時を刻む時計の針のように、大切な人との気持ちのズレが生じているのでしょう。
時が経過する中で、お互いを知り、次第に想いが薄れていってしまったのです。
一緒に訪れた、思い出の地の匂いがふと蘇り、懐かしくも切ない気持ちに浸ります。
逃避行と表現していることから、出会ったばかりの、若い2人の青春も感じられます。
そしてその思い出は”色”になって、性格や個性、自分の一部となっていくのでしょう。
例え忘れることができなくても、少しずつ前に進んで行かなくてはなりません。
美しい思い出を胸に、前に進もうとしているのです。
夢や思い出の中に
夢で逢うmelody
夢で逢うmelody
夢で逢うmelody
過去になるmemory
夢で逢うmelody
夢で逢うmelody
夢で逢うmelodyと流れてく
出典: 彗星と街/作詞:Mel 作曲:ROM
夢は記憶と強く結びついていて、実体のないもの。
”幻想”や”彗星の輝き”といった、儚く手に届かないものを連想させます。
忘れかけていた思い出が夢になって蘇り、大好きな音楽のように心を揺さぶっているのでしょう。
フレーズを何度も繰り返していることから、大切な人への想いを強く感じられます。
そしてその大切な人への想いを割り切るには、もう少し時間がかかるようです。
前に進もうと努力するも、過去の思い出が美しく残り続け、時に切ない気持ちにさせるのでしょう。
メロディーとメモリーの韻の踏み方が、このパートの美しさを引き立てています。
満たされない心に蓋をして
ふと感じる孤独
潤いで満たされるふりをして
洒落てる音を流すほどに
温もりは満たされてはいなくて
無慈悲にため息をする
出典: 彗星と街/作詞:Mel 作曲:ROM
誰かと出会い、新しい関係を築こうとしても、満たされない気持ちでいるのでしょう。
前に進もうとすればするほど、過去が思い返されたり、比較してしまったりするものです。
自分でもどうすればよいのか、分からなくなっているのかもしれません。
ただひたすら、エモーショナルな音楽に身を委ねて、ぼんやりと考えにふけります。
大好きな音楽をかけても、心にぽっかりと空いた穴は大きくなっていくばかり。
物憂げな表情を浮かべながら、大きくため息をついて、孤独をかみしめているのです。
幻想的な夜に
心地が良くて寝てしまいそうな
夢の続きは夢で舞いそうだ
街に眼開けたまま急いだ
半透明の夜に甘いソーダ
出典: 彗星と街/作詞:Mel 作曲:ROM
大切な人との思い出や、1人になって改めて感じた孤独。
愛する人と出会って愛を知って、そして離れて、いろいろなことを学んだのでしょう。
共に過ごした時間は、ひとときの夢のようで、幻想的なものだったのです。
それでも、美しい夢の続きは、自分で描いていくもの。
そんな風に全てを受けとめられた時、ふと心地よい眠気に誘われます。
きっと大切な人のことを考えて、眠れない夜もあったのでしょう。
こちらでは、”眼を開ける”という表現から、前半に比べ前向きに捉えている印象を受けます。
色彩を感じさせる、連続する韻の重なりや表現が、幻想的な雰囲気で美しいです。
明けていく空と、星の輝き
明星は浮上のillusion
表情すらもslow motion
記憶の中の繊細さに
惑わされて眠っている街
出典: 彗星と街/作詞:Mel 作曲:ROM
夜明け前の空に、美しい明星が輝いている情景が浮かびます。
多くの人が、複雑な感情を抱えて行き交う街。
その中には、大切な人との出会いや別れを経験して、前に進もうとしている自分がいます。
絡み合うさまざまなストーリーの中で、星の輝きに導かれるように、新たな1日が始まるのです。
時には、繊細な感情や記憶が心を支配して、落ち込むこともあるでしょう。
それでも、必ず朝はやってきて、夜には優しい星明かりが道を照らしてくれます。
ひときわ明るく輝く金星の星明かりが幻想的で、ゆっくりと心を癒していくようです。