【ゆらゆら帝国】おすすめ人気曲ランキングTOP10!ゆら帝の世界に酔いしれる曲をファンが厳選して紹介の画像

2007年10月10日発表、ゆらゆら帝国の通算11作目のアルバム空洞です」。

日本のロック史上に燦然と輝く金字塔的アルバム「空洞です」からまず1曲。

オープニング・ナンバーの「おはようまだやろう」を推します。

もっと順位が高くてもいい楽曲かもしれません。

しかしゆらゆら帝国にはまだまだご紹介しなくてはいけない曲があるのでした。

トレモロ・ギターによるカッティングとサックスの音色が印象的です。

各楽器のバランスは通例のミキシングの理念とはまったく違う発想に基づくものでしょう。

この新しいサウンドは何だろうと思うとともにどこか冷徹な印象も持たれるはずです。

サウンドに醒めた印象がある分だけ分かりやすい優しい言葉が身に沁みます。

なるほどロック・バンドとしてはここまで行ってしまうと先が分からなくなるかもしれません。

彼らはこのアルバムを最後に残してバンドを解散させました。

醒めた印象は拭えませんがなぜかグルーヴがきちんとある名曲が「おはようまだやろう」です。

いまでもストリーミング/ダウンロードともに好調なセールス。

超名盤の最初の1曲ですから多くのリスナーが関心を寄せるのです。

坂本慎太郎の誠実さが滲む歌詞

誰かが笑う 誰かが悲しむ
どこかで笑いあう声 どこかで悲しみ
地球の裏にはいる 友だち

ああ もう 何も求めず 何も期待せず
全てをあきらめたあとで まだまだ続く
ビートがノックをする 君の窓を

さあ
おはよう
まだやろう
おはよう
まだやろう

出典: おはようまだやろう/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

これが「タコ物語」の次のアルバムの収録曲の歌詞かと目を疑うかもしれません。

ただし、これまでご紹介できなかっただけで坂本慎太郎は極めて真っ当な詩才があります

ランクが上がるごとに彼の真摯な詩作への態度を発見できるでしょう。

ご期待ください。

「おはようまだやろう」は総体として希望について歌っています

ただし、ファンタジーを用いた希望で誤魔化すような気などサラサラないのです。

現実世界の厳しい側面についてきちんと歌います。

この世界には相対的に悲しみの方が多いかもしれません。

第三世界の貧困や紛争はまだ解決していませんし、先進国も問題だらけです。

もちろん坂本慎太郎は声高に社会問題を訴える人ではありません。

しかしこの世界の悲哀というものには敏感な感性を持ち合わせているのです。

アルバムの冒頭ですから希望について歌います。

それはお互いにギリギリの状態だけれどもやってゆこうよという優しい呼びかけです。

坂本慎太郎という人の誠実さがこの曲の歌詞に滲んでいます。

4位 「つぎの夜へ」

真似できない都会的なセンス

【ゆらゆら帝国】おすすめ人気曲ランキングTOP10!ゆら帝の世界に酔いしれる曲をファンが厳選して紹介の画像

2006年6月21日発表、ゆらゆら帝国の通算6作目のシングルつぎの夜へ」。

オリジナル・アルバムには収録されていませんが非常に素晴らしい名曲です。

この曲で魅せてくれたゆらゆら帝国のクールさが大傑作アルバム「空洞です」に直結します。

この曲に見られるサウンド面での進化はプロデューサーの石原洋の貢献が大きいのでしょう。

石原洋が組んで亀川千代も参加したバンド「The Stars」もこうしたクールなサウンドを鳴らしました。

どこまでも都会的というか東京的なサウンドといえるでしょう。

ゆらゆら帝国がまた新しい次元へとステップアップしたと確信させました。

発表から何年も経ていますがいま聴いてもかっこよすぎるサウンドに驚かされます。

腹ペコのガキの音楽から大人のロックへとひと足飛びに進化するのです。

ゆらゆら帝国はアルバム/シングルごとに印象を変えるのが特徴でした。

特にこのシングルで示した都会的なセンスというものはおしゃれでやろうとしてもできません。

ファッションではない音楽の本質に関わるところで都会的な表情を魅せてくれるのです。

ファンにとっては忘れがたい1曲ですからリミックス盤「REMIX 2005-2008」にも収録されます。

テーマは自由にまつわること

痛みは いえるか 心は どうかわすか
真夜中 打たれた 楔は もうはずれた
街を歩きまわるんだ バラでも くわえて
踊ってすりぬけるさ 歌ってすりぬけるさ

みんな悲しみ つれていこう
そのつぎへ つれていこう
悲しみを つれていこう
そのつぎを 夜へ

出典: つぎの夜へ/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

「つぎの夜へ」でも坂本慎太郎の真摯な詩作活動の成果をご紹介できます。

無駄な言葉は一切なく、過剰なものは削ぎ落とされている歌詞です。

歌われるのは精神や肉体というものが自由に羽ばたくことを阻害するものから逃れるというテーマ。

タイトルとおりに坂本慎太郎はこの曲でも真夜中という時間帯にこだわります。

闇夜の中ではどこまでも逃げ込むことができる自由があるから真夜中という時間帯が好きなのでしょう。

悲しみを「つぎの夜へ」持ち込むというラインにはこれまた坂本慎太郎固有の優しさを感じます。

悲しい感情というものは昼間の陽射しが当たる世界では排斥されがちです。

しかしロマンチシズムへの訴えかけができる真夜中では親しくできるものという価値観の刷新をします。

誰も悲しみと一緒にいたくないと仲間外れにする伝統的な価値観を転倒させてみたのです。

優れたアーティストはこのようにして既存の考えというものを打ち砕いてゆきます。

特に知覚の扉を開くサイケデリック・ロックの歌詞ではこのように非常識であるべきです。

それはThe Doorsのジム・モリスンやジャックスの早川義夫が企てた意図と共通します。

詩というもの自体が世界に新しい発見をもたらすために生み出されたものです。

坂本慎太郎の詩人としての才覚や感性といったものがこの「つぎの夜へ」に詰まっています。

3位 「ゆらゆら帝国で考え中」

ゆらゆら帝国のマスメディア・デビュー

【ゆらゆら帝国】おすすめ人気曲ランキングTOP10!ゆら帝の世界に酔いしれる曲をファンが厳選して紹介の画像

2000年11月22日発表、ゆらゆら帝国の通算3作目のシングル「ゆらゆら帝国で考え中」。

後のアルバム「ゆらゆら帝国Ⅲ」にも収録された重要作です。

このシングルのタイトルにはやられたと思った方も多いでしょう。

何せこの頃は確かにゆらゆら帝国しかサイケデリック・ロックに希望が持てなかったのですから。

ロックのカタルシスというものに振り切ったサウンドがシーンを興奮状態にさせました。

アルバム「ゆらゆら帝国Ⅲ」もガレージサイケと呼ぶべき楽曲が多かったです。

一種の能天気さえ漂わせてロックに全振りしてしまう姿が凛々しく思えました。

ちなみに「ゆらゆら帝国Ⅲ」というタイトルですがインディーズ盤とあわせると7作目のアルバムです。

メジャー・デビュー後から通算枚数をカウントする姿勢は意味が深いでしょう。

当時のメンバー3人による編成になって初めてゆらゆら帝国になったと自認するのです。

この曲が現在でもリスナーが聴いている理由はおそらくテレビ番組との兼ね合いでしょう。

リリース当時、バラエティ番組「はねるのトびら」のOP曲として採用されました。

ゆらゆら帝国にとってのマスメディア・デビューといっていいかもしれません。

アンテナを張っているリスナーにとってはお馴染みだったゆらゆら帝国。

しかしこのOP曲としての大抜擢でより広い層へのリスナーへ浸透しました。

「ゆらゆら帝国で考え中」は聴いてのとおりにかなり激しい曲です。

番組制作サイドの英断も褒め称えるべきかもしれません。

多くの人にとって忘れられない1曲になりました。

現象学か量子物理学か

だいたい俺は今3歳なんだけど
2歳のときにはもう分かってたね
それは単純だけど少しの目の位置で
何にでも見えるってことを
迷子になった覚えはない
スピードに乗ってる実感もない
でも最後に飛び乗った わけもないぜ

クレイジーワールド マンガの世界で
クレイジーワールド
これからやっていくわけなんだけど
クレイジーワールド マンガの世界も
本当は楽じゃないぜ

出典: ゆらゆら帝国で考え中/作詞:坂本慎太郎 作曲:ゆらゆら帝国

ナンセンスと軽さ、そしてスピードを全部入れてみましたみたいな歌詞です。

バラエティ番組のOP曲としては最適な内容でしょう。

サウンドが激しすぎますので、その点をテレビ番組的にクリアできたのは快挙です。

こんなナンセンスな歌詞を聴いたのはこの曲が初めてだった人も多いはず。

さらにリアルロックとの出会いもこの曲が最初だという人も多いでしょう。

しかしナンセンスとひと言では片付けられない現象学的哲学のような叙述もあります。

観察者という視点でものの見え方が変わるなど量子物理学的知識も動員しているのです。

とはいえもちろん衒学的な趣味をひけらかすのではなく笑いの方向へと持ってゆこうとします。

坂本慎太郎という詩人が稀代の天才であることを証明するかのような歌詞になっているのです。

深刻ぶる訳ではないのですが漫画の世界だって苦難に満ちているというのは慧眼(けいがん)でしょう。

それでいてあははと笑い飛ばすスピード感は忘れません。

紛うことなき名曲です。

2位 「美しい」