「死者の日」と「リメンバー・ミー」
まずは「死者の日」と「リメンバー・ミー」の関係性から紐解いていきます。
死者の日
メキシコには「死者の日」という祝祭日があります。
1年に一度、亡くなった家族を家庭に迎え入れる、いわゆる「メキシコ版・お盆」。
日本と違うのは「死者を明るく楽しく迎え入れて弔い、思い出す」日であること。
賑やかに彩った祭壇に家族の写真を飾り故人について語り合い、家族の絆を深める日でもあるのです。
メキシコでは、「家族の絆」は特別なもの。
ミゲルをはじめ国中の人が写真を見て家族を思いながら「リメンバー・ミー」を口ずさみます。
リメンバー・ミー
お別れだけど
リメンバー・ミー
忘れないで
出典: リメンバー・ミー(リユニオン)/作詞:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez 訳詞:竹本浩子 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez
心の中にいる
死にゆく人は、「私がいなくなっても、大切なあなたの心の中にいるよ」。
「いつもそばにいるよ」と。
だから大丈夫、寂しくないよと、残される大切な人の頭を優しく撫でるような歌といえるでしょう。
忘れないという決意
対して、残される人目線でこの歌詞を見てみると少し捉え方が変わってきます。
たとえ触れることはできなくなっても忘れなければ、その人は残された人の中で息づいている。
大切なその人がいなくなることで、心の中にぽっかり空く。
身を切られるようなその喪失感に耐えるために。
さながら「忘れない」と泣きながら繰り返しているのかもしれません。
優しい見守りの歌
さらに、歌詞の解釈を進めていきましょう。
いなくなる人、残される人両方を意味する「おまえ」
たとえ離れても
心ひとつ
おまえを想い
唄うこの歌
出典: リメンバー・ミー(リユニオン)/作詞:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez 訳詞:竹本浩子 作曲:Kristen Anderson-Lopez,Robert Lopez
「おまえ」とは、いなくなる人のことでもあり、残される人のことでもあります。
メキシコで死者が行くとされている国「ミクラトン」。
ミクラトンと現世は、遠く離れているかもしれません。
それでも、たとえどんなに遠く離れたとしても、互いを思って歌えば、いつでも心は一つになる。
そう歌っているのです。