手紙がふたりを結んでいた時代
君は何を今 待ちつづけるの
街の片すみで ひざをかかえて
とどかないあの手紙 別れた夢
君も今日からは
ぼくらの仲間
とび込もう 青春の海へ
出典: 太陽がくれた季節/作詞:山川啓介 作曲:いずみたく
ここにも悩んでいる彼女が登場します。
注目していただきたいのは「手紙」ですね。
今はスマホでいつでもどこにいても誰かと繋がっていられるようになりました。
だけど当時は携帯はもちろん、メールやインターネットなど想像もつかない時代です。
離れている友だちや彼氏・彼女と連絡をとる手段は固定電話かはがき、そして手紙しかありません。
遠くにいる好きな人から手紙が届いていないかと郵便受けを覗くのは、けっこうドキドキするものなのです。
それに手書きの文字には書いた人の想いがこもっているようで素敵だなと思います。
相手が読んでくれているところを想像しながら、たまには手紙を書いてみるのもいいかもしれませんね。
このパートで彼女が待ちわびているのは彼と自分とを結ぶ手紙です。
とどかなければふたりの仲は終わってしまうのではないかと悩んでいるようですね。
そんな彼女にまた救いの手が差し伸べられるのです。
本当に海へ飛び込もうと誘っているわけではなくて、一緒にいようよと元気づけているのでしょうね。
いつの時代も変わらない青春
短い曲の中に込められたものとは?
青春は太陽が くれた季節
君も今日からは ぼくらの仲間
燃やそうよ
二度とない日々を…
燃やそうよ
二度とない日々を…
出典: 太陽がくれた季節/作詞:山川啓介 作曲:いずみたく
この曲の中で一番いいところがここだと思います。
太陽は誰もが明るく輝いていた若さ溢れる青春時代の象徴で、短いその季節は贈りものだと歌っているのです。
朝起きたら学校へ行って授業が終わったら部活や塾へ行ってという単調な毎日はつまらないものかもしれません。
大学へ行ったとしたら自由な時間ができるのですが、それはまさに人生の夏休みみたいなものです。
就職したとすれば休日はあっという間に終わってしまい、たまの連休がとても貴重なものに感じられます。
単調なようでも何気ない毎日を普通に過ごせるのは、とても大切なことではないでしょうか。
普通の毎日に仲間がいれば人生は楽しくなります。
その仲間が悩んでいた自分を救ってくれたのなら、人生はもっと楽しくなりそうです。
青春は二度と戻らない貴重なものだということを繰り返して「太陽がくれた季節」は終わります。
わずか3分にも満たない短い曲なのですが、その中で表現した世界は時代が変わっても心に響くものでした。
いつの時代も変わらない悩み多い青春や仲間の大切さをこの曲は描いているのです。
それが世代を超えて愛される理由だと思います。
青い三角定規が残したもの
ヒット曲は「太陽がくれた季節」だけ
大ヒットを記録した「太陽がくれた季節」は青い三角定規の代名詞でもあります。
しかし彼らの曲としてよく知られているのはこれだけで、ヒットした翌年には解散してしまったのです。
青い三角定規(あおいさんかくじょうぎ)は、1971年に結成された日本のフォークグループ。西口久美子、岩久茂(1949年12月1日 - 、岐阜県出身)、高田真理の3名で構成。作曲家のいずみたくがプロデューサーとして深く関わった。1973年に解散、2008年に再結成。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/青い三角定規
この曲をリリースしたときメンバーはまだ20代の前半で、彼らもまた青春時代を過ごしていました。
いきなり表舞台に飛び出すことになって戸惑いもあったかもしれませんが、きっと嬉しかっただろうと思います。
道は開け未来は輝いて見え、グループとして頑張ろうと張り切っていたのでしょうね。
しかし現実は厳しく「太陽がくれた季節」を超えるヒット曲を生み出すことはできませんでした。
それでも彼らが残した曲はいつの時代も変わらない青春の寂しさや希望を歌い、長い間愛され続けてきたのです。
歌詞の中に出てくる「悲しみ」や「愛」、「仲間」や「夢」という言葉が多くの人の心に響くのでしょう。
切ないメロディーに乗せて歌う世界は青い三角定規にとっても二度と帰らない青春の日々だったはずです。
青春時代と忘れられない曲
今、学校がイヤだなと感じている人がいるかもしれません。
だけど青春時代はあっという間に過ぎてしまいます。
悩みは誰もが経験する青春の一部だと考えてみてはどうでしょう。
具体的な夢や希望などなくても構わないと思うのです。
お気に入りの曲とひとりだけでもいいから仲間がいれば、憂鬱な世界も違って見えるかもしれません。
大人になったときに忘れられない曲がたくさん見つかるといいですね。