様々な葛藤に揺れ動く心
安定しない情緒
簡単に強くなったり 毎週末不安になったり
息がはねて目覚めて ここに届くエスオーエス
つらそうだって一過性の熱しかもう残ってなくて
楽観的なこんな脳が 君を救うの どうやって
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
安定しない情緒の中、時には「辛い」と感じることもあったようです。
将来へ突き進もうとする「情熱」すら失いかけてしまう場面が描写されています。
やる気がみなぎったかと思うと週末にはすぐ不安が押し寄せてしまう。
「浅い眠り」を繰り返す様からも抱えているストレスの重さがうかがえます。
そしてここで「君」という人物が登場しました。
自分のことすら精一杯で、本当は「君」を支えたいのに自信が無い…。
そんな意味合いではないでしょうか。
「君」が歌ううえでのモチベーションになる人物である気もします。
彼女は歌を通して誰かを救いたいと思っているのかもしれません。
その傍ら、音楽の道でもがいている自分にそれが叶えられるのか、自問自答しているのではないでしょうか。
「失った」のではない
見えない星は見えていない間
雲の中で隠れて待っているんだ
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
先ほど「失ってしまった」と感じていた青春時代。
実際は様々な葛藤に紛れて見えなくなってしまっただけなのではないでしょうか。
それを「雲に隠れて見えない星」に例えているのだと思います。
夜空を見上げて星が無いことに嘆いてしまうのか。
それとも、雲の向こう側にある星を想像してワクワクするのか。
同じ事柄でも考え方次第で結果が変わってくると思います。
ふと視野が狭くなっている自分に気が付いたのかもしれませんね。
成長した今
何ができる
ベランダで実をつけた赤いプラム
泣いていた あの子のくちびるに FAR FAR
昔の私なら何て言った
今の私に何なら歌えた FAR FAR
遠くなる
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
ここでも「誰かを支えたい」という気持ちが読み取れます。
皆さんは泣いている人を見かけた時、どんな対応をしますか?
自分の心の状態や経験次第で、できることも変わってくるかもしれません。
その人にとって何が正解なのか…。
考えだすとなかなか答えが出ないもの。
このフレーズでも思い悩んでいるようです。
若い青春時代の自分だったら、こんな時にどんな対応をしたのか。
たくさんの経験を積み重ねた後の今の自分なら何ができるのか…。
ここではあえて「歌えた」という表現をしています。
音楽に携わったからこそ、彼女には「歌うことで人を支える」という力が身に着いたのではないでしょうか。
これはきっと、彼女が楽曲を制作するうえでの強いモチベーションになっているのだと思います。
このまま突き進む
グラウンドに描かれた白いライン
開いては散りゆく花びらに FAR FAR
気付いたら置き去りでグンナイ
窓際 歌っていたムーンライト FAR FAR
遠くなって
連れ去って
遠くなって
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
最後に再度、青春時代の記憶を振り返ります。
そして、これらの記憶はやはりどんどんと遠ざかってしまう。
そもそも青春時代が遠く感じるのはなぜでしたでしょうか?
「音楽」を優先するために重ねた数々の我慢。
そして青春時代のほとんどを「音楽」に捧げてきました。
さらに、「音楽の道」でメジャーデビューを果たすために10年以上もインディーズで活動を続けた。
「音楽における成功」を掴むほどに、青春時代が「遠く」なっていったのです。
最後のひたすら遠ざかっていくフレーズは「音楽においてさらなる成功を重ねる」という捉え方もできます。
過去を振り返って寂しく感じても、過去に戻りたいわけではない。
今までも、これからも、植田真梨恵は「音楽の道」を突き進んでいくのです。