「ever since」について
楽曲について
タイアップドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」について
ジェーンスーさんの同名著作を基に制作されたドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」。
ラジオパーソナリティでエッセイストの主人公トキコを通し現代の多様化した生き方をつまみ食いできる作品です。
主人公のトキコは20代のときに母親を亡くしています。
父親はトキコが生まれる前からその奔放な性格でトキコの母親を困らせ、今でもトキコの手を焼かせています。
トキコはそんな父親に向き合ったエッセイを書くことに決め、そこからストーリーが展開していきます。
MVについて
実際に放送している「ジェーン・スー生活は踊る」というラジオ番組から始まる本MV。
高橋優さんがラジオのゲストとして参加していて、「ever since」が流れています。
父親の日常を録画した映像と収録中の高橋優さんが交互に映され、優しい雰囲気が漂うMVです。
実は映像に映る父親はなんと高橋優さんの実のお父様。
お父様はあまりカメラ目線が得意でないようで、映像は横からや後ろから撮られているものが多いです。
そんなところもまたリアルな「日本の父親」という感じがして、じんわりと感動させられました。
歌詞について
今回紹介する「ever since」は、親子をテーマにした楽曲です。
しかし、描かれているのは「育ててくれた親に感謝!」というような”理想の親子愛”ではありません。
トキコから見た父親のような、親への憎しみや落胆、そして少しの寂しさが表現されています。
「親子」と聞いて連想するイメージよりはちょっと冷たく感じてしまいますが、そこには確かなつながりと歴史があります。
複雑で、ちょっと苦くて、でもジーンと暖かい。
現代のリアルな親子像が的確に言葉にされた歌詞を、具体例に落とし込みながら深読みしていきます!
本当は話ができたらよかったのに
「話し合い」がしたいのに「言い合い」になる
些細な言葉の一個
足りなくて 多くって
また平行線を辿る
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
言葉が足りなくて誤解を生んだり、逆に余計なひとことのせいで喧嘩になってしまったり。
本当は「話し合い」がしたいのに「言い合い」になり、話が”平行線”になってしまうのも親子あるあるです。
距離が近くて長い時間を共有しているからこそ、相手の気持ちを理解する手間を惜しんでしまうのでしょう。
優しさはふと感じるもの
月明かりに吹くビル風
出典: ever since/作詞:高橋優 作曲:高橋優
優しい光に、強く厄介な強風。
「親子」という言葉には無意識に優しいイメージを抱いてしまいますが、そんな関係だけが親子ではありません。
親に対して、強いビル風のようなうっとおしさを感じる方も多いのではないでしょうか。
月明かりのような優しさは、ときどき”ふと”見上げたときにだけ感じるものです。
また、ビル風はぼくが都会にいることを表していて、最後のフレーズにもつながります。