このまま溶け合って いつかくる別れを
今はまだ
手に入れてしまったら 満足してしまう
目の前には君の髪

出典: 夜桜(feat. めいちゃん)/作詞:くじら 作曲:くじら

まずは1行目。溶け合っているのはおそらく主人公と、その主人公が好きになってしまった相手でしょう。

つまり男女の関係になったということ。

身体を重ね合わせる様子。

そしてその関係の中で相手への想いが募りお互いの感情がまるで交わっているかのような様子を表現しています。

身体を重ねたということはお互いに相手のことが気になっているのでしょう。

「お付き合いしてくだい」の一言さえあればすぐにでもその先の関係に進めそうなくらいです。

しかし主人公はそうしようとしません。いったい何故でしょうか…?

それ以上先へ進めない理由とは

その理由は3行目にありました。

付き合ったら冷めてしまう。まるでそう聞こえますね。

相手への好意に気がついてからアプローチし、振り向かせようとする過程では心も燃えています。

どうにかして気を引きたい。両想いになりたい。

そんな強い想いで様々なアプローチを試すでしょう。

しかしいざ相手が自分に興味を示してくれたら、突然気持ちが冷めてしまうのです。

蛙化現象」といわれますが、この急激な気持ちの変化に悩む人は少なくありません。

伏線?

冒頭の歌詞にあった、暗く深い闇が迫ってくる予感。

その予感こそ、ここで綴られていた「好きな人と恋人になることができない」という現実なのではないでしょうか。

ただ主人公は、その闇に抗おうとしています。

相手の身体を自分の方へ引き寄せて、君への想いを再確認しているような様子も見られますね。

散ってゆく恋心

桜とともに散る

夜桜が散って ベイビー
それで
春を終わりにしようかなんて

出典: 夜桜(feat. めいちゃん)/作詞:くじら 作曲:くじら

こんなにも好きなのに報われない想い

前半ではそんな行き場のない愛について歌われていました。

これまでも「好きだけれど両想いにはなれない」「別れが近いのかもしれない」と感じてはいた主人公。

ただ実際にそのような行動は起こしてきませんでした。

しかしここではハッキリと、君との別れが綴られているのです。

タイトルでもある「夜桜」も、ここではその美しさより散り際の儚さ悲しさを表現しているのでしょう。

文字通りの意味を捉えれば「桜が散った春が終わった証拠」ということです。。

しかしここには「桜が散った=君への想いが散った」という意味。

そして「春が終わった=恋が終わった」という意味が込められていると考えられます。

続く3行目、別れを告げているにしては軽い表現にも感じます。

まっすぐに想いを伝えたというよりは、どこか伝えることを躊躇っているような、はぐらかすような雰囲気ですね。

自分の気持ちを素直に伝えることは簡単ではありません。

特にそれが相手にとってネガティブだった場合、なおさら気を遣うでしょう。

だから主人公はこのような言い方をしてしまったのかもしれませんね。

蝶のような君

水面に揺れて止まった蝶はもういない

出典: 夜桜(feat. めいちゃん)/作詞:くじら 作曲:くじら

ポエムのような美しいフレーズが意味するのは、儚い恋の相手。

主人公と君の恋は最初から不安定でした。

止まっているのか、はたまた飛んでいるのかわからない、落ち着かない関係。

蝶=君はそんな不安定な関係を抜け出し、ふらふらと別の場所へ行ってしまったのでしょう。

主人公は君が好むような、甘い蜜を持った花にはなれなかった。

いつまでも定まらず、ゆらゆらと動き続ける水面のような存在だったのです。

夏の匂いとは