温かいシチューを囲んだ家族の団欒を描いたCMソング

そのイメージを膨らませてできた曲のタイトルが『やすらぎのチセ』。

では、この『チセ』とはなんでしょうか

実はこのチセという言葉。

北海道の先住民族、アイヌの言葉で『家』という意味なんです。

なので、直訳すると『やすらぎの家』

北海道出身のTAKUROさんらしい、地元のことを想った素晴らしいタイトルですね。

ミュージックビデオの撮影をロサンゼルスにした理由

予期せぬ化学反応への期待

上記のインタビューでも語られていますが、この曲の持つ昭和な北海道のメロディ

それにロサンゼルスの風景が加わったとき、どのような化学反応が起こるのか

そういう興味がTAKUROさんをロサンゼルスに向かわせたとのことです。

昭和北海道アイヌ語のタイトル

これだけ見れば、北海道で撮影してもおかしくなかったと思います。

しかし、そこに函館とは違う、都会的なイメージを融合したかった。

それによって、曲とマッチし、より良いものに高められるという期待があったのでしょう。

その期待は見事に実を結び、ご覧いただいてわかるように素晴らしい映像となりました。

都会の喧騒に帳をおろす夕暮れと重なるイントロ

ゆったりと流れる、夕暮れ迫るロサンゼルスの街並み。

都会に息づく人々の、人間味に満ちた活動が映し出されてスタートします。

喧騒にまみれた昼間に夜の帳がおり、それぞれの帰路の先でやすらぎの時間が始まる

そういう印象を与えてくれます。

温かさで溢れるメロディ

優しさと温かさに満ちた音色で奏でられるTAKUROさんのメロディ。

包み込むようなギターサウンドが、始まったやすらぎの時間を紡ぎます。

今日一日で感じたこと、出逢った人、訪れた場所を回想しながらまどろむ時間

その様子が真っ暗な部屋で、一人ギターを爪弾く姿に見ることができます。

孤独を抱えた都会的な雰囲気は曲との相性抜群

大勢の人が行き交う都会の喧騒。

その大勢の人々は全員が順風満帆ではなく、中には孤独を抱えた人も多いと思います。

それぞれの孤独をも包み込み、飲み込んでいく都会

人は多くとも、どこか冷たく感じる都会

その印象とこの曲のテーマは正反対にも思えるのですが、実はそうではないのです。

たとえ一人であろうと、パートナーがいようと、家族がいようと、帰るべき場所はある。

その場所に帰ることで自分の世界へ戻ることができるからです。

自分の世界に戻れるということは自分と向き合うことができるということ。

それは、この曲のテーマでありタイトルである『やすらぎのチセ(家)』そのものだからです。

『やすらぎの家』は必ずしも建物ではなく、人や場所でもある

特定の何かにフォーカスしないことで表す普遍性

『自分の世界=パートナーや家族との会話、自分自身との対話』

そうやって、人それぞれの方法で自分と向き合える場所を全て『チセ(家)』と呼ぶ。

そして建物としての家にこだわるわけでもなく、対象とする人も特定しない。

そうすることで、誰しもが抱える孤独を包み込み、誰にでもやすらげる場所があると説く。

この曲ではそういうことを伝えようとしています。

そういった普遍性を示す表現として、このロサンゼルスの風景はピッタリといえるのです。

ピアノソロからギターソロを経てラストに向かう