そのヤングラッパーはタダモノじゃない!
日本のラップ業界は、ちょっと大変なことになっています。
Abema TVの「ラップスタア誕生!」で優勝し、メキメキとその実力を見せつけてきた¥ellow bucks。
岐阜県は高山市の出身で、現在も東海に拠点を置いて活動しています。
2020年には1stアルバム「Jungle」をリリースし、ますます勢いが増しているといえるでしょう。
アルバムでは、MIYACHI、Shurkn Papらラップ界の名だたるメンバーを客演として迎えています。
そのことからも、彼がいかに注目度の高いラッパーであるかが分かるはずです。
今回ご紹介する【My Resort】は、曲名通りリゾートをテーマにした1曲です。
様々な事情で出掛けて行けない人も、これを聴いてリゾート感を満喫してはいかがでしょうか。
クールな曲調で、¥ellow bucksがリゾートの在り方を指南してくれる楽曲でもあります。
中毒必至の1曲を、歌詞の解釈をしながら味わってきましょう。
「リゾートってこうだろ」¥ellow bucksかく語りき
ベランダで巻くPaper (Roll up)
リビング吹き抜ける南風
奏でろBeatmaker (Turn up)
Chillする時くらい身を委ねろ uh
Resort, Resort, Resort, ここはResort
My resort, My resort, My resort, My resort
出典: My Resort/作詞:¥ellow bucks 作曲:TEE
【My Resort】で一番頭に来るのは、後に何度か繰り返されるサビの部分です。
頭に持って来られたこの部分では、¥ellow bucksが思うリゾートの在り方が歌われているように思います。
引用歌詞1行目に登場する「Paper」とは、煙草を巻く紙のことでしょう。
喫煙をしない人、既製品の煙草しか知らない人にはピンとこないかもしれません。
煙草の葉を専用の紙で包み、お手製の煙草を作って吸う光景が海外ではよく見られます。
MVでも煙草を吸うシーンが頻繁に登場しますので、その解釈で間違いないでしょう。
ベランダで煙草を巻いていたら、開け放した窓からリビングに南風が吹き込みます。
そんな情景が、思い浮かぶような気がしませんか。
続く3行目の「Beatmaker」も、何それという人が多いのではないでしょうか。
Beatmakerとは、プロデューサーのことを指します。
日本では、ヒップホップ界隈などで使われている表現のようです。
このワードに続く「turn up」は、「騒ぐ」「楽しむ」といった意味のスラングです。
ざっとイメージすると、音楽かけて楽しもうという感じでしょうか。
「Chill」という英単語には、「のんびりする」という意味もあります。
日本人はとにかく忙しくて、休暇中であってもせかせかしてしまいがちです。
のんびりする時はのんびりしなきゃと、渡米経験もある¥ellow bucksならではのアドバイスですね。
と、ここまで言ってきたようなことがリゾートってものだと、最後にダメ押しするように連発しています。
¥ellow bucks流リゾートの過ごし方
冒頭のサビ部分が終わると、【My Resort】が本格的にスタートします。
¥ellow bucksの心地いい低音ボイスとフロウで、この楽曲は何を語るのでしょうか?
夜更かし・朝寝坊・とにかくダラダラ
Wake up in a morning
と思いきやランチタイム昼下がり
昨日付けっぱなしのNetflixは
まだ終わらねえからキリがない
出典: My Resort/作詞:¥ellow bucks 作曲:TEE
¥ellow bucks流リゾートの楽しみ方、とでも言いましょうか。
「朝起きたつもりがもう昼だった」「TVも付けっぱなし」と、かなりダラダラした状況です。
いつもはシャキッとしていても、リゾートに来たならそれくらいは許されるのでしょう。
あるいは、それくらいダラダラしないと、リゾートに来た意味がないぞとでも言いたいかのようです。
焦る時こそ休憩が必要
外には舞う病原菌
ほら世界はいつになく右下がり
でも鳴り止まないオレのMusic
焦ってるだけじゃ響かない
出典: My Resort/作詞:¥ellow bucks 作曲:TEE
世界規模で病気が蔓延して、世の中に暗い影を落とすこともあります。
未経験の事態には、景気も気分も右肩下がりになってしまうのでしょう。
しかし、そんな中であっても¥ellow bucksの音楽は止まってくれません。
世の中の動きに翻弄されるのも、仕方のないことではあります。
だからといってその動きに飲まれて焦るようでは、何も響かないんだということです。
本当に贅沢なのは…
とりあえずまず休憩
バリアンでFuck with エロそうなエステティシャン
贅沢は何かって自分で決めろ
お前が贅沢と思うならそれでいいじゃん
出典: My Resort/作詞:¥ellow bucks 作曲:TEE
焦る時こそリゾートに出るのが、¥ellow bucksの信条なのでしょうか。
それは定かではなりませんか、休憩することはパンクしそうな頭をリセットするのには役立ちそうです。
紹介しにくい言い回しですが、「fuck with」というスラングにも触れておきましょう。
よくある意味をご察しの人も多いかと思いますが、このスラングには「気軽に遊ぶ」という訳もあります。
「バリアン」とは、バリに行った気分を味わえるリゾートホテルのことです。
新宿や池袋など、主に東京で展開しているスポットです。
そこで「セクシーなエステティシャンと楽しくやろうぜ」といったところでしょう。
引用歌詞の3行目には、今回のテーマにもなっている問いかけが登場します。
¥ellow bucksの答えとしては歌詞にある通りですが、では、本当の贅沢とは何なのでしょうか。
思うにそれは限定的なものなどではなく、個々が持つ概念によるのだと思います。
歌詞の4行目にもあるように、各々が各々の贅沢を持っていると考えられます。
海外の高級リゾート地でバカンスするのは、間違いなく贅沢でしょう。
しかし、日本にあるバリ風ホテルでキレイなお姉さんと遊ぶのもまた、人によっては贅沢なのです。
自分が心満たされて満足できればそれでいいんだと、¥ellow bucksは言いたいのだと思います。