ここではおそらく、主人公と女性の別れの場面を思い返しています。
最初に歌っていた「泣いてしまいそうな」思い出のことでしょう。
主人公が上京するために乗る電車は遅れ、別れを惜しむ時間がさらに引き伸ばされているようです。
先ほどのギターの場面で女性との間に芽生えた愛情。
せっかく育んできた恋も、遠距離になることで「つらい気持ち」に変わってしまいます。
彼女がなぜ口を閉ざしているのか推測してみましょう。
上京するということは彼の新しい挑戦が始まるということ。
大切な人だからこそ、応援したいですね。
でも、寂しい気持ちも湧いてしまいます。
おそらく「頑張って」とか「離れるのが嫌だ」とか…。
たくさんの想いがこみ上げて言葉にならないのではないでしょうか。
笑顔で見送ってくれた
はなればなれになる君は 僕に優しく微笑んだ
怖いのは泣きたいのは 僕じゃなく君のはずなのに
いつも二人で読み返したアルバムを 握りしめたまま
ドア越しにつぶやく「いつでも待ってるから」
出典: はなればなれ/作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇
そして彼女は出発する主人公に笑顔を向けました。
複雑な気持ちを抱えながらも彼を快く見送ったのです。
心優しい女性ですね。
彼女の笑顔の裏で騒めく気持ちが痛いくらい伝わり、切ない気持ちに満たされた主人公。
これから彼女と会えなくなる代わりに、2人の思い出のつまったアルバムを手にしています。
そして最後の「待ってる」のセリフ。
おそらく彼女が主人公に向けて言った言葉でしょう。
「これから離れてしまっても、いつだって想ってるからね」
そんな変わらない愛を告げたのだと思います。
上京して一人で頑張ることになると予想して、励ましているのかもしれませんね。
最後まで相手想いな優しい人柄なのが伝わりました。
初めて見た涙
いつだって君の心の内を 見透かすことはできなかった
だけど最後にうつむいて 地面に落ちた君の初めての涙を見た
出典: はなればなれ/作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇
先ほどはネガティブな感情を出さずに笑顔を向けた彼女。
これは別れの場面に限った話ではなかったようです。
いつも自分の本心は後回しにして、相手のために振る舞う人柄だったことが歌詞から読み取れますね。
ところが、やはり最後には別れを惜しんで泣いてしまったようです。
しかも、泣き顔を見せないようにうつむいて…。
大切な彼女が初めての泣いている姿。
深く記憶に刻まれたことでしょう。
彼女への想いが溢れだす
離れて気が付く大切さ
遠くなっていく電車とは逆に 思い出が今更押し寄せて
もうどうにでもなれって 虚勢を捨てた途端
やけに小さな自分に気が付いた
あぁ 大切ってやつは 近くでぎゅっとできる間は
気付かないものだと
出典: はなればなれ/作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇
遠くなるのは、彼女との距離のこと。
彼女と離れれば離れるほど、後から大切な思い出が蘇ってきたのです。
「虚勢」はプライドや意地といった意味合いでしょうか。
泣かないように、心のままに行動しないように、無意識に理性で押さえつけていたのだと思います。
でもいざ気を抜いたら、抑え込んでいた辛い気持ちが湧き上がってきたのです。
そして、当たり前でなくなってようやく、彼女という存在の大切さが心に沁み渡りました。
もちろん、心の奥底ではきっと分かっていたのでしょう。
でも、それを考えると上京をためらってしまうからこそ、見て見ぬふりをしていたのかもしれません。
彼女も彼の上京する気持ちを尊重したくてギリギリまで涙をこらえたのでしょう。
いつか会えた時に伝えよう
はなればなれになる君は 僕に優しく微笑んだ
怖いのは泣きたいのは 僕じゃなく君のはずなのに
もしもまた会えるその時には 過ぎた電車の後ろで
呟いた言葉を君に話せるように
変わらない君と また笑って話せるように
出典: はなればなれ/作詞:佐竹惇 作曲:佐竹惇
主人公がいつか君に話したいといっている言葉は何でしょう?
おそらく、電車が出発した後に呟いた言葉のことだと思われます。
直接彼女には言えなかった彼女の大切さ。
いつかまた会った時には、しっかりと自分の感じた思いを伝えよう。
近くにいる時でも相手の大切さを噛み締めよう。
離れ離れになって感じた思いから、そんな風に誓ったのだと思います。
そして最後の1行にも注目しましょう。
「変わらない」という言葉からは、2人の愛情がずっと続いてほしいという思いも感じられますね。
今は別れ際の悲しい思い出が最後になってしまっています。
でも、思い出はこれから先も塗り変えていけますね。
次回会った時に幸せな経験を積み重ねていこう。
そんな、前向きな捉え方をしているのが素敵ですね。
皆様は大切な人と離れ離れになった経験はありますか?
2人の関係が続くのか、どうなってしまうのか、怖くなってしまうと思います。
でも辛い気持ちは必ず自分に変化を巻き起こすバネになるはず。
離れた相手との関わり、今身近な人との関わり…。
その全てがかけがえのない出会いだと、この歌詞から考えさせられましたね。