敏腕ミュージシャン3人からなるバンド「ペトロールズ」の「雨」を紹介
みなさんは「ペトロールズ」というバンドをご存知でしょうか?
CDもそれほど出回っておらず、目立ったプロモーションもしていないので知らない方も多いかもしれませんね。
そんな方も楽曲を聴けばそのかっこよさに虜になってしまうはず!
というのも、ペトロールズは音楽業界の一線で活躍している敏腕ミュージシャン3人からなるバンドなんです。
ヴォーカル&ギターを務めるのはあの人
ペトロールズのヴォーカル&ギターを務めるのは長岡亮介。
東京事変の「浮雲」と言う名前の方がピンと来る方も多いかもしれませんね。
その他にも星野源、illion、大橋トリオ、LOVE PSYCHEDELICOなどにサポートミュージシャンとして参加。
ギタリストとして多方面での活躍を見せています。
ペトロールズはそんな長岡亮介が自分のやりたい音楽を追求するべく結成されたバンド。
どうやら彼が自分のバンドを持とうと思うに至るまでも紆余曲折があったようですよ。
椎名林檎にボーカルの仕事を依頼されるまで、歌は歌っていなかった。また作詞作曲についても、椎名に「曲や詞を書いたらいいと思う」とアドバイスされるまで歌詞は書いておらず、曲もたまに思いついたように書く程度だった。しかし彼女にそう言われたことで、「世の中で高く評価されている人にそう言ってもらえるのなら自分にも曲作りの脈があるのかもしれない」と考えるようになった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/浮雲_(ギタリスト)
元々は完全にギタリストとしてしか自分のキャリアを考えていなかったようですね。
繊細なギターさばきからも、その職人のような気質は伺い知れます。
そんな彼に歌や作詞作曲の道を示したのはあの椎名林檎だとのこと。
そのセンスに目を付けた審美眼は流石ですね。
そこから本格的にバンドをやるようになるまでにまた1つエピソードがあります。
本格的に楽曲を作り始めたのはペトロールズを結成してから。きっかけは、その当時共演して、天才的でそのセンスには敵わないと思わされたkatokunnlee(pLAYAのリーダー)というアーティスト。すでにサポートで色々な現場で場数を踏んではいたが、結局は誰か他人の音楽であり100%自分にフィットする音楽はないと思い知らされ、自分の音楽を1から10まで自分自身で組み立てなければダメだと思うようになった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/浮雲_(ギタリスト)
きっかけはクラブミュージックを中心に活躍するコンポーザー「katokunnlee」との共演。
長岡もその手のジャンルからは多大な影響を受けたといいます。
そのジャンルで才能を発揮する「katokunnlee」との出会いがまた彼の考えに影響を及ぼしたのでしょうね。
長岡は主にロック畑で活躍を見せていましたが、これを経て志したのは普通とは違うロック。
多くの音楽を幅広く愛してきた事実が、彼をこの答えに導いたのでしょう。
2度の限定販売を経てファン待望の全国流通盤に
今回紹介する「雨」はなんとこれまでに3度もアルバム曲として収録されています。
1つ目は2008年12月31日にリリースされたミニアルバム「EVE2009」。
年越しギリギリ、まさにアルバムタイトル通りの日に発売されたこの作品は今は廃盤に。
当時もライブ会場とタワーレコードオンラインの限定販売。
中古でしか手に入らないプレミア付きの商品となっています。
そして2つ目は廃盤となった「EVE2009」「amber」の楽曲を再編集して収録した「dice」。
こちらは2013年2月6日に発売され、ライブ会場の他、JET SET RECORDSでも発売されました。
いずれにしても限定販売。
ペトロールズは売れるためのバンドではないということを公言しており、CDが出回っていないのもこのためです。
まさに「やりたい音楽をやりたいようにやっている」ということでしょう。
縛られない様子がかっこよくはありますが、ファンとしては手軽にCDが手に入る方が嬉しいですね。
そして全国流通へ
それを経て2015年8月12日、「雨」を含む11曲入りフルアルバム「Renaissance」が全国販売でリリース。
手紙の便せんのような紙製のジャケットが印象的ですね。
またこの前年にもシングルを全国流通させています。
近年この流れから、希少価値の高かったペトロールズの作品もかなり手に入りやすくなりました。
恐らくファンからの要望も多かったのでしょうね。
演奏力に裏打ちされた「雨」の表現
「雨」はタイトルの通り、雨の降る情景が浮かんでくるような楽曲になっています。
それを成し得ているのは3人の織りなす巧みな演奏表現。
それぞれにキャリアを積んで来た3人の熟練の腕には思わずうっとりしてしまいます!
ここではその内容を構成ごとに考察していきましょう。
デジタルサウンドのようなサビ
「雨」の演奏は全て生楽器で行われています。
しかし、サビで聴かせる音像はシンセが入ったデジタルサウンドと錯覚してしまうようなもの。
それを形作っているのはエフェクティブなギター、機械的なユニゾンフレーズ、規則的に繰り返されるコーラスでしょう。
それらはデジタルを彷彿とさせながらもデジタルでは表現できない揺らぎを持っています。
デジタルっぽいことをやっているのに、生楽器の可能性を感じさせられるというのは面白いですね。