アルバム「F.A.R.」のリード曲「FAR」
長い音楽活動で抱えた葛藤
2019年1月16日に発売された植田真梨恵のメジャー4枚目シングル「FAR」。
アルバム「F.A.R.」のリード曲で、植田真梨恵の音楽にかける思いが濃縮された作品となっています。
2005年から2014年もの長い期間をインディーズレーベルで活動してきた彼女は、焦りを抱えていたようです。
もう諦めかけていたときに突如決まったメジャーデビュー。
この長い期間に抱えてきた葛藤と、実際に念願の夢が叶ってからの様々な気付き…。
それらを具現化したのがこの「F.A.R.」というアルバムなのだとか。
リード曲「FAR」にはどんな思いが込められているのでしょうか?
MVをチェック
訴えかけるかのような眼差し
「FAR」のMVではわずかに光が差し込む幻想的な空間で、美しく歌い上げる姿が印象的。
真っすぐにカメラに視線を向け、何かを訴えかけるかのようです。
「白い息」からそこが寒々とした場所であることもうかがえます。
そんな映像に乗せられ、放たれる歌詞…。
ひとつひとつに重みがあり胸に刺さります。
後半では「学生時代」から「故郷を離れるまで」を回想するような映像が流れました。
これは、植田真梨恵が今まで辿ってきた過去を振り返っているのではないでしょうか。
たくさんの経験を重ね、アーティストとしてここで歌い上げているのですね。
過去を振り返る
10代の記憶
単純に思春期だった まだ10代の私は
想像では無敵だった 足りないものばっかりで
だんだん周りに増えた 愛すべき人達は
どんどん大切になった 失うものとなって
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
過去の自分を振り返っているようです。
何だって乗り越えられる。
自分ではそう過信していたけど、後になって振り返れば欠点もたくさんあったようです。
エネルギッシュな10代を過ごしたのかもしれませんね。
若いころは誰だって「荒削り」の原石のようなもの。
精一杯こなしても若さゆえに失敗だってするでしょう。
そして次第に、彼女の周囲には大切な仲間が増えていったようです。
素敵なことですね。
しかし、「大切」だと思えば思うほど「失うこと」が怖くなってしまう…。
そんな心理を抱えていたことがうかがえます。
何が見えなくなったのか?
見えないものが見えている間
見えてるものは見えなくなっちゃったんだ
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
自分が望む「音楽の道」を突き進むうえで、手放すものも多かったのでしょう。
特に彼女は中学生時代から音楽活動で成果を上げ、一人で大阪へと移り住みました。
勇気ある行動ですね。
そして高校はあえて通信制の学校へ通い、音楽活動を主軸に人生の選択をしたのです。
夢のためとはいえ、一般的な10代の女の子よりも我慢を重ねたはず。
皆と自由に遊びたい。
皆と学生時代を過ごしたい。
そんな当たり前な思いを切り捨ててまで、「音楽の道」を選んでいるのです。
彼女は青春の全てを音楽に捧げたといっても過言ではありません。
このフレーズの前半で見ているのは「音楽」。
後半で見えなくなったのは「青春時代の思い出」なのではないでしょうか。
遠くなる
グラウンドに描かれた白いライン
開いては散りゆく花びらに FAR FAR
気付いたら置き去りでグンナイ
窓際 歌っていたムーンライト FAR FAR
連れ去って
出典: FAR/作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵
楽曲のタイトルでもある「FAR」は「遠い」とか「遥か」という意味。
学校のグラウンドや咲き誇る桜の花。
こういった青春時代の記憶が遥か昔に感じる…。
無我夢中で音楽に取り組み、気が付いたら幼い自分を置き去りにしたような感覚になってしまったようです。
それだけ自分を奮い立たせて我慢を重ねてきたのですね。
中々叶わなかった「メジャーデビュー」までの道のりの長さも「FAR」という表現には含まれているでしょう。
たくさんの努力を積み重ねてきたのですね。