主人公が相手へ、「一緒に過ごした時間を忘れないで」とお願いしています。
二人はとても濃密な時間を過ごし、お互いを理解しつくしているようです。
きっと二人の間でないと分からない事が沢山あるのでしょう。
古い言い方ですが、「ツーカー」で通じるような間柄なのだろうと想像できます。
どうして主人公は「忘れないで欲しい」と言っているのでしょうか?
歌詞は二人の別離をほのめかす内容です。
二人は想い合っているけれど、どうしても一緒にはいられない事情がある。
今は別れなくてはいけないけれど、いつかはまた一緒になれるかもしれない…
現実世界でもたまにある切ない別れ方ですよね。
また、二人の間には変わることのない「絆」があるということも歌詞から分かります。
時よ止まれ
僕ら以外誰も知らなくていい
おやすみ世界
僕ら以外誰も知らなくていい
時よ止まれ
冷たくなった手を握り返した
終わらない夢 青い影
出典: Name of Love/作詞:三島想平 作曲:cinema staff・野村陽一郎
「おやすみ」とあることから時刻は夜のよう。
二人はお互いにとても別れ難い気持ちを抱いていて、なかなか離れることができません。
いっそ時間がこのまま永遠に止まればいいのに…
そして、二人の間にある感情・思い出は誰にも渡したくないという強い思いも。
主人公が相手の手を握ると、そこからも悲しい、寂しい気持ちが伝わってきました。
ここで登場する「夢」はどうやら楽しい内容とは言えないようです。
「青」という色からは冷たさ、悲しみ、恐ろしさといったようなネガティブなイメージが連想されます。
悪夢とまではいかないようですが、夢見はきっと良くないのでしょう。
おそらく、この「夢」は今まさに二人が別れようとする瞬間を指しているのではないでしょうか?
主人公は相手との別れが強く脳裏に焼き付いているのでしょう。
何度も何度も繰り返し別れた時の相手の表情や、言葉、景色などを夢に見るのかもしれません。
傷だらけのまま歩いていく
晴れた日には小さな旅をして
雨の日には傘の中 寄り添った
こぼれ落ちた泪は掬えばいい
傷だらけのままで歩いていく
胸の中にある僕らの誓いよ 色褪せぬように
風の声 この地図の向こう
出典: Name of Love/作詞:三島想平 作曲:cinema staff・野村陽一郎
二人は一緒に歩んできた道のりを振り返っています。
その道は決して楽なものではなく、涙を流したり傷つくこともあったようです。
そんな経験を共有しているからこそ、二人はお互いに特別な存在同士と言えるのでしょう。
『進撃の巨人』でいうとエレン、ミカサ、エルミン三人のような関係だと考えると想像しやすそうです。
彼らも辛い経験を共にしてきた特別な絆があります。
主人公は決して相手と別れたくはないのですが、「誓い」を守るためには別々の道を歩まなければならない…
よんどころない事情があるようですが、「誓い」は主人公が何よりも優先したいことのよう。
何か重大な「使命」を抱えているのでしょうか。
「巨人を駆逐する」という強い意志を持ったエレンと被る部分ですね。
僕らを朝がもう迎えに来る
始まりの鐘が鳴り…
僕らだけの名前を呼びあって
僕らだけの喜び 分かち合った
僕らだけの言葉で確かめて
僕らだけの痛みを抱きしめた
始まりの鐘
僕らを朝がもう迎えに来る
In the truth name of love
怖くない 行ける
出典: Name of Love/作詞:三島想平 作曲:cinema staff・野村陽一郎
最後の夜を過ごした後、別れの朝を告げる鐘が鳴り響きます。
英語の部分を直訳すると“真実の愛の名において”。
旅立とうとする主人公の背中を押したのは相手への「真実の愛」でした。
「愛する人がいる」という事実は時に人の心を強くします。
主人公は愛する人から勇気をもらい、新たな旅路へと足を踏み出すのです。
冒頭から昼→夜→朝と時間経過しているのに気づきましたか?
実際の時間経過であると解釈もできますし、二人の関係性の変化を例えているとも受け取れます。
未来で会えるなら…
この世界のどこか 未来で会えるなら
少しだって忘れないでいて
胸の中の未来 僕らだけの誓い 忘れないでいて
僕のこと 本当のこと
出典: Name of Love/作詞:三島想平 作曲:cinema staff・野村陽一郎
最後にもう一度、「忘れないで」と懇願する主人公。
きっと「また巡り合い、今度こそ一緒になろう」といった「誓い」なのかもしれません。
主人公の心の支えになっているのは相手への「愛」とこの守れるかどうか分からない「誓い」なのでしょう。
さあ、何度か登場した不穏なフレーズ…その意味はもうお分かりですか?
「さよなら」、「おやすみ」と主人公が呼びかけているもの…
文字通り「世界」を表しているというわけでは決してありません。
人間に対して呼びかけているようなところがポイントです。
色々と解釈が分かれるところだとは思うのですが、著者はこう考えました。
主人公にとって別れなけらばならなかった相手は「世界」に匹敵するほど大きな存在だったのだろうと。
相手がいることが当たり前で、いないことが考えられないような大切な大切な存在。
恋人、親友、家族…そのうちの一つでは言い表すことができないほど、特別な相手なのかもしれませんね。