuffでNever Give Up

忙しなくまた女神がせがみ出す

ぶち上げてやるぜ 朝になるまで

勘違いすんな 魂は売らねえ

出典: くそったれFor Life(Remix)/作詞:SIMON JAP 作曲:DJ HONDA

最初の行は「まだまだ満足してない!、あきらめない!」といったニュアンス。

この歌詞では「勝負」がキーワードとなっています

勝利を意味する「ビクトリー」は、古代ローマの女神ウィクトーリアに由来します。

「女神」とは勝利の女神を指しているのでしょう。

魂は〜の部分は、どんなにラッパーとしてサクセスしても、売れ線には走らないという想いがあるように思えます。

この段では、彼がラッパーとして躍進してゆく心情が描かれています。

一方で、未来は自分で決めるという強い決意もにじみ出ているような一節ですね。

高らかに復活を宣言


これは気合い以外の何物でもねえよ

理解できなきゃ辞退してる

お前が出来るなら俺はやらねえ

Guess Who’s Back? SIMON JAP Back Again

出典: くそったれFor Life(Remix)/作詞:SIMON JAP 作曲:DJ HONDA

ここでは、気合い、以外、理解、辞退の4つの言葉で韻を踏んでいます。

韻は語尾で踏むのがオーソドックスな形。

しかしここでは、散りばめるように韻を踏んでいることで強調したい言葉を際立たせているのです

「自分が立っている場所は正気を保つのが困難な道。でも理解したうえで、そこで勝負することを選んでいる」

「人がすでにやっていることは俺はやらない、常に先をゆくんだ」

そんな決意を表現しているように思えるラインです。

4行目は「誰がもどってきたかわかるか?」という意味。

アメリカのレジェンドラッパー"Rakim"が曲名に使ったことでも有名です。

そしてBack〜でラッパーとしての完全復活を宣言している、非常によく考えられたクールな詞ですね。

動画紹介"Guess Who's Back"

****Update**** Thanks for all the views and comments! Keep supporting real hip hop, and stop supporting fake shit its killing the genre!

こちらがRakimの動画です。参考にしてみてください。

全てを乗り越え未体験の世界へ

同志たちへのメッセージ

調子はどうだい イかれた兄弟

East Side West Side South Side North Side

一切合切飲み込んで航海

やりてえ放題 くそったれFor Life

出典: くそったれFor Life(Remix)/作詞:SIMON JAP 作曲:DJ HONDA

ここで、歌詞中の単語に注目してみましょう。

どうだい、兄弟、Side、合切、航海、放題、For Life

この部分は、韻を踏んだ単語のになっています

調子はどうだい〜というラインは、90年代、日本のアンダーグラウンドラップでも多様された表現。

これには歴史的な背景があります。

HIPHOPを生み出したアメリカの黒人たちは、故郷アフリカから引き離され奴隷として売られた人々の子孫です。

彼らは厳しい差別の歴史を生き抜きました。

血のつながりはなくてもお互いを「兄弟」と呼び、励ましあいながら。

調子はどうだい〜とはそういった背景からアメリカの黒人たちがよく使う挨拶なのです。

ここでSIMON JAPは、混沌とするシーンの中で心からHIPHOPを愛している同胞たちにエールを送っている

とも解釈できますね。

「航海」の意味するもの

「航海」の意味についても考えてみます。

Sideとは、地方を指す単語で、XX Sideで「どこそこの地域」を指すスラングです

例えば、ニューヨークならアメリカ東海岸なので"East Side"といった具合です。

ラッパーなど、ストリートのアーティストは自分の地元を代表するという意識が強いもの。

それは時として閉鎖的、保守的な空気を生みがちなのです。

つまり、ここでは「俺の実力は地域の壁なんて超えてゆく」という自信を表現していると解釈できます