浮遊感を湛えるメロ部分

曖昧なコード感のベースギター

それに加えて独特の溜めを感じさせるドラムを聴かせるメロ部分。

雨の憂鬱さを表現したような、落ち着く場のない浮遊感を湛えています。

良い意味で捉えどころのないこのアレンジ。

メロディも捉えづらく、ヴォーカルを取るのも相当難しいのではないでしょうか。

二段構えのギターソロ

ギタリストとして名高い長岡が率いるこのバンド

気になってくるのはやはりギターソロです。

「雨」でももちろんその手腕は発揮されていますよ。

ソロに入るとその空気は一変。

トレードマークとも言うべき、柔らかなギターの音色が幻想的に響きます。

雨のもたらすしっとりとした空気感と、そこからのまどろみを表現したような音像です。

後半からはまた違った雰囲気に展開。

歪んだ音色で哀愁を湛えたフレーズが奏でられます。

これは淡々と打ちつける雨を彷彿とさせるもの。

二段構えのギターソロが雨のそれぞれ異なった表情を表しているようですね。

2種類のライブ映像を紹介

ペトロールズは売れるためのバンドではないという言葉の通り、「雨」にはMVがありません。

しかしここまで読んでくださっている方には、是非どんな曲なのか聴いていただきたいところ。

ということで、ここでは「雨」のライブ映像を紹介。

ロックアレンジとアコースティックアレンジの2種類をご覧いただきましょう。

ライブを重ねるごとに演奏の内容も変わっていくというこのバンド

様々なアレンジに対応する能力は流石ですね。

まずはロックアレンジから。

CDに収録されているのはこちらのアレンジです。

冒頭からいきなり歌詞が飛んでしまっていますが、それもライブの良さ。

映像でも楽器のこだわった音色が生生しく伝わってきます。

続いてはアコースティックアレンジ。

こちらはロックアレンジに比べて軽快なイメージです。

CDにはなっていませんが、筆者はこちらの方が好きだったりします。

逢えない時間の募る想いを描いた歌詞に迫る

凄腕のミュージシャンの集まりということで、演奏に目がいってしまいますが、この曲の歌詞も侮れません。

「逢えない時間の募る想い」を表現したそれは詩的でありながら高い共感性を持っています。

ここからはその内容に迫っていきましょう!

寂しさであっても励みであっても

逢いたい気持はこの雨のように 全てを濡らして 色を増すように
逢いたい気持はあの日差しのように 全てを照らして 色を増すように

出典: 雨/作詞:長岡亮介 作曲:長岡亮介

君を想って涙を流すたびに逢いたい気持ちは強くなっていく。

その笑顔に支えられるたびに、逢いたい気持ちは強くなっていく。

何度も繰り返されるサビ。歌われている意味はこんなところでしょう。

その感情が寂しさであっても励みであっても、そのたびに想いが強くなっていく様子。

主人公は失恋を引きずっているのでしょうか。

目を背けたくなる気持ち

静かに過ぎる日々には色は無い 声も無い 佇んでいる
眠りに落ちる瞬間のせめぎ合い 見つめない
漂う胸の内側に眼を遣らない ただ眠りたい

出典: 雨/作詞:長岡亮介 作曲:長岡亮介